コンピューターや3Dプリンターを用いる設計技術が導入された
1980年頃から、コンピューターによる設計の技術が急速に進化しました。これにより、ガウディの複雑な設計をコンピューターを使って計算できるようになりました。
また、ガウディの模型が大量に残されたサグラダ・ファミリアにおいては、3Dプリンターの登場も、建設工期を早める一因となりました。
コンクリートを使うなど、近代的な建設方法を導入した
建設現場では、1990年代から鉄筋コンクリートが使われるようになりました。ガウディの生前、鉄筋コンクリートはまだ使用されていませんでした。
これについてサグラダ・ファミリアの主任建築家は、ガウディの「常に新しい技術や素材を検証し、取り入れる姿勢に倣っている」としています。
ただし、ガウディから「雨にさらされる部分には石と煉瓦を使うように」という指示があったため、そのような部分には鉄筋コンクリートを使っていません。
オリンピックにより知名度が上がり、多額の寄付が集まるようになった
今でこそガウディの未完の傑作、そして世界遺産として有名なサグラダ・ファミリアですが、その存在が世界中に注目されるようになったのは、1992年のバルセロナオリンピック以降と実はかなり最近のことなのです。
知名度が上がってからは観光客が増え、拝観料からの収入が増えました。これにより、建設をスムーズに進められるようになったのです。
サグラダ・ファミリアは違法建築だった!?
工事開始から140年近くが経つサグラダ・ファミリアですが、実は建設が合法化されたのは2019年と、つい最近の話なんです!
それまでは、市の許可を得ずに建設を進めている「違法建築」という扱いでした。
ガウディは1885年に地元自治体に建設の許可を得ていました。しかし、ガウディの死後、その自治体がバルセロナ市に吸収合併された時に、必要な更新がされていなかったのです。
2018年、この件について、解決金として教会が市に3600万ユーロ(日本円にして約47億円)を払うことで合意しました。
この巨額な解決金は10年かけて支払われ、周辺の混雑を緩和するための整備資金として使われる予定です。
完成の予定が延期に……
そんなこんなで建設に時間がかかっているサグラダ・ファミリアですが、実は2013年の時点で建設責任者から、「2026年に完成の見込み」という発表がされていました。
しかし昨年、新型コロナウイルス感染拡大の影響による工事の中断を理由として、完成の延期が発表されました。
なかなか予定通りに進まない建設ですが、近い将来に完成形を見られるのが楽しみです。
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参考文献
- 『ガウディのすごい建築』洋泉社出版
- 『Casa BRUTUS特別編集 ガウディと井上雄彦』マガジンハウス出版
- 未完のサグラダ・ファミリア、IT駆使で工期150年短縮:日本経済新聞
- サグラダ・ファミリア、2026年の完成不可能に:日本経済新聞
- サグラダ・ファミリアは「違法建築」 解決金47億円:朝日新聞
- La construccion de la Sagrada Familia finalizara 2026:LA VANGUARDIA
- Histria del temple:Sagrada Familia