河村です。どうも。
本棚を買った嬉しさに無意味な本の出し入れを繰り返しています。
今日は「パインアメ」について考えていました。
パインアメは甘酸っぱいです。
そして、甘酸っぱさというのは、世間一般には青春の味であるそうです。
甘さ=楽しさと、酸っぱさ=物悲しさ。明るい未来へ向かう楽しさと、思春期特有の不安定さ。
理想化された青春とは、きっとそういうものなのでしょう。
僕はパインアメをなめては、そういう「ありえたかもしれない甘酸っぱい青春」を仮想します。
(僕自体の青春の味は「滋味」だったかな、と思います。決して悪い青春を送ったわけではないです)
そうやって、青春小説を読むようにパインアメをなめ、センチになることを、僕はよく楽しみます。
連続でなめつづけると口の中が荒れ果て、さらに舌に尖ったアメが刺さるなどしますが、気にしてはいけません。
パインアメは、僕にとって、ありえたけれども選ばれなかった可能性の象徴なのです。
ところで、最近パインアメをなめる量が増えてきました。
1日で1袋をなめきってしまって、さすがになめ過ぎなんじゃないか、と思いました。
僕は気づきました――潰えたはずの僕の可能性が、現実の僕を侵略している!
ありえた青春に過ぎない甘酸っぱさが、パインアメが、現実の僕の過去=滋味に満ちた青春の記憶を上書きしようとしています。
このままパインアメをなめ続ければ、僕の思い出は全部甘酸っぱい架空で埋まってしまうでしょう。
僕の、僕だけの、デコボコでどうしようもない青春を守らなくては。
現実と架空の狭間にある、奇跡の物質、そして深淵、パインアメ。
昔の人は言いました――「お前がパインアメをなめるとき、パインアメもまたお前をなめているのだ」と。
このことに気付いた僕は、もう居ても立ってもいられません。
まずは、パインアメについてしっかり勉強して、それから対策を立てましょう。
パインアメの歴史
パインアメの誕生は昭和26(1951)年。
有名どころでいうと、サンフランシスコ平和条約が締結された年です。他にも、紅白歌合戦の第1回が放送されたり、日本で初めてカラー映画が公開されたりと、戦後日本文化の黎明を象徴するような年ですね。
当時高級品だった「本物のパイン缶」の味を手軽に味わうために開発されたパインアメ。
パイナップルが庶民に親しまれるようになった現在でも、パインアメは変わらず人気です。おそろしい子!
それと、本当に今気付いたのですが、パインアメのメーカーは「パイン株式会社」という名前だそうです。
ペプシコーラのメーカーがペプシコなのと同じ匂いがしますね。しない?
パインアメの穴
(…… きこえますか… きこえますか… みなさん… パインアメです… 私は今… みなさんの心に… 直接… 呼びかけています… パインアメは… 鳴るように作っていません… 吹いても鳴らないのです… )
— パインアメの【パイン株式会社】 (@pain_ame) 2012年11月28日
パインアメのトレードマークにもなっている、中央の穴。
なんでもパインアメを完成させる(概念的に)ためにはこの穴が必要なんだそうです。
音を鳴らす穴ではなく、吹いても音は鳴りません。
( ´◎`)スー ← パインアメを吹く顔文字
フエラムネ(鳴る)と勘違いされているんでしょうね。パインアメは鳴りません。
……と先ほどまで思っていたのですが、なんとパインアメ味のフエラムネというのが発売中とのこと。
パインアメを鳴らしてみたい方や、単純に興味が湧いた方、ぜひ。
(相当な人気のツイッターアカウントはこちらからどうぞ)
というわけで、僕の青春を脅かすパインアメについて調べました。
長い歴史に下支えされた確かなおいしさ。僕はこのおいしさから自分の過去を守らねばなりません。
どうにかしてパインアメに染み付いた「甘酸っぱい青春のイメージ」を払拭しないと……!
(食べるのを止める気は毛頭ありません。おいしいので)
そうだ! 酒だ!
パインアメをお酒の友として見ることで、青春から一転「オトナ」なイメージを持たせてみましょう。
今回はボジョレー・ヌーボーをご用意しました。
写真は伊沢とカワカミ。このために呼びつけました。
アイデンティティの穴にはカクテルピンを刺してみました。
では早速ですが、実際に味わってみましょう。
絶望的に合わねえ。
なぜなのか。美味しいものに美味しいもの合わせたら美味しいに決まってるのに(カツカレー理論)。
パインアメとボジョレーがそれぞれ別の方向に走り出し、それだけならまだしも、説明のつかない奇妙な苦味があります。
本当に原因が分かりません。実食するまで完全においしいものだと信じ込んでいたので、この時点で結構凹みました。
しばらく原因を考えましたが、よく分かりませんでした。
よく分からなかったのですが、とりあえずパインアメとワインのマッチ度を上げるため、今度はパインアメをワインに漬けてみることにしました。
つまり、サングリアというお酒(ワインにフルーツを漬け込む)を、パインアメで作ってみることにしたのです。
(これにボジョレーを使うのはもったいなかったので、コンビニで一番安いワインを買って使いました)
全然溶けないので加熱します(迷走の様子もリアルにお届けしたい)。
深夜3時にパインアメをワインで煮る。
~10分ほど加熱~
パインアメのサングリア、完成! 実際に飲ませてみます(他人に)!
カワカミ「うっわ」
伊沢「最初に口に感じる味が意味不明。味が多すぎるというか。香りはいいんだけど」
……というわけで結論としては失敗でございました。
パインアメとワイン、どうやっても合いません。皆様お手元にパインアメがありましても、どうか試さぬよう。
※サングリア(?)は河村が全部しっかり飲みました。
ところがどっこい、ここでめげないのが僕。
どうにか成功したい一心で次の手を模索します。
僕「パインアメは悪くない。ワインに合わせたのがいけなかった。次はサワーで試す」
ウォッカにパインアメを溶かします。
全然溶けないので今度はシェーカーで振ります。
炭酸水で割れば完成!
僕「……おいしい」
先ほどの失敗もあって今回も半信半疑だったのですが、ちゃんと美味しかったです。やはりワインは悪手だった。
伊沢「あ、おいしい」
味にうるさい伊沢からも太鼓判を頂きました。
とにかく、この「パインアメサワー」、オススメです。
レシピ
・ウォッカにパインアメを溶かします(頑張って)
・炭酸水で割れば完成!
……という実験(?)をしていたら一日が終わりました。
僕の不格好な青春は守られました。
パインアメはオトナの飲み物に変貌し、ありもしない架空の青春のイメージは打破されました。
僕は打ち克ったのです。
……と同時に。
友達とやった今日のこのバカな実験が、僕の青春の1ページに、確かに加わっていました。
パインアメは、今、僕のリアルな青春の思い出に組み込まれたのです。
僕が老人になった時、パインアメをなめて思い出すのは、きっと今日のことでしょう。
願わくは、その時まで、パインアメがずっと売られていますように。
あしたはげつようび。あした、僕はどんな青春を過ごせるでしょうか。
【きょうのふくしゅう】