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監修:慶應義塾大学 文学部人文社会学科 心理学専攻 梅田聡教授


はじめまして! 新しくライターになりました、胡桃(くるみ)と申します。 慶應義塾大学にて心理学を学んでいます。 

みなさんは学校や職場でこんな経験はありませんか……?

  • 授業中や仕事中にぼ~っとしちゃう!
  • 授業や仕事の内容とは全く違うことを考えちゃう!

授業や仕事に限らず、集中しなければならない環境に置き換えれば、誰もが経験したことのある現象ではないでしょうか。私もときどき、大学の授業でぼ~っとしてしまいます……。

実はこれ、心理学できちんと研究されている現象なのです。一見悪いことのように思える現象ですが、心理学ではいくつかの良い点も報告されています!

今回は、この「ぼ~っとしちゃう現象」について、心理学的に解説していきます!

「ぼ~っとしちゃう現象」には名前があった!

生活の中で、ぼ~っとしてしまったり、目の前のこととは別のことを考えてしまったりすることを、心理学ではマインドワンダリングと呼んでいます。

直訳すれば、マインドワンダリング = mind(心の) wandering(さまよい)となり、思考があちこちに散らばって、集中していない状態を意味します。

マインドワンダリングをする人

実は、人間が起きている時間の30~50%をこの状態が占めているといわれています。つまり、私たちは1日の中で、結構な時間ぼ~っとしているということです。このことが研究によって明らかになってから、心理学ではマインドワンダリングを心の標準(デフォルト)状態として扱うようになりました。

こうしたマインドワンダリングは、脳のはたらきに関係しています。

人がマインドワンダリングをしているときの脳活動を見てみると、脳のデフォルトモードネットワークと呼ばれる脳の領域が深く関与していることがわかっています。この脳領域は、脳が特定の思考をせず、注意が自分の外側の世界に向いていない安静時に活性化します。

つまり、マインドワンダリングが起こっているときは、脳が少しだけ休んでいるということなのです。

マインドワンダリングは「ひらめき」の味方

集中できていない状態を表すマインドワンダリングですが、実は心理学的には良い点もあると考えられています。マインドワンダリングをすると、

  • 創造性が高まる
  • 将来起こりうることをイメージしやすくなり、より良い準備ができる
  • 退屈なときに精神的にリラックスできる

などの嬉しいことがあるのです!

マインドワンダリングの利点はさまざま!

特に、マインドワンダリングが創造性を高めることは有名で、数々の研究報告があります。

身近なことで考えると、なにかに集中したり、考え込んだりしている間はあまり良い案が思いつかなかったのに、全く違うことをしているときに「これだ!」と思いつくこともありますよね。

このように、創造的、独創的な妙案をひらめくためには、脳を休ませ、ぼ~っとする時間が大切と考えられているのです。

マインドワンダリングの注意点

しかし、見方を変えれば悪い点もあることは確かです。マインドワンダリングは注意が逸れている状態であるため、課題の遂行を妨げたり、事故の原因となったりします。

目の前のことがおろそかになりやすいため、学生の場合「授業内容を学ぶ」という観点から見れば、マインドワンダリングをしていると重要な点を聞き逃してしまいがちです。授業中は授業の内容をしっかりと聞くことがやっぱり大事ですね。

私は初めてマインドワンダリングという概念を知ったとき、日常で頻繁に起こっている「ぼ~っとしちゃう現象」が学問的にしっかりと研究されていることに驚きました。そして、人の本質に迫る心理学のおもしろさをさらに実感しました! 

マインドワンダリングの恩恵を受けるなら、時と場合を選んで、適度にぼ~っとするのがおすすめです!

参考文献

撮影協力:ふくらP

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この記事を書いた人

胡桃

慶應義塾大学大学院修士課程2年の胡桃です。心理学を学んでいます。心理学の面白さを伝えられる記事や、日常の中のふとした疑問を楽しみながら解決できる記事を書くことが目標です。写真撮影とディズニーが大好き。記事を通して一緒に楽しく学んでいきましょう!

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