伊沢がバトルを徹底審査!
今回、審査員を務めます、伊沢です。公正なジャッジを約束します。
今回のジャッジの見届け人を務めます、QuizKnock編集部の石田です。
当方、2011年からヒップホップカルチャーを追っているものです。どんなバトルが聴けるのか、期待しています……!
ただただヒップホップが好きすぎるから審査員になったんだ……。
▲ヒップホップには少しうるさいクイズ王
それでは、バトルを聴かせていただきます!
▲ヘッドホンを持参してやる気満々
「お~、そうくるわけね!」
「……なるほど、よし」
勝者が決まりました……!
それでは、勝者がシャカ夫なら「先攻」の札を、狺-TARØETさんなら「後攻」の札を上げてください。
いくぞ……!!
ということで勝者は……
……!(シャカ夫、ダメだったか……!)
では伊沢さん、今回の講評をいただけますか?
そうですね、経験とスキルの差が大きく出たかな、というところですね。
「やはり、家賃が高かったかと……」
初心者だから仕方ないんだけど、シャカ夫の歌い方は単調だし、相手の痛いところをえぐりきれていないのも惜しいね。
結局、disじゃなくて知識の披露みたいな流れになっちゃってた。
ガチのダメ出しだ……!
「disになってないんだよね」
ちょっと2ヴァース目も"辞書感"がありすぎたね。Zeebraさんも「韻辞典は禁じ手」って言ってたし、あからさまなのは悪印象になる。
辞典どころか、あいつ3人の力も借りてましたしね。
禁じ手すぎるね。
Zeebra:伝説のヒップホップグループ「KING GIDDRA」のMCを務めた、日本を代表するHIPHOPアーティスト。音楽活動だけでなく、日本でのラップ文化の発展にも大きく貢献している。
対する狺-TARØET氏は、最初から言ってることがブレてないし、相手をえぐるdisを返してましたね。
最後のヴァースで「理解不能」と逃げを打って煙に巻いてたけど、これもテクニックだよね。相手が上手いこと言ってもこれで帳消しにできる。
そこは完全に経験の差が出てましたね……。
バトルMCとしての質、そして中身をもっている部分、そこまで含めて試合巧者だったという印象です。
「どこを見ても狺-TARØET氏には隙がない」
狺-TARØET氏は「青天の霹靂」みたいに上手く難語を扱えていたイメージがあるんだけど、シャカ夫はそこにも粗があったね。
「貞観政要」は歴史が深いっていう意味じゃなくて、もっと帝王学的な文脈で使って欲しかった。
「知識で攻める者こそ、知識には真摯に」
でも、「tangent one degree」の「無理数」を「無理」にかけるシャカ夫の発想、そして3本をかけての成長っぷりには目を見張るものがあったね。
普通にラップが上手くなっていったの、けっこうおもろかった。
これからラッパーとしてキャリアを積んでいくにあたって、一度フッドに立ち返って基礎を見直したらもっと良くなるよ。
"も一度James Brownから聴け"ってやつだね。
何に対するどの立場からのコメントなんだ……。
フッド:地元や生い立ちを意味するHIPHOP用語。
「も一度James Brownから聴け」:ヒップホップグループ「KING GIDDRA」の楽曲『公開処刑』に登場するフレーズ。世にはびこる中身のないラッパーたちをぶった切った。
▲めちゃくちゃしっかりと講評してくれたジャッジ伊沢
今回は未来ある2人の審査ができたことを誇りに思います。ありがとうございました!
ありがとうございました~!
~~~~~勝敗結果報告後の狺-TARØETさんのコメント~~~~~
や”っ”た”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!”!”!”
伊沢拓司さん及びシャカ夫さん、ご講評及びラップバトルありがとうございました! 全くやったことない新しい形式でめちゃ楽しかったです、こういう「知識を活かす」側面でのラップバトルという新しい可能性を感じました!!
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私が狺-TARØETさんに仕掛けた「メールラップバトル」は、狺-TARØETさんの勝利によって幕を閉じました。やはり本職の壁は高く分厚いものだったと痛感させられましたね。
しかし、これで終わったとは思っていません。
プロとの差とともに、ラップに対する手応えも感じました。伊沢さんの指摘通りもう一度自分のフッドに立ち戻れば何かをつかむことができるかもしれない……そんな予感がするんです。
ラッパーとしての新たな扉をひらくその時まで、待ってろよラッパーたち!
今度は1ヴァースに1ヵ月くらいかけてやるからな!!
それでは!
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