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24時間で101個のマジックを作って演じる!?

ーー野島さんがマジックを制作する時って、どんな感じで作られるんですか?

野島さん 僕の場合は何かものを触りながら考える派です。トランプをバラバラと触っていたり、コインを手癖で握っていたり……。そんなときにふと新しい仕掛けが浮かぶことが多いですね。

ーー先日は生配信で「24時間でマジックを101個作る」という企画をやられていましたね。

▲FISM受賞記念(?)で実施した生配信(現在はアーカイブチケットの販売を終了しています)

野島さん この時は100円ショップで大量にグッズを買ってきて、「これで何ができるかなー」って考えながら作ってましたね。いやあ、あの配信はしんどかったですよ。24時間で101個、つまり14分に1回のペースで「マジックを考えて演じられるようにして、披露する」を繰り返すわけですから。

▲101個目時点での投稿時間は夜11時41分。少し巻きで終わっている

野島さん 今日その中で作ったものを2つ持ってきたのでちょっとやりますね。まずはウケがよかったものから。

こんなに近くで見てたのに!!!
これ10分で作ったんですか!? 信じられない……。

◇       ◇        ◇

ーー「マジックを考える」と「演じられるようにする」は別々に行っていたんですか?

野島さん いや、だいたい同時に考えてますね。マジックの内容を考えつつ道具を揃えていって、「あれ、これできなくないか?」とか「これもう1個道具必要なんじゃないか?」とか思ったら微調整していって、最終的に演じられるようにする、という感じです。

ーーそういうとき頭の中ってどんな感じなんですか?

野島さん 僕マルチタスク苦手なんで、「これできそう!」って思ったらいったん他の案は全部捨てます。 途中で「できそう」と思ったものが「無理だ」とわかったら邪魔になっちゃうのでいったん忘れて、演じ終わったら「じゃあ次!」という感じで作ってました。

ーーあらゆることに器用だと思っていたら、マルチタスクが苦手だなんて意外でした。ちなみに24時間生配信で一番作るのに時間がかかったのってどんなマジックなんですか?

野島さん ちょうど今からそれをお見せしようと思ってました。完成までに20分以上かかってしまって。

僕の自然災害伝承碑が……!
絶対500円玉は外にあったじゃないですか! なのにどうして……。

野島さん そういうリアクションいただけて、マジシャン冥利に尽きます。

ーーちなみに生配信の日は一日中マジックを制作していたわけですが、普段の1日はどんなスケジュールで過ごしているんですか?

野島さん 日によってまちまちなんですけど、睡眠時間は必ず8時間確保するようにしています。

ーーとても健康的ですね。

野島さん 「マジックを作るぞ」っていう日のスケジュールだと、だいたい朝9時ぐらいに起きて、夕方ぐらいまでネットショップとかのお仕事をやった後、夜7、8時ぐらいからマジックの練習をしています。インプットしないとアウトプットできないので、マジックの練習は必ずやりますね。練習を2〜3時間やった後、寝るまでマジックを作っています。

▲ざっくりまとめるとこんな感じ

ーーなるほど、夜型のスタイルなんですね。練習を「インプット」として位置づけているのも印象的です。お休みの日はどんな感じなんですか?

野島さん 何もない日は丸一日寝てます。この間やっと落ち着いて丸一日休みができたときは本当に一日中寝てました

▲本当にざっくりまとめるとこんな感じ

ーー人間らしい部分が垣間見えて少しホッとしました。お休みの日も「ずっと作り続けてます」なんて言われたらどうしようと思っていたので……。

野島さん けれど休みの日でも、「なんかこれできそう!」って思ったらショップで材料調達して作っちゃいます。思いついたら行動しないと気が済まない性格なんで。

先人への感謝がマジックをより完璧なものにする

ーー野島さんがマジックを作る際に一番大切にしていることってなんですか?

野島さん まったく新しいマジックを作りたくはあるんですけど、今世に出ているマジックの数ってものすごく多いんですよ。だから新しく作ったマジックも、別のマジックのバリエーション違いだった、ということが結構あるんです。

そういうときに、「このマジックをもとに作りました」「このマジックを改良しました」と正直に伝えることを大切にしています。

ーー技術と同じくらい誠実さを大切にされているんですね。

野島さん そうですね、オリジナルではなくてアップデートであることをちゃんと伝えるようにしています。

ーーなんだか学術研究に似ている気がしました。先人たちが積み重ねてきた研究をベースに追加で研究を行い、新しい成果を見出す点とつながりそうです。

野島さん そうですね、結構似ていると思います。先人に感謝したうえで、さらに完璧なマジックに近づけていくのがマジシャンの使命かなと思っていて。

「まずはこのマジックを作っていただいてありがとうございます。このマジックはとてもいいと思うんですけど、僕ならさらによくできます」というアプローチですね。

ーー先人へのリスペクトと、プロとしての矜持きょうじがマジックをより完成形へと近づけていくのですね。まさに「マジックの研究者」というワードがピッタリな気がします。

次ページ:野島さんが用意した「エンディングにふさわしいマジック」とは……?

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この記事を書いた人

チャンイケ

京都大学大学院修了のチャンイケ(池田和記)です。さまざまな学問・エンタメに関心があります。趣味:クイズ・ボウリング・ゲーム・謎解き・食べ歩きなどなど。

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