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答え&解説
正解は、ルイジアナ州のニューオーリンズでした。
ヒント1:ケイジャン料理・クレオール料理
ニューオーリンズの位置するルイジアナには、かつてフランスやスペインの植民地だった歴史があります。そのため、ニューオーリンズで食べられるケイジャン料理やクレオール料理は、ヨーロッパの食文化の影響を受けています。
ケイジャン料理は、18世紀にルイジアナの田園地帯に入植してきたフランス系・スペイン系の移民や、アフリカ系移民の食文化が混ざり合って生まれました。スパイスがふんだんに使われ、辛い味付けが多いのが特徴です。
一方クレオール料理は、ニューオーリンズなど都市部に住む入植者の子孫が、ヨーロッパやアフリカの様々な食文化を融合させて生み出しました。トマトが使われることが多く、ケイジャン料理と比べて赤っぽい見た目をしていることが多いです。
炊き込みご飯風のジャンバラヤなど、ケイジャン料理とクレオール料理で共通して食べられる一皿もあります。
ヒント2:ミシシッピ川の河口
ニューオーリンズは、アメリカ有数の大河川であるミシシッピ川の河口付近に位置しています。
かつて、ミシシッピ川流域で生産された穀物や綿花は、輸出品としてミシシッピ川を下って各地へ運ばれました。河口に位置するニューオーリンズは港湾都市として栄えたほか、労働力としてアフリカから多くの人たちが奴隷として連れてこられた歴史を持ちます。
現在でも、ミシシッピ川では穀物や鉱石といった貿易品を運ぶ船が行き交っています。ミシシッピ川を往来する船と、メキシコ湾や大西洋を航海する船との間で荷物を積み替える作業が、ニューオーリンズで行われています。
ヒント3:ジャズ発祥の地
ニューオーリンズは、音楽ジャンルのジャズが誕生した街として有名です。
ジャズは、南北戦争後に自由の身になった奴隷たちが、歌ったり楽器を演奏したりすることで職を得ようとしたのが始まりとされています。当時のニューオーリンズでは、スペインの民謡、フランスの舞踏曲、奴隷たちがアフリカから持ち込んだ音楽などが演奏されており、これらの音楽が入り混じって生まれたのがジャズとされています。
ちなみに、ジャズに自由なアドリブが多いのは、奴隷たちの多くは楽譜が読めず耳コピで曲を覚えたため、同じ曲でも演奏者によって細部が様々にアレンジされていたことが由来という説もあります。
▲伝説的なジャズミュージシャンのルイ・アームストロングも、ニューオーリンズで生まれた
以上のように、「ミシシッピ川の河口」という地の利を活かして港湾都市として発展してきたニューオーリンズでは、ヨーロッパやアフリカの多様な文化が混じり合い、独自の料理や音楽が生まれました。
港湾都市には、貿易品はもちろん、貿易相手の文化も持ち込まれるのですね。
今年(2024年)の東大入試「地理」第3問・設問Aは、(1)で「ニューオーリンズ」という都市名を答えさせたあと、この都市が発展した理由や社会課題について様々な角度から論述させる問題でした。実際の東大入試の問題は、こちらから見られます。
ニューオーリンズは大学入試の地理で頻出の都市なので、地理選択の受験生はこの機会に覚えておきましょう!
【前回の社会編はこちら】
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