こんにちは。豊岡です。
今回は、近頃話題の「クルーズトレイン」について紹介していきます。
「クルーズトレイン」とは、JR各社が運行する、豪華な寝台特急です。しかし実際に運行されているのは、まだ九州だけ。本州での運行開始は、今年の初夏を待たねばなりません。
ではクルーズトレインは、従来の寝台特急と、どこがどう違うのでしょうか。どのような設備が整った列車なのでしょうか。どうすれば乗ることが出来るのでしょうか。
目次
かつての寝台特急とはどう違う?
ブルートレイン時代
かつては日本全国の主要路線を、「ブルートレイン」と呼ばれる多くの寝台特急が走っていました。
これらの寝台特急は、簡易な食堂車やラウンジカーがついていましたが、一人用や二人用の狭い寝台が多数を占め、移動するための交通手段という性格が強いものでした。前日夜に列車に乗り、寝台で車窓風景を眺めながら就寝すると、翌朝には目的地についているという、利便性と旅情の両立が売りでした。
しかしこれらの寝台特急は、航空便や夜行バスとの価格競争に敗れたこと、国鉄がJR各社に分割民営化されたこと、新幹線整備計画などが遠因となり、次々と廃止されていきました。
ブルートレインで最後まで残っていたのは、東京~札幌間を結ぶ「北斗星」「カシオペア」、大阪~札幌間を結ぶ「トワイライトエクスプレス」でしたが、これらも2015年から2016年にかけて廃止されました。
現在、クルーズトレイン以外で残っている寝台特急は、東京~高松間を結ぶサンライズ瀬戸と、東京~島根間を結ぶサンライズ出雲のみです。
クルーズトレインの登場
代わって登場したのが、「クルーズトレイン」と呼ばれる、新しい寝台特急の形態です。クルーズトレインの目的は、移動ではなく観光です。ですから、列車に乗って各地を周遊し、バスツアーのようにグループで観光したり、車内でくつろいだり食事を楽しんだりします。数日かけてツアーを行い、最後は出発した場所に戻ってくるコース設定がほとんどです。
また、クルーズトレイン単体に乗ることは出来ず、あらかじめセッティングされた旅行ツアーを購入する形となります。出発の数ヶ月前から公式HPなどを通して、予約が開始されます。予約は、先着順ではありません。季節ごとに区切られた期間ごとに予約者を集計し、定員を上回った場合は抽選となります。
しかし、かつての寝台特急と違い、客室のスペースを潤沢にとっているため、1ツアーあたりの定員が30名程度と少なく、予約を取るのは非常に困難です。
クルーズトレインの設備とサービスは豪華ホテルのスイートルーム並です。その分料金はかつての寝台特急とは比べものにならないくらい高額で、1人1泊あたり数十万円は普通となっています。クルーズトレインのチケットは、金銭的にも、予約の困難さの面でも、まさにプラチナチケットです。
一言で言うと、豪華ホテルに宿泊する観光バスツアーの、バスとホテルが寝台特急という形で一体化したものが「クルーズトレイン」です。クルーズトレインは、究極の贅沢のパッケージと言えるでしょう。
クルーズトレインの主なターゲットは、お金に余裕のある退職後のシニア層や、海外の富裕者層です。料金の高額さ、チケット入手の困難さもあり、彼らが一生に一度の思い出作りとして参加するのが、クルーズトレインのツアーだと思われます。組み込まれた観光プランもおとなしめのものが多く、このあたりもシニア向けという事情を表しているように思えます。
では、日本で運行中・運行予定のクルーズトレインについて、一つ一つ見ていきましょう。
ななつ星 in 九州
「ななつ星 in 九州」(以下「ななつ星」)は、JR九州のクルーズトレインです。
もともとJR九州は、デザイナーの水戸岡鋭治(みとおか・えいじ)と組んだ特色ある車両デザインや、個性豊かな観光特急プランに力を入れてきました。ななつ星は、その新たな展開の一つとして計画されました。
「ななつ星」という名前は、九州にある7つの県、九州が誇る7つの強み(自然・食・温泉・歴史文化・パワースポット・人情・列車)、そして7両編成の客車を表しています。
2013年、日本で初めての本格的な豪華クルーズトレインとして運行を開始。それ以来、料金30~40万円の1泊2日コースと、料金60~150万円の3泊4日コースを提供してきました。
開業から3年経った現在でも、100倍近い申し込み倍率を誇っており、経営的にも大成功を収めています。ななつ星は、日本の豪華クルーズトレインのロールモデルとなったといえます。
150万円でも超人気!ななつ星 in 九州の極上旅とは?次のページへ続く(1/2)。