こんにちは、鉄道旅を趣味にしているライターの伊波円蔵です。
文豪・宮沢賢治が残した名作『銀河鉄道の夜』を読んだことがあるだろうか。少年・ジョバンニとカムパネルラが体験する不思議な銀河鉄道の旅を描いた童話作品だが、そこに込められた哲学的な問いは大人になっても深く考えさせられる。
この銀河鉄道のモデルの一つとされるのが、かつて岩手県を走っていた岩手軽便鉄道だという。そこで今回は、岩手軽便鉄道の後身である釜石線に乗り、宮沢賢治の視点を追っていくことにした。
釜石線は岩手県中部の拠点都市である花巻駅と、沿岸地域の拠点都市である釜石駅を結ぶ岩手県のローカル線。銀河鉄道のモデルとされる部分から、「銀河ドリームライン釜石線」の愛称がついている。

今回は宮沢賢治が生涯を過ごした花巻を出発し、岩手県を横断する形で海沿いにある終点・釜石まで乗り通していく。
ところで、この花巻駅の駅名標(駅名が書かれた案内標識)には、「Ĉielarko」という愛称が書かれていた。これは宮沢賢治も学んでいたエスペラント語という人工言語の言葉であり、釜石線の全駅に同じようなエスペラントの愛称が付けられている。エスペラント学習者の私にとって、釜石線の駅の愛称を収集することがこの旅のもう一つの目的である。

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冬の凍てつく寒さに耐えながら待っていると、ホームに列車がやってきた。ここから、私の銀河鉄道の旅が始まる。

花巻駅を出発してすぐ、車窓には北上川が広がっていた。岩手県を南北に縦断する、東北最大級の河川だ。

花巻駅の隣の似内駅には「La Marbordo」という海岸を意味する愛称が付けられているが、周囲を見渡しても山ばかりで海の気配は一切無い。

この不思議なネーミングは、宮沢賢治が泥岩の露出する北上川の河岸をイギリスの白亜の海岸に重ねて「イギリス海岸」と呼んで何度も訪れていたことに由来する。『銀河鉄道の夜』にもイギリス海岸は「プリオシン海岸」として登場し、ジョバンニとカムパネルラが旅の途中で訪れている。
似内駅を通過し、次の新花巻駅で途中下車した。

星座を意味する「Stelaro」の愛称の通り、ホームの装飾は宮沢賢治が作詞作曲した『星めぐりの歌』をモチーフとしている。

また、新花巻駅の駅前には宮沢賢治の作品に関する装飾がいくつも施されている。


再び釜石線に乗り、小山田駅、土沢駅、晴山駅、岩根橋駅と次々と駅を通過していった。
岩根橋駅に鉄道橋を意味する「Fervojponto」という愛称が付けられているように、このあたりは鉄道橋が見どころとなっている。その中でも宮沢賢治ゆかりの地として親しまれている宮守川橋梁という鉄道橋を見ようと岩根橋駅の隣の宮守駅で下車することにした。





















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