モンタネッリ『ローマの歴史』は一風変わった歴史書である。著者のインドロ・モンタネッリは生半可でない経歴を持ったイタリア人で、大学卒業後、ノルウェーで漁師を、カナダで農場管理人を、エチオピアで陸軍士官を務めたあと、最終的にジャーナリストになった。
学校で教えられる歴史は、完全無欠の偉人・壮大な記念碑の連続である。モンタネッリは、そんなはずはないと反発する。現代の我々と同じような、どうしようもない欠点に満ちている「人間くさい」人間こそが、歴史をつくったはずだ、という。
以上のコンセプトのもと、秀逸なユーモア・鋭い皮肉・当時の人々への共感と批判を混ぜ込みつつ、とにかく自由奔放でリズミカルに書かれていて、重々しさとは無縁である。ごく普通のおとなしいタイトルからは想像できない内容なので、お勧めである。