河村です。どうも。
僕も連載を持つことになりました。タイトルは「あしたはげつようび」。更新は毎週日曜。 内容ですが、「僕が日頃考えていること」です。
ちなみに今日は「手」って漢字を鏡に映すと「毛」になるなあと考えていました。実際にやってみたら微妙でした。
それとは別に、今日は「カニミソ」についても考えていました。
カニミソは美味しいよなぁ、などと考えていました。そうしたらカニミソが食べたくなったので、カニミソを買ってきました。
何も考えずに食べても良かったのですが、もう少しカニミソに思いをはせてからいただくことにしました。なぜかというと、そうしないとこの連載が終わってしまうからです。
すると、次のような考えが生まれました。
- カニをミソで煮付けたものもカニミソなのか。
→調べる限りでは「カニの味噌煮」という名前らしいですが、その料理を「カニミソ」と言わないことは証明できないので、つまりはよく分かりませんでした。 - カニミソおいしいよね。
→そうだね。 - カニミソはカニの何なのか。
→……?
カニミソって何でしょう? 脳ミソかな? 我々はカニの何を食べているんでしょう?
気になって仕方がないので、早速カニミソ缶の原材料表示を見ると、「ずわいがにかにみそ」と書いてありました。僕は、それはそうだ、と思いました。
そういうわけで、本を買ってきました。多分この本にカニミソの正体が書いてあるものと思います。
索引に「カニミソ」が立っていなかったので難儀しましたが、該当する記述を見つけました。以下引用します。
カニ類では栄養物質のもっとも重要な貯蔵器官は中腸腺である.中腸腺はヒトの場合の肝臓に相当する器官で,栄養物質の貯蔵や食物の消化に関係している.カニのミソと呼ばれ,食用のカニ類ではおいしい部分とされている.
(山口 2003、170)
要するに「カニミソはカニの肝臓ぽい部分」です。アンコウのアンキモに相当する部分と考えると納得がいきました。栄養がたっぷり詰まっているから美味しいのでしょう。これで、カニミソなる物質が旨味の権化である理由の説明がつきました(なお、アンキモが美味しいのは自明とします)。
得体の知れない食い物から、カニ版アンキモにランクアップしたカニミソ。僕はひとしきり納得したのですが、思考を続けました。なぜかというと、ここで終わると記事が短すぎるからです。
すると、次のような考えが生まれました。
- 身の代わりにミソが詰まっているカニがいたらすごい(カニミソの部分には身が詰まっている)
→そんな生き物はいません。 - カニミソおいしいよね。
→そうだね。 - じゃあカニの脳ミソはどうなってるの?
→……?
カニミソは脳ミソではありませんでした。じゃあ脳ミソは? そもそもカニに脳ミソあるの?
こりゃあいい疑問だ、さてさて、早速調べよう。「カニ 脳」で検索しようと、キーボードに手をかけまして……ここでハッと気づく。
これの答え「はしご形神経系」じゃん! そういえば高校生物で習った!
はしご形神経系:節足動物(カニとか)や環形動物(ミミズとか)が持つ神経。メイン神経が名の通りの「はしご形」になっている。筆者は今の今まで忘れていたが、センター試験レベル。
はしご形は進化的に中々ハイレベルな神経系。バッタと同じく、この神経の端はちっこい脳になっているはず! そういえばちゃんと習った!
「カニに脳はあるの?」と無邪気に調べようとした先ほどから一転、僕は「カニには小さな脳が存在するはずであり、またそこから伸びる神経系ははしご形であるはずだ」という仮説を、自力で立てるに至ったのです。閃きの瞬間、疑問と知識が繋がった時の興奮は、何物にも代えがたい!
裏付けのため、実際に調べてみます。はやる心を抑え、検索窓にキーワードを打ち込んでいきます……。
すると思った通り、カニにはちっこい脳があることが分かりました。やった! 予想通り!
実際の画像は下のサイトを参照してください。カニの脳の写真が載っています。
1つ予想が外れたのは、神経が二次的に融合してもはや「はしご」の形になっていないことでした。生き物全部が定型に収まるわけではないですね(そりゃそうだ)。
「カニの脳」。一見取り付く島の無さそうなこの問題に対して、高校生物は確かに問題解決への光明を与えていました。「カニには脳がちゃんとある」ということは、高校生物の内容から確かに推測可能でした。
ここでは教育論について深く語ることはしません。ただ、学校の勉強は、今、僕にとって役に立った。それだけは確かです。
それからは、少し高校生物の復習をしました。知識は思考の基礎。正しく考えるために、知識のメンテナンスは欠かせませんから。
結構忘れていてへこんだのは秘密です。
……大体こんな感じで僕の1日は終わりました。
あしたはげつようび。あした、僕はどんな考えを生み出せるでしょうか。
【きょうのふくしゅう】
引用文献
- 山口隆男(2003)「第7章 ハクセンシオマネキ―その興味深い生活」朝倉彰編著『甲殻類学―エビ・カニとその仲間の世界』東海大学出版部 p.170