伊沢が迫る!高校生たちはなぜ難民問題と向き合うのか【前編】
スペシャル伊沢拓司2020.05.09
伊沢です、ごきげんよう。
未だ陽気が落ち着かず不安定な毎日ですが、今こそホットな話題をお届けしましょう。
今回は、我が母校・開成高校で活動している学生団体「K-Diffusionors」さんに取材をしてきました。
K-Diffusionorsさんはアフリカの難民問題に取り組む学生団体。バンカラで部活動が盛んな開成高校においては珍しい存在だったので、気になっていました。
以前メールをやりとりさせていただいたご縁でかねてからお話を聞いていたんですが、ぜひ詳しく取材させていただきたい! となったわけでございます。
今回取材したのは、
(写真右から順に)高校3年の村川くん、高校2年の山田くん、高校1年の吉田くんの3人。
※学年は取材当時のものです。
特徴のない母校の制服も、この日は頼もしく思えます。
ということで、K-Diffusionorsさんの活動やコンセプト、どうして難民問題に取り組んだのか、などなど、ゴリゴリと聞いてきました!
活動開始のきっかけ
よろしくおねがいします! さっそくなんですが、K-Diffusionors(以下K-D)の活動について、まずはカンタンに教えてください!
K-Dはもともと、2018年9月にワールド・ビジョン・ジャパン主催の国際協力についてのコンペティションに出場したことから始まりました。「ウガンダに住む南スーダン難民の子供たちが楽しめるプランを考える」というテーマの大会で受賞しました。
そこで「賞をもらった、ハイ終わり」ということにはしたくなくて。それを継続して、現地に還元することに意味があると考えていました。なので、難民だけではなく「未来を担う一人ひとりを当事者に」というメッセージのもと、自分たちが問題提起していくことを選びました。
コンペで優勝したら現地渡航可能、というルールだったんですけど優勝はできなかったんです。ただ、諦められなかったので、ワールド・ビジョン・ジャパンと交渉したり、渡航に向けての資金集め、スポンサー集めを粘り強くしたりして。タフな交渉でしたけど、最終的には5人も連れて行ってもらえました。
いやぁ、ハンパない行動力ですね。海外では具体的にどんな活動をされたんですか?
2019年1月にウガンダのビディビディ難民居住地に渡航しました。そこで、現地にいる日本人スタッフとお話したり、実際に現地の人や子どもたちと一緒に生活したりして。滞在は10日間で、キャンプにいられたのはそのうちの4日間だったんですけど、濃密でした。
ウガンダ
ビディビディ難民居住地
難民キャンプの外からでも
いろいろなものを得たんですね。現地の濃密な話は後ほどお聞きするとして、日本に帰ってきてからも活動は続くわけですよね?
帰国してからは、現地での体験を広める活動を行ってきました。4月上旬に目黒のアマゾンジャパンで行った講演会では中高生を300人集めて、体験を伝えたりディスカッションをしたり……。
そのイベントの中でも、現地での様子をドキュメンタリー動画にしたり、実際に難民キャンプの雰囲気を感じられるVRを作ったりして。それこそプレゼンの準備とか、会場確保から広報から、いろいろなやることがありました。
盛りだくさんですね。そして高校2年生の代にバトンが渡されるわけですが、山田くんはどのような取り組みをされたんですか?
高2世代は現地に行ったことがないというのもあり、試行錯誤しているという感じです。イベント後はかなり反響があって、K-Dに参加したいという人が30人も声を掛けてくれたんです。
K-DのKは「開成」を指してましたけど、他校の人が多くなってきて。もう開成の枠を超えてしまって、この人数で何かしらの流れを作りたいなと考えています。
じゃあもう具体的に動かれてるんですか?
現在は全国展開を目指した動きを進めています。イベント後、首都圏だけじゃなく、福岡の高校生が参加してくれたおかげで、支部第一号として福岡支部が立ち上がりました。福岡だけで20人もメンバーがいて。東京に比べて、地方だと情報リソースが少ないと思うので、そういう場所での展開が実現すればより意味があるのかなと思います。
僕たちがやるべきことは、もちろん渡航して現地で感じるのもそうですけど、自分自身で動き出すきっかけになれるような知識や経験の提供ですから、こんなふうに他の都市でも展開していきたいですね。
でも、30人もいると大変じゃないですか? 一気に増えたわけですし。
確かにそれはありました。でも、新メンバーとはこの2ヶ月間、一人ひとりと面談してきて。その中で、もともと難民問題に興味があった人や、実際に海外の難民キャンプなどへの渡航経験がある人も多い、ということがわかりました。
もちろん、イベントをきっかけとして難民問題に興味を持った人もいて。こういった多様性というか、色んな人の考え方を文字通りDiffuse(拡散)したいと改めて思いました。
なので、現在はブログを作って、そういったメンバーの考えや知識そのものを広めていけないか考えています。広報活動ですね。
外に伝える活動も軌道に乗ってきたんですね。
この間は湘南学園の生徒会総務さんから講演の依頼を頂いたりして。生徒さんの中の有志参加だったんですが、80人も集まってくれました。こういう活動もありがたいので、今後も呼ばれた場所には行ってみたいですね。
吉田くんは今年入学とのことですが、どんなビジョンを持って参加されたんですか?
僕は高校から入学したので(開成は中高一貫校)、中学からの生徒が入っているような文化祭とか、運動会とかの準備委員会に入ってなかったんですね。
高校入学組の仲間でも、航空宇宙関連の同好会をやっていた人がいて、ドローンを飛ばしてたりとか。それで、「僕も課外活動をやりたいな」と思って、運動会で僕を指導してくれたのが村川さんだったという縁もあって、選んだのがK-Dでした。学校外との関わりが出てきたのは、そういう意味でも良かったですね。
なるほど。こういうところに開成ならではの、縦のつながりの強さが生きてますね!
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この記事を書いた人
伊沢拓司
QuizKnockCEO、発起人/東大経済学部卒、大学院中退。「クイズで知った面白い事」「クイズで出会った面白い人」をもっと広げたい! と思いスタートしました。高校生クイズ2連覇という肩書で、有難いことにテレビ等への出演機会を頂いてます。記事は「丁寧でカルトだが親しめる」が目標です。
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