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QuizKnockと学ぼうプレゼンツ 第3回みんなで卒論発表会supported by クロップライフジャパン

【開催概要】

日時:2026年3月29日 14:00~16:30
場所:日本科学未来館7F 未来館ホール(東京都)
出演:須貝駿貴、田村正資、東言
卒論発表メンバー:楠(QuizKnockライター)、三井化学クロップ&ライフソリューション株式会社 木戸重範さん、一般発表者の方5名


3月29日、YouTubeチャンネル「QuizKnockと学ぼう」が主催するイベント「QuizKnockと学ぼうプレゼンツ 第3回みんなで卒論発表会supported by クロップライフジャパン」が実施されました。

イベントでは、QuizKnockメンバーを含め合計7名のプレゼンターが登場し、論文を発表しました。発表後は須貝駿貴と田村正資の質疑応答が行われ、さらにはYouTubeでの生配信を通じて全国の視聴者からのコメントや質問が寄せられました。なかには、鶴崎修功からの質問も!?

3回目の開催となった今回は、イベント初の試みとして、食料安定供給に貢献する作物保護・農薬についての正しい知識を普及啓発している「クロップライフジャパン」の協賛をいただきました。会場にはクロップライフジャパンの映像やクイズなどを楽しめる展示ブースが設けられ、イベント前後には展示を楽しむ来場者で賑わいました!

▲「山菜野菜の違いは?」答えはこちらから!

この記事では、各発表者の研究内容を当日の発表よりも少しかみ砕いて紹介しています。専門的な内容もできるだけわかりやすくお伝えしているので、「難しそう……」と感じた方もぜひ読み進めてみてください。

また、発表の熱量や質疑応答の白熱したやりとりはアーカイブ動画でこそ味わえる醍醐味です。この記事と合わせてアーカイブもぜひチェックしてみてください!

目次

「絶対に起きられるアラーム音」を作ろう!

最初に登場した虻川さんは、なんと高校生! 朝なかなか起きられない毎日のなかで、「アラーム音を工夫すれば起きられるのでは?」と考え、アラーム音に関する研究を始めたといいます。

虻川さん

虻川さんは、「不快な音は起床しやすい」という先行研究を踏まえ、不快な音の解析と作成を行いました。自作した不快な音には、以下の特徴があると分析しました。

  • 音の波形が複雑
  • 音にノイズや雑音が混じっている
  • さまざまな振動数が混ざっている
  • 音階が完全音(心地いいと感じる音)から半音ずれている

また、虻川さんは自身が日常的に使っていたiPhoneのアラーム音にも注目。多くの人がこのアラームを使っているのは、この音を使えば起きやすいから?」と考えてiPhoneのアラーム音についても解析を行った結果、このような特徴があると気づきました。

  • 音の一部にアクセントがついたような強い部分がある
  • BPMが120(1分間あたり120拍)で、早すぎず遅すぎないテンポ
  • 無音になっている間隔がある

これらの特徴を組み合わせてアラーム音を複数作成し、どの特徴を組み合わせると起床しやすくなるのか、複数人の協力をあおいで、指定したアラーム音で起床してもらう実験を行いました。

調査の結果虻川さんがたどり着いた「絶対に起きられるアラーム音」は、「1音目が強く、BPMが120で無音間隔が大きい不快な音」でした。

質疑応答

来場者・視聴者からは、「アラーム音に『慣れる』ことで起きづらくなってしまうことはないのか?」という指摘がありました。

これに対して虻川さんは、「8日間同じアラーム音で実験を続けても、どの日付でも起きられる結果を得られた」と返答しました。実験に協力してくれた虻川さんの友人のなかには、「1年半使ってもまだ起きられる」という方もいるのだそうです。「個人差はあっても、あまり慣れは関係ないのではないか」と回答し、「よかったら、このアラーム音を使って(私の)実験の続きをやってみてください!」と呼びかけていました。

「土器の形」から遺跡の時代を推測する!?

2人目に登場したのは、今年(2026年)3月までQuizKnockでライターとして活動していた楠。東北大学の大学院で考古学を専攻し、これまでに土偶多賀城跡など、専攻を生かした記事を数多く執筆してきました。

楠の研究テーマは、東北地方の土器について。弥生時代が終わって古代になると、土器の生産は専門的な窯で行われるようになります。すると、窯跡から出土する土器を基準として、その地域の集落遺跡にある土器と形を比べることができます。こうすることで、地域間の遺物のやり取りや、どの遺跡がいつごろ使われていたかなど、時期の前後関係がわかるようになるのです。

楠が対象とした遺跡は、福島県の猪苗代湖近くにある笹山原No.16遺跡という遺跡。ロクロで成形する「土師器はじき」を、当時では珍しく専門的に生産していた遺跡です。建物の跡からロクロの痕跡や簡易的な窯が見つかっていました。

この研究では、この遺跡で作られた「坏(つき)」という土器(お椀のような、手持ちの食器と考えられている)が分析の対象になりました。坏は、時代が進むにつれて形が変わっていきます。最初は逆台形のようなものからだんだん丸みを帯びて底が小さくなる、現代の食器でたとえるなら「ラーメン鉢」から「サラダボウル」のような形に変わっていったという先行研究があります。

▲時代ごとに器の形が変化していく

調査の結果、生産地である笹山原遺跡のほうが器の形にばらつきが少なく、坏を製作する際は寸法に一定のルールがあったと推測できます。その一方で、土器が使われていた地域では形に個別差があり、作られた時期もばらついている可能性が示されました。

さらに、年代がずれているはずの遺跡同士で土器の寸法が似ているというケースもあり、楠は、「遺跡の推定年代を見直す余地がある」と指摘しました。

質疑応答

質疑応答では、「土師器の形が変わったのは、器の使い方が変わったから?」という疑問が投げかけられました。これに対し楠は、「用途というよりは、流行の模倣」と答えました。

土師器の形はもとをたどると、中国の金属器や陶磁器につながるといわれています。大陸から伝わった高級な器の形を真似するように、土師器の形も時代とともに変化していったそうです。

楠は「土器にも流行や文化・ブランドの中心となるものがあり、それが伝播して徐々に変化していったと考えられている」と説明しました。これには言も「都会の流行が全国に広まる現象が、昔からあったんだ!」と驚きの感想を述べていました。

「腸で吸収される薬」の仕組みを再現!?

3人目で登場した堀内さんは、「体内のpH変化を試験管の中で再現する装置」を作り、その様子を発表しました。

私たちが飲む薬には「胃で溶けるもの」と「腸で溶けるもの(腸溶錠)」があり、薬が溶ける場所によって効き方が変わります。そのため薬の効果を出すためには、「薬がどこで溶けるか」が大事なポイントになります。

pHの値は同じヒトの体の中でも、胃の中は強酸性、小腸は弱アルカリ性と、場所によって異なります。しかし、これまでの実験では同じpHでしかテストができないことが多く、薬が体の中でどう吸収されるかを正確に予測するのが難しい状況でした。

そこで堀内さんは、試験管を使って体内のpH変化を再現できる装置を作りました。そして、この装置を用いて、試験管内での溶け方と実際の体内での吸収の関係を調べました。

腸溶錠を用いた実験では、pHが強酸性から弱アルカリ性に変化するごとに薬がどれだけ溶けたかを測定しました。その結果、腸溶錠は酸性の胃では溶けず、アルカリ性の小腸で素早く溶けることが確認されました。

この装置を使えば、体内で薬がどう吸収されていくかを1時間で再現することができます。これは、実際の人体でpHが変化するのに必要な時間の約5分の1に収まります。さらにこの経過は、人体での薬の吸収のしやすさとも一致することが確かめられました。つまり、この装置を使うと、体内で薬が溶けるまでの動きを予測できる可能性も示されたのです。

堀内さんは最後に、「将来的には、この装置によって、より品質の高い薬の開発につながるほか、薬の効果も高まることが期待される」とまとめました。

質疑応答

須貝は、「“連続的にpHを変える”って思いつきやすそうな気もするけど、これまでの製剤の試験であまり用いられてこなかったのはなぜ?」という質問を投げかけます。

▲薬の研究の歴史では、存在していていいはずなのに

これに対して堀内さんは「連続的にpHを変化させる試験も行われている」と答えたうえで、「使われる機械の多くが高価で、実験に必要な時間が長いものがほとんどである」と説明します。堀内さんの研究は「既存のものを使って装置を安く作れるうえに、試験時間も短くできる」ことに新規性があると回答しました。須貝は「安くて早くて、しかも妥当な結果が得られたのはすばらしい」と納得していました。

北海道の山菜「エゾワサビ」を農薬や保存料に!

4人目の発表者として、イベントを協賛してくださったクロップライフジャパンから、三井化学クロップ&ライフソリューション株式会社の木戸さんに登壇していただきました。

農学部出身の木戸さんの卒論テーマは、北海道にある「エゾワサビ」という山菜の育て方とその成分の分析です。

▲発表を行う木戸さん

エゾワサビは北海道などの寒冷地の、山の中の川沿いに自然に生えている植物で、アイヌ民族が昔から薬草として使ってきました。葉っぱの部分を食べると、ワサビよりもクレソンのような独特な風味があるそうです。

木戸さんの研究室では「北海道の山菜を野菜にしよう」というプロジェクトが進んでおり、エゾワサビを新しい野菜として提案するために、栽培方法の確立と成分の分析が行われました。

エゾワサビの成分を調べると、「グルコシノレート」という成分が3種類見つかりました。グルコシノレートはワサビなどの野菜において、細胞内の酵素と反応すると辛味の成分につながる物質です。

エゾワサビにおけるグルコシノレートの構成は、私たちがよく知っているワサビとは全く異なっており、これが独特な風味のもととなっていると木戸さんは考察します。また、グルコシノレートの量をアブラナ科の野菜を対象に調べてみたところ、ワサビほどではないが、ブロッコリーや大根といったほかのアブラナ科の植物よりも多く含まれていることがわかりました。

クイズ!「お寿司にワサビが付いているのはどうして?」

ここで、木戸さんからクイズが出題されました。「お寿司にワサビが入っているのはどうして?

その理由は、風味を向上させるほか、食中毒を防ぐために殺菌するため。この用途を踏まえると、エゾワサビにも抗菌効果があるのでは?と考えた木戸さんは、エゾワサビの活性についても調べました。

その結果、エゾワサビの成分にも抗菌作用があることがわかりました。ここから、エゾワサビが食中毒の抑制に貢献する可能性や、成分を抽出すれば食品由来の保存料や安全な農薬の開発につながることを示唆しました。

質疑応答

視聴者からは「山菜と野菜の違いは何?」という質問が殺到。これに対して木戸さんは、「(人によって)栽培されていないものが山菜で、栽培されているものが野菜」「山菜を野菜にするには栽培方法を確立しないといけない」と解説しました。

次いで、須貝が栽培技術について質問すると、葉っぱ1枚から苗を育てて水耕栽培する(土を使わず水で育てる)方法を確立したことが説明され、須貝も「葉っぱのかけらだけで栽培できるんだ」と驚きの表情を浮かべていました。

司会の言からの「僕は辛いのが苦手でお寿司はサビ抜きなんですが、エゾワサビは辛い?」という質問に、木戸さんは「そんなに辛くない」と回答。「辛みは少ないけど細菌を殺す効果はある」という特徴から、食品の味を邪魔しない保存料として使える可能性があると期待するコメントを返しました。

▲「エゾワサビは食べられるかも?」と言もにっこり

次ページ:数学の卒論に、「鶴崎からの質問」が寄せられる!?

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