来たる3月4日、『ドラえもん』の劇場新作『のび太の南極カチコチ大冒険』が公開されます。
そこで、今回はこの『カチコチ大冒険』のミドコロを紹介しつつ、名作・傑作も数多い歴代の「映画ドラえもん」にまつわるクイズを出題しようと思います。古い作品を見たことがない人も、これを機に過去の名作について知っていただけたら嬉しいです。
目次
『南極カチコチ大冒険』のミドコロ
今回の映画『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』は、『ドラえもん』の劇場アニメ作品としては37本目の作品です。2005年に声優陣が交代してからは、12本目となりますね。いったいどんな物語なのでしょうか。
あらすじ
季節は真夏。暑さを逃れるためにのび太たちが向かったのは巨大な氷山でした。ドラえもんのひみつ道具で、氷の遊園地を作って遊んでいたのび太たちは、氷に埋まった不思議な腕輪を発見します。
調べてみると、この腕輪が氷に埋まったのは、なんと人間がまだ誰も住んでいないはずの10万年前の南極だったのです。のび太たちはこの腕輪に導かれて南極へ。そこで彼らが見つけたのは、氷の下に閉ざされた巨大な古代都市でした。
腕輪の落とし主を探して、10万年前の南極へと遡ったのび太たち。そこで、別の星からやってきて腕輪の謎を調べている少女と博士に出会うことになります。彼女たちは、凍りついてしまった自分たちの星を救うために宇宙を旅し、地球へとたどり着いたのでした。
そんなのび太たち一行は、自分たちの住む地球が凍りついてしまう危機に直面します。解決の鍵を握るのはどうやら、少女たちが追い求めている謎の腕輪。そして、彼らは大きな決断を迫られることに……。
ミドコロ紹介
さて、今回の舞台は「氷山」と「古代遺跡」! その二つを結びつける「謎の腕輪」が、私たちの地球と、少女たちの故郷であるもう一つの星の命運を握っている。そんな感じになりそうですね。
この映画ですが、もちろん私もまだ観ていません。なので、公開されている情報からミドコロを推測してみましょう。素材となるのは、さきほど出した予告編とポスターです。
「10万年後に、助けてくれ。」
とても不安になるキャッチコピーです。のび太が手を伸ばす先には、パオパオ(この像みたいなキャラクター。他の映画にも出てきます)と一緒に吹き飛ばされていくようなドラえもんの姿。映画の予告編には氷漬けになったドラえもんの映像もあります。どうやら、今回はドラえもんと手を携えて問題を解決する話というよりも、ドラえもんなしで、のび太たちが捕われになったドラえもんを救出し、世界を救う冒険になりそうです。
これまでの映画でも、ドラえもんが機能を停止してしまうことは度々ありました(『ブリキのラビリンス』や『雲の王国』など)。そんなときでも、ドラえもんはすぐそばにいてひょんなことで治ったり、のび太たちがスペアポケットでなんとか事件を解決に導いたりしていました。しかし今回はご覧の通りの氷漬け、治る治らないの問題でもなければ、スペアポケットを通じてドラえもんのところに行くこともできなさそうです。
そして、ポイントは「10万年後」という設定。別のポスターには、「氷は、透明なタイムマシンなんだ」というキャッチコピーが記されています。タイムマシンは、ふたつの時空をつなぐものです。そしてこの、タイムマシンとしての「氷」がこの映画では、ふたつの意味で登場しています。
(1)のび太たちが見つける「古代遺跡」(10万年前)とのび太たちを結びつけるタイムマシン
(2)「古代遺跡」の時代に捕われたドラえもんと、その10万年後の時代にいるのび太たち
氷がタイムマシンになるのは、凍ったものの時間が止まってしまうからでしょう。だからこそ、10万年前に凍ったものが、その当時のままの状態で10万年後に出現する。こうして、同じ時間のなかにふたつの異なる時間が同居することになります。
こんなふうに、22世紀のテクノロジーを必要としない天然のタイムマシンが物語のなかでどんなドラマを演出してくれるのか、それがひとつのミドコロと言えるでしょう。
次に、このポスターを見てみましょう。
「リングは、ひとつ。 救いたい星は、ふたつ。」
今回の映画のストーリーを考えるうえで最も重要なキャッチコピーだと思います。ただでさえドラえもんが凍っちゃって大変なのに……そこまでやるんかい! と思ってしまいました。
このキャッチコピーから伺えるテーマは「選択」や「決断」です。謎の腕輪はおそらく、星が凍結してしまうのを防ぐために必要なもので、一度しか使えないものなのでしょう。
しかし、物語の途中でのび太たちが出会う少女カーラと、ヒャッコイ博士は、自分たちの星を救うためにその腕輪を探しにきたのでした。ここで、「のび太たちの地球」か「少女たちの故郷」か。どちらを救うのか、大きな「選択」の場面が訪れます。のび太たちがこの決断とどう向き合うのか、それが物語のクライマックスとなっていくのではないでしょうか。
「映画ドラえもん」は、そのほとんどが「人類」と「異種族」の共生・共存をテーマとしています。これは、原作者の藤子・F・不二雄がドラえもんの長編を考える際には必ず重要視していた大きなテーマでした。
ですから、過去のドラえもんの映画を見てみると、どれも人類を代表するのび太たちと、人類との共存・共生が課題となる異種族(それは別の星や時代の人間、動物、自然、いろんなものがあてはまります)のふたつが出てきて、のび太たちとのドラマを通して視聴者に「共生」のためのメッセージを伝える物語になっています。
その観点からすると、今回のように「人類の地球」か「人間が住むまったく別の星」かを必ず「選択」しなければならないという状況は、どうにかして打ち破られなければならないのですが……。結末はいったいどうなるのでしょうか。
ちょっと予告編だけでは確認できていませんが、僕なりに考えてみるに、この状況を打破するためのポイントは「地球が凍りつくタイミング」にあると思います。謎の少女たちの星が凍りつくのは、のび太が彼女たちと出会った10万年前の世界のことでしょう。
そして、地球が危機に瀕するのは、(10万年前に危機が訪れていたらタイムパラドックスでのび太たちの生きる世界がなかったことになってしまうので)おそらくのび太たちが実際に生きる現代(10万年後)……ということになるんじゃないのかな、と思います。
そうなると、リングはひとつ、救いたい星はふたつなのですが、救いたい星を救うタイミングが実際には10万年ほど「ズレ」ていることになります。
この10万年のギャップが、今回の映画の鍵になるんじゃないか。そして、この10万年のギャップを飛び越える力を持った天然のタイムマシン「氷」が、今回の事件を解決するヒントになるんじゃないか、そんなふうに思います。
以上、今回の映画の事前情報からなんとなく伺えるミドコロでした。やはり、10万年という時間の隔たりと「氷」のミステリーですね。そこがどんなふうに解決されるのか、必見です。
さて、ここまで最新の「映画ドラえもん」である『南極カチコチ大冒険』の紹介をしてきました。次ページでは、過去の名作「映画ドラえもん」について、紹介を兼ねたクイズに挑戦していただこうと思います!
今回紹介するのは、どれも「映画ドラえもん」屈指の名作。その舞台設定に関する問題を5問出題します。「ドラ映画全然見たことないよー!」って人は是非ここから! 「たくさん見てるよー!」って人は懐かしさを味わってみてください。
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