こんにちは。ライターの中川朝子です。私は現在医学部5年生で、病棟実習の真っ最中です。
医学部で医師免許の取得を目指しているというと、イメージされる将来像は「病院で働くお医者さん」でしょう。しかし、医師免許を持っている人が活躍できる職業はそれだけではありません。
▲実は「病院」以外でも医師は活躍している
たとえば、
今回の記事では、そんな「医師免許を持っている人が就職できる意外な職業」を紹介します。
国を動かす医師「医系技官」
何とも響きのかっこいい「医系技官」。
実はその正体は、厚生労働省などの行政機関で働く国家公務員です。
医師としての専門性を持って、保健医療に関する制度作りや、医療政策の推進などを行います。厚生労働省の他にも、環境省や外務省、内閣府など、多様な行政機関で重宝されます。
新型コロナウイルスの流行に際しても、医系技官は活躍しました。中国・武漢からのチャーター便及びダイヤモンド・プリンセス号の初期対応、検査法・治療法・ワクチン事業の推進、感染対応を裏付ける法改正などの対応にあたっていたそうです。医療と社会をダイレクトに繋ぐという重要な役割を果たす医系技官の姿は、ひたすらかっこいいです。
WHOへの派遣制度も充実しており、「医療の制度を変える現場に立ち会ってみたい!」という人たちが活躍できる職業です。私は法学部に憧れていたことがあり、政策に携わることができる医系技官を志した時期がありました。政策の力で人の命を助けるって、とても魅力的だと思いませんか?
刑務所で働く医師「矯正医官」
「矯正医官」は、刑事施設で勤務する医師のことで、医系技官と同じく国家公務員です。
矯正医官は刑務所、少年院、鑑別所などに収容されている人の健康管理を総合的にサポートします。
公務員としての福利厚生に加え、普通の病院で求められる当直業務(通常の勤務時間外に患者対応をする仕事)がないことが、他の医師と異なる大きな特色です。また、研究と両立できる仕組みがあり、兼業が認められていることなどから、柔軟な働き方がしやすくなっています。
海の上で働く医師「船医」
船に乗り込み、船内で発生した傷害・病気の対応をしたり、船員たちの健康診断を行ったりするのが船医です。
3,000トン以上で最大搭載人員が100名以上の船舶には、医師を乗り組ませなければならないと法律で定められています。長期間の航行ではなかなか船から降りることができないという性質上、船医には内科から外科にいたるまでさまざまな疾患を無難に治療する対応力が求められます。
特に気をつけなければならないのが、船内での感染症の拡大。ダイヤモンド・プリンセス号における新型コロナウイルスの流行は、大きな話題を呼びました。
船医は公衆衛生の分野もカバーしながら船の安全運行を支える重要な職業です。船医といえば、国民的漫画『ONE PIECE』の名キャラクターであるチョッパーも船医ですね(そういえば、彼は医師免許を持っているのでしょうか?)。