こんにちは。あめみーです。
日本一高い山としてなじみ深い富士山。世界遺産に登録されていることはご存じの方も多いと思います。
では、世界遺産のうち、文化遺産と自然遺産のどちらかはご存じですか?
富士山は山なので自然遺産というイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、実は富士山が登録されているのは文化遺産です。世界遺産は、山だから自然遺産、建物だから文化遺産、などというように単純に振り分けられるわけではないのです。
この記事では、富士山が自然遺産ではなく文化遺産に登録されている理由について解説します!
そもそも、世界遺産はどのように登録されるの?
世界遺産に登録されるためにはいくつかの条件があります。10個ある登録基準のうち1つ以上を満たしていることや、国内法によって管理され保護体制が整っていることなどが求められます。
(i)~(vi)は文化遺産、(vii)~(x)は自然遺産の登録基準。文化遺産と自然遺産の登録基準がそれぞれ1つ以上認められると複合遺産となる。
また、各国が今後世界遺産に推薦する可能性のある(=登録基準を満たしていると考えられる)資産を暫定リストにまとめ、事前にユネスコの世界遺産委員会に提出しておく必要があります。暫定リストに記載されていないと審査の対象にはなりません。
登録までの流れとしては、暫定リストに記載したものの中から国が推薦書を作成→ユネスコの諮問機関が評価→世界遺産委員会が登録の可否を決定、となります。
日本では、文化遺産の推薦は文化庁、自然遺産の推薦は環境省・林野庁が中心となって行います。
富士山に認められているのは文化遺産の基準のみ
さて、本題です。全部で10個ある登録基準のうち、富士山に認められているのは文化遺産の基準である(iii)と(vi)の2つです。
(iii)信仰との結びつき
古くから噴火を繰り返してきた富士山に対し、人々は激しく怒る神様を想起して畏敬の念を抱いていました。荒れる富士山の神霊を鎮めるため、人々は富士山本宮浅間大社をはじめとする祈りの場を設け、独自の信仰を行ってきたのです。その信仰は、現在の富士登山の形式や、自然に感謝する思想にも受け継がれています。
浅間大社
富士山やその信仰に関連して生まれた神社等は、独自の信仰や思想を現在まで伝える証として重要な役割を持っているといえます。
(vi)芸術に与えた影響
富士山は国内外の芸術作品のモチーフとしても重要な役割を持っています。
19世紀には葛飾北斎らによって富士山をモチーフとした浮世絵が描かれました。そうした浮世絵は、画家モネや音楽家ドビュッシーの作品にも影響を与え、日本や日本文化の象徴として西洋にも定着するようになりました。
葛飾北斎『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』
このように、文化遺産の基準である(iii)と(vi)が認められたため、富士山は文化遺産として登録されました。