QuizKnock

アプリで記事をもっと見やすく

インストールする

カテゴリ

ログイン

こんにちは。京都在住ライターの松林 陸です。

8月16日の夜、京都の山々には巨大な火の文字が浮かび上がります。伝統行事の「五山送り火」です。

なかでも有名な「大文字」は、地元在住でなくてもテレビ等のメディアを通じて見たことがある方が多いのではないでしょうか。幅90メートルを超える炎の文字は、およそ30分間、京都の街をあかあかと照らします。

▲五山送り火の「大文字」

そんな「送り火」、そもそもなぜ「山に火で文字を描く」という行事が生まれたのでしょうか? また、なぜ「大」の字が灯されるようになったのでしょうか。

「五山送り火」の由来

はっきりした記録は残っていませんが、五山送り火の起源は「精霊送り火」や「万燈会まんとうえ」といった、祖先の霊をあの世へ送り出す行事に求めることができます。

万燈会」は、お盆の時期に各地で行われる伝統行事です。

▲万燈会のようす(こちらは茨城県のものです)

京都市内では、六波羅蜜ろくはらみつで行われる万燈会などが知られ、先祖の霊を供養するために灯明をともします。

▲六波羅蜜寺を創建した空也くうや上人

この万燈会がさらに大規模になり、山腹に火を灯す形へと発展したのが「五山送り火」のはじまりとされています。

なぜ「大」の文字?

「大」の字の灯火が始まった時期やその由来についてもはっきりしませんが、有名な説には

◎真言宗の開祖・空海が始めた

◎室町時代に将軍・足利義政が子・義尚よしひさの冥福を祈って行事を定めた

◎江戸時代に書道の名人として知られた近衛信尹このえのぶただが創始した

といったものがあります。

とくに有名なのは先にも触れた「大文字」ですが、「五山送り火」では「大」の文字が灯される大文字山を含めて、5つの山に6つの文字や絵が描かれます

「船形」
「妙法」のうち「妙」
「妙法」のうち「法」
「左大文字」
「鳥居形」

点火は8月16日の20時から5分おきに行われ、夏の夜空を荘厳な光で彩ります。


毎年8月16日の夜には、京都に足を運んでみてはいかがでしょう。

現地へ行くのが難しい方は、ライブ中継で楽しむこともできます。夏の夜のひととき、歴史ある送り火をぜひ眺めてみてください。

【あわせて読みたい】


【画像出典(画像を一部加工しています】
大文字:佐野宇久井 CC BY-SA 3.0
船形:佐野宇久井 CC BY-SA 3.0
妙法のうち「妙」:佐野宇久井 CC BY-SA 3.0
妙法のうち「法」:佐野宇久井 CC BY-SA 3.0
左大文字:佐野宇久井 CC BY-SA 3.0

Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。

関連記事

この記事を書いた人

松林 陸

京都大学大学院理学研究科・修士2年の松林 陸です。普段は大学のサークルでクイズをしています。 大学では物理学を専攻しています。好きなものはクイズと旅行と科学。読者の方の日々に「ちょっとした学び」が生まれるような記事を書けるように頑張ります。

松林 陸の記事一覧へ