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コジマです。今年(2020年)3月をもって無事、京都大学大学院 情報学研究科を卒業しました。

さて、大学生活について何か書いてくれとのことなので色々考えたのですが、ここは「失敗!」をテーマにしようかなと思います。

いや前向きにいこうぜお前というご意見はごもっともなのですが、根っからのネガティブ人間なので反省しか思いつかず……。あと受験体験記とかもそうですけど、成功談よりも失敗談のほうが実は役に立つみたいなところがあるじゃないですか。成功例を真似しても上手くいくとは限らないけれど、失敗例は絶対に真似しちゃダメなので。

という訳で「失敗!」について。僕の大学生活での失敗!の原因は「高校生の延長でモノ考えすぎ」「先を見る力なさすぎ」の2点です。

高校生の延長で研究はツラい

今から書く内容は、工学部(情報系)→大学院(情報系)というルートを辿った一大学生の話だと思って読んで下さい。

反省しか思いつかず、とは言ったものの、学部3回生くらいまではそこそこうまくやれていました。成績もバイトもサークルも全部、そこそこ。

というのも僕はテストを解くのが上手い(≠頭が良い)ので、合格点を上回るようにこなしていけば無難に単位は取れてしまったんですね。あと朝に弱くなかったので出席もできました。とりあえず授業に出るというのはとても大切です。

要するに、学部3回生くらいまでは高校生活と同じようなノリでやっていける訳です。ところが4回生になると卒業研究が始まり、いろいろ上手くいかないことに気づきます。端的に言えば、「テストを解くのが上手い」だけでやってきた僕は「研究」の考え方に上手く適応できなかったんですね。

「研究」は、ある大きな(そして未解決の)目的の原因をトップダウンに(上から下に)細分化しながら掘り下げていって、解けそうなサイズの問題にして解決する、という一連の営みです(と僕は思っていますが、失敗した側の人間なので違うかもしれません)。

つまり、それを解きたいと思える大きな目的がないと「スタート地点を見つける」ところから始めなければいけないんです。高校まで「テストが解ければいいや」で勉強してきた僕はそういう目的を持っておらず、研究で大ブレーキを踏みました。「研究はトップダウンで進む」ということを知っているだけでも、何が研究の目的になるかを探す手がかりにはなると思います。

(一応僕の研究内容を紹介しておくと、バーチャルキャラクターが自然に見えるような振る舞いの作り方を提案して、ユーザー実験で効果を確かめる、というような研究をしていました)

先を見て動こう

察しのいい方はここまで読んで分かったかもしれませんが、僕は先を見て動くことが結構苦手です。特に3ヶ月後とか1年後とか3年後とか、中長期的に先を見通すということをあまりしてきませんでした。

そんな適当な感じなので、4回生になってから研究が上手くいかないなと気付くし、就活はしていないから大学院に行くしか無いし、修士1回生になって就活を始めるに当たっても、ウリはその、決して上手くいっていない研究くらい……。すごく大変な思いをしました。

中学生は高校に、高校生は大学に入ることだけを考えて勉強すればひとまず上手くいくし、評価もされます。ところが大学生はもう大人なので、いろいろなこと(大学院に行くか、どんな分野で働くかetc...)について先を見ていかないと人生のデカい分岐点でしくじります

これから大学生になるという人は、自分と同じような道を歩むであろう(学部が同じとか)ある程度学年の離れた人にいろいろ聞いておくといいと思います。縦のつながりを持つという意味でサークルはいい場所ですよ。

……少し話がそれるかもしれませんが、勉強でも「先を見る」をしておくと有利なことがあるかもしれません。それは、高校入試なら高校で、大学入試なら大学で習うような発展的な内容が、問題作成のアイデアの源泉になっていることがしばしばあるからです。

例えば、微小時間⊿tが登場する物理の問題は難関大学の入試では頻出ですが、これらの多くは「大学では微分を使って解くところを、微分が導入できない高校物理の範囲で解けるようにアレンジしたもの」です。これを、正攻法(問題の指示や解説の通りに解き進める)のとは別に微分でも解いてみたりすると、問題をメタに見れる、つまり出題者はどうやってこの問題を解いてほしいのかが分かるかもしれません。分からなかったとしても、解いていて先に進めなくなったときのヒントや、導いた答えの確認に使えるテクニックになり得るので、時間があるならやって損はないと思います。


もう一度人生をやり直せるとしたら多分大学院には行かないかな……という感じですが、卒業した今振り返ると行ってよかったです。身の程をよく知れましたし、研究に携わる人を心の底から尊敬するようになりました。

僕の失敗!を反面教師に、誰かのこれからの大学生活が充実したものになることを願います。


連載「全力!大学生活」では、QuizKnockライターが自身の大学生活のハイライトを紹介します。

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この記事を書いた人

コジマ

京都大学大学院情報学研究科卒(2020年3月)※現在、新規の執筆は行っていません/Twitter→@KojimaQK

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