難読地名は、近頃のメディアの寵愛を受けて、すっかり有名になってしまった。
つまり、ネタが割れてしまった。
読めないことがそれ自身の誇りであり、読めることが近隣住民の証であった難読地名は、ネット社会によりオモシロコンテンツとして消費され、そのアイデンティティ=読み方を広く暴露されてしまった。
「難読地名」で検索をかければ、そんな彼らの剥がれた化けの皮が累々と重なっている。
馬喰町(ばくろちょう)。御徒町(おかちまち)。等々力(とどろき)。舎人(とねり)。その他その他……。
ご苦労なことだと思う。
さて、そんな現代ネット社会においても、なお読み辛い地名は存在する。
注目を集めない、地味な存在。「ビミョー」な地名たちだ。
これらは、決して読めない訳ではないが、読み方が判り辛い。例えば、茅場町。「町」は、「マチ」と読むのだろうか、それとも「チョウ」だろうか? 例えば、雑司が谷。「谷」は、「ヤ」? それとも「タニ」? (ちなみに答えは、それぞれ「かやばちょう」と「ぞうしがや」だ。)
ビミョーに読み辛い彼ら「微」難読地名は、そこら中に潜んでいる。平凡だから、単なる難読地名よりむしろ出会う確率が高い。
タチの悪いことに、彼ら「微」難読は、読めない訳ではない。普通に読める。つまり雑学的な、読めなくても仕方ない「難読地名」と異なり、読めないことが恥となるのだ。
ここまで書けば「微」難読地名の恐ろしさは分かって頂けただろう。彼らはゲリラ戦の勇士なのだ。ゲリラ的に我々の前に現れ、ビミョーな読み方を以って翻弄し、我々に恥をかかせる。
立ち上がり、対策せねばならないだろう。
【東京編】では東京から5個の「微」難読駅名をピックアップした。是非彼らに恥をかかされないようにしてもらいたい。