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こんにちは、ライターの小南です。何かと忙しい師走もあっという間に過ぎ、もうすぐそこに新年が迫っていますね。

来年2023年の十二支は4番目の「卯(うさぎ)」ですが、この十二支の昔話はご存じでしょうか?

神様が「1月1日の朝、わたしのもとへ1番から12番目までに来たものを1年交代で動物の大将にする」と動物たちに伝え、到着した順番で十二支が決まった、というお話です。

▲要約しすぎるとこうなる

ただ、この十二支決めレース、実は問題点だらけなんです。

猫がねずみに間違った日程を伝えられてレースに参加できていなかったり、牛が他の動物より早くスタートするフライングをしていたり、ねずみが牛の背に乗って移動していたり……。

こんなルールが穴だらけで不平等なレースで十二支を決めてよかったのでしょうか、いやよくないですよね。

▲十二支決めレースの「勝者」たち

ということで、今回わたくし小南が十二支決めレースをやりなおします!

この記事では、私がスポーツマンシップに則った公平なレースを実施します。全動物が納得する新しい十二支を決めることで、晴れやかな気持ちで年を越しましょう。

第二回「十二支決めレース」の開催ルール

では、本大会のルールについてお伝えします。

現在の十二支のラインナップより、前回のレースは陸で行われていたと考えられます。

ただ、今回はいろんな動物にチャンスを与えたいので、私が文献等で移動速度を調べられた約250種の動物をエントリー「陸」「海」「空」の3レースを実施し、それぞれで十二支を決定していくことにしました。

▲第一回はもう行われているので

また、今回のレースでは公平を期すためにスタートのタイミングを合わせます。したがって、十二支の順番は移動速度のランキングと一致することになります。ここでコースは全て短距離とし、最高速度にて比較を行いました。最高速度が等しかった場合は、五十音順に並べることとしました。

※動物の移動速度は、複数文献を参考にしているため、分類の粒度にばらつきがあります。どうぞご了承ください。

ちなみに、現在の十二支を速い順に並べるとこんな感じ。

▲各動物の仲間のなかから移動速度が大きい代表選手を選定するとこうなる

約マッハ2という戦闘機も顔負けの速さで移動する竜代表(でいいのか?)のカイリューを除くと、前回10位・11位のとり・いぬが上位にランクイン。そして、前回王者のねずみが12km/hで最下位とすでに波乱の展開です。ここに他の動物も入ってくると、十二支は大きく変わっていきそうだ……。

では、いよいよ十二支決めレースを始めます。皆さんもどの動物が十二支に選ばれるか予想してみてくださいね。

十二支決めレース 陸部門 結果発表

まずは、「十二支決めレース 陸部門」の結果発表です。現在の十二支たちがどれだけランクインしているかも気になりますね……。それでは、栄えある十二支に選ばれた動物たちはこちらです!

▲元祖メンバーからはトラだけが残った

十二支の1番目は「チーター」となりました。前回はレースに参加できなかった猫の仲間を代表して悲願の優勝です。チーターは体幹が柔らかく、背中を丸めたり伸ばしたりして走ります。そのため、前後の脚の距離が大きくなる、つまりストライド長が伸びるため、速く移動できるのです。

▲ウマとチーターのストライド長の違い

また、現・十二支がほとんど残っていないという結果となり、前回よりレベルの高いレースになったことがわかります。やりなおした甲斐がありますね。ちなみに、アカシカと同率12位だったブラックバック(ウシ科)は、五十音順にて惜しくも落選とさせていただきました(ごめんね)。

新しい十二支を覚えよう

それでは、新しく決まった十二支を覚えていきましょう。それぞれの名前を略して並べてみると

チー グレ モウ スプ プロ クォー ダチョ アカ トラ ライ キツ アカ

となります。「アカカンガルー」と「アカシカ」の頭2文字が同じなので、どちらも「アカ」になってしまいました……ややこしい。混乱してしまいそうな人は、それぞれ「カン」「シカ」に言い換えて覚えましょう。

来年の十二支は「スプリングボック」

この十二支をもとにすると、来年の十二支は「スプリングボック」となります。

▲あなたが来年の干支です!

スプリングボックはアフリカ南部に生息しているウシ科の動物で、ラグビー南アフリカ共和国代表の愛称にもなっています。「トビカモシカ」とも呼ばれ、優れたジャンプ力が特徴です。ゴムまりが弾むように、四肢をそろえて高さ3〜3.5m近くジャンプをします。プロンキングというこの行動は、警戒しているときや逃走するとき、また単なる遊びで行うこともあるそうです。

そんなスプリングボックで、年賀状を作るならこんな感じでしょうか。

▲応援よろしくお願いします

進学や就職のタイミングでの1枚となりました。新天地でのさらなる活躍を予感させますね。

十二支決めレース 海部門 結果発表

続いて、「十二支決めレース 海部門」の結果発表です。現在の十二支に海の動物はいないので、新鮮なラインナップになりそうですね。それではどうぞ!

▲デカめの魚が多い印象

なんと、カジキが1・2フィニッシュ。続いてマグロと、上位は魚類が占めています。その一方で、シャチ、クジラ、イルカと哺乳類も多くランクインしました。無脊椎動物のダイオウイカも十二支に入ってきましたね。ダイオウイカは、外套膜(がいとうまく)に水を取り込んで勢いよく噴き出して泳ぐそうです。

新しい十二支を覚えよう

それでは、新しく決まった十二支を覚えていきましょう。それぞれの名前を略して並べてみると

バショ メカ マグ シャチ トビ カツ イワシ ナガス シロ ダイ ヨシ サケ

となりました。1・2番目のバショウカジキとメカジキ、7・8番目のイワシクジラとナガスクジラと、同じ分類が続くところはまとめて覚えてしまいましょう。

来年の十二支は「シャチ」

この十二支をもとにすると、来年の十二支は「シャチ」となります。

▲なんか縁起は良さそう

海洋生態系で食物連鎖の頂点に立ち、「海の王者」と呼ばれているシャチ。長さ約10cmの歯を使って魚やペンギンを含む海鳥、さらにはアザラシやアシカ、クジラといった海生哺乳類も捕食します。

また、シャチは群れを作り共同で狩りをするなど、社会性を持った動物としても知られています。仲間とのコミュニケーションや狩りには、エコロケーションという方法を用いています。音や超音波を出し、それが対象物に当たって跳ね返ることを利用して、位置や大きさ、形を把握します。それぞれのシャチの群れには、メンバーが遠くからでも認識できる固有の音があるようです。

そんなシャチで、年賀状を作るならこんな感じでしょうか。

▲「王者」の風格を感じる1枚

来年も支えてくださる周囲の方に感謝しつつ、その恩に報いていきたいですね。

十二支決めレース 空部門 結果発表

最後は、「十二支決めレース 空部門」の結果発表です。今回はレースなので、急降下する際の速さの記録は省いております。それでは、どうぞ!

▲ちょっともう聞いたことない鳥ばかりに

アマツバメ科が十二支1〜3位を独占し、その後はカモ科が続くという結果になりました。また、速いイメージがあるハヤブサとイヌワシの順位が意外と低くなりましたね。ちなみに、急降下するときの速さの記録だとハヤブサは389km/h、イヌワシは322km/hとなります。

新しい十二支を覚えよう

それでは、新しく決まった十二支を覚えていきましょう。それぞれの名前を略して並べてみると、

ヨー ハリ アマ ツメ カワ ホシ ホン ハヤ イヌ マガ ヨー ホシ

となりました。「ヨーロッパアマツバメ」と「ヨーロッパヤマウズラ」、「ホシハジロ」と「ホシムクドリ」と略称が被りすぎていますね。それぞれ「ヨア」と「ヨヤ」、「ホハ」と「ホム」 と略すと混乱しないでしょう。

来年の十二支は「ツメバガン」

この十二支をもとにすると、来年の十二支は「ツメバガン」となります。

▲羽に鋭い爪が生えているので「ツメバガン」

ツメバガンはアフリカにいる大形のガンで、最も速く飛ぶガンとしてギネスにも載っています(2022年12月15日現在)。毒性が強いことでも有名で、餌であるツチハンミョウからカンタリジンという毒を取り込んでいるそうです。

そんなツメバガンで、年賀状を作るならこんな感じでしょうか。

▲「ガン」だけに

ツメバガンの速さのように、勢いに乗った1年になりそうです。


これで全動物が納得の新しい十二支が完成しました。来年の年賀状デザインにぜひご活用ください。皆さんの生まれ年の十二支がどの動物かも、ぜひ教えてくださいね。

画像出典

いずれも画像をトリミングしています。
・グレイハウンド via Wikimedia Commons Neurodoc CC BY-SA 3.0
・スプリングボック via Wikimedia Commons Thomas Schoch CC BY-SA 3.0
・クォーターホース via Wikimedia Commons José Reynaldo da Fonseca CC BY 2.5
・スプリングボック(跳躍) via Wikimedia Commons Yathin sk CC BY-SA 3.0
・バショウカジキ via Wikimedia Commons Citron CC BY-SA 3.0
・ヨシキリザメ via Wikimedia Commons Diego Delso CC BY-SA 4.0
・ハリオアマツバメ via Wikimedia Commons Aviceda CC BY-SA 3.0
・アマツバメ via Wikimedia Commons Robert Pudwill CC BY-SA 3.0
・ツメバガン via Wikimedia Commons Dick Daniels CC BY-SA 3.0
・ヨーロッパヤマウズラ via Wikimedia Commons Marek Szczepanek CC BY-SA 4.0

参考文献

・R.Flindt著, 浜本哲郎訳, ”数値でみる生物学 : 生物に関わる数のデータブック”, 2007, pp.37-39.
・東 昭, ”生物の動きの事典”, 1997, p.189.
Why The Quarter Horse is Built For Speed | Nature on PBS
ジャガーやトラの走る速度はどれくらいですか? | 京都市動物園
サルの仲間で最速!パタスモンキーのいろいろ | 山口新聞デジタル
イノシシの特性及び農作物被害への対策について | かすみがうら市公式ホームページ
スプリングボックとは | コトバンク
最も速く走る動物は? | 中国新聞デジタル
魚の泳ぐ速度(遊泳速度) | 国立国会図書館
魚の泳ぐ速さ | 日本海事広報協会
地球上で一番速い生きものは?速く飛ぶ鳥たちと速さのヒミツ | Canon

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この記事を書いた人

小南

小南です。名古屋大学大学院工学研究科航空宇宙工学専攻所属。「楽しく読んでいたら、いつの間にか知識も身に付いていた!」と思っていただける記事を提供するべく日々奮闘中。皆さんの一時の気晴らしとなることができれば幸いです。

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