※本記事は3月27日現在、誤った記述があるとのご指摘を受け修正作業中です。修正が完了いたしましたら、再度ご報告いたします。(2019/03/27 15:30追記)
※4月17日、問題点の修正を終え、監修していただきました津村耕司先生のクレジットを追加しまして再公開いたしました。ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。(2019/04/17 18:30追記)
コジマです。
現代において「宇宙」といえば、100人中99人は
これをイメージすると思う。漆黒の空間に星の光が散らばっているこれ。
ところが、宇宙のことがそれほど分かっていなかった昔、ある人は「宇宙が暗いのはおかしい」と疑問を抱いたという。
現代ならそんなことを言った方がおかしいと思われそうだが、説明を聞くと本当におかしい気もしてくる。そんな「オルバースのパラドックス」について考えてみよう。
オルバースのパラドックスとは
パラドックスの内容は、
- 宇宙が無限に広がっていて
- 恒星が均等に散らばっている
ならば、宇宙は明るいはず、というもの。
なかなかピンとは来ないが、地球は無限の宇宙空間に取り囲まれており、そこに無限に星があるのだから、地球から見たら星星の光がそれこそ無限に入ってきて眩しい、という話だ。
もう少し詳しく……
とはいえ、ここまでの説明はアバウトだ。もう少し詳しく見ていこう。
「星が無限の宇宙空間に均等に存在するため、宇宙は明るくなるはずだ」、というところまでは説明した通り。ただ、そうカンタンには行かない。
車のライトや電灯の灯りは、同じ強さの光を放っているならば当然遠くにあるもののほうが暗く見える。これはみなさんもご存知だろう。これは星についても同じだ。光は分散するので、遠い星の光は近くの星ほど明るくは見えない。
これだけ見ると「遠くほど暗いのだから、空全体が明るくなったりはしないのでは?」と思えるが、それだけではまだこのパラドックスは崩せない。
恒星の見かけの大きさ(明るさ)は距離の2乗に反比例するが、同時に恒星の数が距離の2乗に比例するため、遠いところ(つまりはより広いところ)には一つ一つは弱いがたくさんの光があるのだ。球体の表面積は半径が大きいほど広くなるため、遠いところのほうが多くの星が位置できる、というわけである。
よって「宇宙全体の明るさ」という観点からすると、距離によるひとつひとつの星の減光は、距離が離れるほど星が沢山位置することによって相殺される。
つまり、上で述べた仮定が正しいとすれば、無限の宇宙空間は四方から明かりに照らされるピカピカ空間になるだろう、というのがこのパラドックスである。
そう言われれば確かに……と思わないだろうか。
何が間違っているのか?
無論、みなさんが今見ているように、宇宙は暗い。となると、パラドックスの説明のどこかが誤りである。
提唱当初から多くの科学者がこの説明を試みたが、ここではその中でもよりわかりやすいものを紹介する。
すなわちそれは、「我々が『見ることの出来る宇宙』が有限であるから」というものである。
光速が意外と遅いので……
宇宙にはビッグバンと呼ばれるはじまりの瞬間がある。これは、現在からおよそ138億年前だと言われている。
そして、その宇宙には我々から見えていない部分が存在する。「宇宙誕生から現在までに光が到達できる距離」よりも遠くにある星は、その光がまだ我々に届いていないがゆえに見えないのだ。
ゆえに、宇宙にあるすべての星のうち、我々が見えているものは一部である。つまり有限であり、我々の見ている宇宙のすべてが光で埋め尽くされるようなことは起こらないのだ。
まとめると、
- 宇宙が無限に広いと思われていた時代に、
- それならば宇宙は明るいはずだと考えた人がいたが、
- 我々から見える宇宙が有限であることがわかり解決した
となる。
このような思考実験が行われていたのは、宇宙の広さも、宇宙空間が真空かどうかも分かっていなかった時代のこと。このような「〜だとしたら……」を足掛かりとしながら、数多の科学者が宇宙の謎に挑んでいったのだ。