特技は、神奈川県厚木市のモノマネ。どうも、山森です。
地図を眺めるのが好きで、いつの間にか興味の対象がもっと狭いところに変わり、路線図になったり河川になったり半島になったりしてきました。
そんななか、いま山森史上最もアツいのが、「飛び地」です。今回は、飛び地について、アツく語らせていただきます。最後まで読んだらあなたもきっと地図に夢中!
目次
◎飛び地とは何か
◎推し飛び地
・手の上で愛でたい、あさおくん(神奈川県)
◎白地図マインスイーパとは何か
◎注目してほしい飛び地
・飛び地の横に飛び地、さらに飛び地(青森県・津軽半島)
・両手に花ならぬ、両手に飛び地(岐阜県大垣市)
・平成の大合併
◎白地図マインスイーパのすすめ
◎飛び地には課題もある
飛び地とは何か
そもそも飛び地とは何か。辞書にはこう書いてあります。
同じ行政区画に属するが、他にとび離れて存在する土地。
(出典:広辞苑)
要するに、アメリカにおけるアラスカですね。
まずは、日本で最も有名な飛び地を紹介しましょう。和歌山県東牟婁郡北山村です。
北山村は、和歌山県に属しながらも、周囲を奈良県と三重県に囲まれており、和歌山県のどの自治体にも接していない「和歌山県の飛び地」。市町村がまるごと飛び地になっているケースはこの北山村だけです。
北山村は紀伊半島の山間に位置し、古くから林業で栄えた村でした。現在接している三重県や奈良県との間には山が続いており、北山村で伐採された木材は、川を下り、現在の和歌山県新宮市へと運ばれていました。そのため、新宮市との結びつきが強く、1871年の廃藩置県で新宮が和歌山県に編入し、北山も和歌山県への編入を選び、北山村は和歌山県の飛び地となったのです。
この北山村こそ、私が初めて「飛び地」という存在を知ったきっかけでした。
何これ、おもしろい。和歌山県所属なのに周りが和歌山県じゃないなんておもしろい! しかも、河川が交通網として重宝されていた時代の名残だなんて。歴史を感じます。
そうして私は飛び地に興味を持ち始めました。まずは、私の推し飛び地を紹介します!
推し飛び地
手の上で愛でたい、あさおくん(神奈川県)
もともと、小田急線が好きで、とりわけ多摩区と麻生区には愛着がありました。川崎市全体の図を見ているとき、付け根(川崎市をグーしてる腕だと思っている)部分にある飛び地に気づきます。川崎市全体で見てるとあまり気にならないのですが、麻生区単体で見ると、飛び地が妙にかわいいんですよね。
麻生区の飛び地は、岡上地区と呼ばれる地域。周囲を横浜市青葉区と東京都町田市に囲まれており、川崎市とは接していません。
大正時代、岡上村(現在の岡上地区)は、柿生村(現在の麻生区の東半分)との結びつきが強く、村の事務のすべてを柿生村と合同で行っていました。1927年に小田急線が開通すると、柿生村との結びつきはより一層強くなります。
1938年、岡上村の南に位置する村は、横浜市に合併することが決まります。一方で、柿生村は川崎市との合併を望んでいたため、岡上村は柿生村とともに川崎市との合併を申し入れました。2つの村の間にあった三輪村はすでに東京都であったため、岡上地区が飛び地となったのです。
みなさんもふつうに過ごしていたら、実際に住んでいない限りはあまり意識しないであろう飛び地。しかし、この飛び地がキーになるゲームがあるのです。
それが、白地図マインスイーパ!!!
白地図マインスイーパとは何か
一言で言えば、「日本地図でマインスイーパします」。ただそれだけ。
マインスイーパとは、正方形のマスに眠る地雷を起爆させないように、安全なマスを開放していくゲーム。
それを、日本地図上で行うのが白地図マインスイーパ!!!
▼アプリのダウンロードはこちら(iOS/Android共通)
http://onelink.to/hk52c7
各都道府県のステージが市区町村で区切られており、自治体のどこかには怪獣が眠っている。怪獣を起こさないように安全な自治体を開放していく、というルール。
通常のマインスイーパと同様に、安全な自治体(マス)には、数字が書かれており、その数字は「隣接している自治体の中に何匹の怪獣が眠っているか」を示しています。
どこが隣接している自治体かは、各自治体を長押しすると教えてくれるので、それをヒントにゲームを進めていきます。
ルールからわかるように、このゲームは自治体同士の隣接がとても重要になってきます。そこで、キーになるのが飛び地なのです。
飛び地について知っておくと、このゲームはよりスムーズに、より楽しくプレイできるはず。プレイする際に注目してほしい飛び地を2つ紹介します。
注目してほしい飛び地
飛び地の横に飛び地、さらに飛び地(青森県・津軽半島)
出身地の都道府県から順にゲームが始まるので、宮城県出身の私が最初に出会う激アツ飛び地帯がここ、津軽半島の一角。私の頭をこんがらがらせる難所でもあります。
認識できる大きさの飛び地なので、小さな飛び地に比べたら簡単なのですが、3組の飛び地があり、単純に頭がこんがらがります。
中泊町は、飛び地でのみ隣接している自治体がないのであまり難しく考えずに済みます。
しかし、外ヶ浜町は、主要地の隣接以外に五所川原市の飛び地と隣接しています。その五所川原市の飛び地は、外ヶ浜町の他に今別町とも隣接しています。これが地図上では非常にわかりにくい。がんばろう!
ちなみに、石川さゆりさんの楽曲『津軽海峡・冬景色』で有名な龍飛岬や日本で唯一の階段国道「国道339号線」は、現在外ヶ浜町の飛び地となっている三厩地区(旧・三厩村)にあります。
両手に花ならぬ、両手に飛び地(岐阜県大垣市)
大垣市は、双子の飛び地と呼ばれている、地域が3つに分かれた自治体です。単純に、3つあることを忘れるのよ!
大垣市の中心部が、瑞穂市、神戸町、池田町、垂井町、養老町、輪之内町、安八町に接しており、東の飛び地・墨俣地域で岐阜市、羽島市に、西の飛び地・上石津地域で関ケ原町に接しています。
西の広い飛び地・上石津地域だけに気を取られて、東の墨俣地域の存在を忘れがちなのです! 危ない危ない。
平成の大合併
この2県の飛び地は、ほぼ同時期に誕生しました。きっかけは平成の大合併です。
少子高齢化や人口減少に伴い、行政基盤を強化する必要性などの理由から、1999年以降、市町村の合併が全国的に推し進められました。それが「平成の大合併」です。
各地で合併に向けた協議が行われるも、合併に伴う課題が解決できなかったり、住民の意見が反映されにくくなることが懸念されたりと、離脱する自治体も相次ぎます。その結果、もともと予定していた合併計画が歯抜け状態になり、各地に飛び地が誕生しました。
白地図マインスイーパのすすめ
さあ、みなさんも飛び地に興味を持ってもらえたことでしょう。ゲームでは難所になりがちな飛び地ですが、愛情を持つことで、飛び地に出会ったとき、私のように「ウッホ!飛び地だ!」とテンションが上がること間違いなし!
今回紹介した場所以外にも、全国には飛び地がたくさんあります。この記事と白地図マインスイーパをきっかけに、地図を眺める楽しさを知ってもらえたら嬉しいです。
▼アプリのダウンロードはこちら(iOS/Android共通)
http://onelink.to/hk52c7
飛び地には課題もある
さて、ひとしきり盛り上がりましたが、飛び地には様々な問題も潜んでいます。主に住人の生活における負担です。
例えば、麻生区の岡上地区には中学校がなく、岡上地区の中学生は2km以上離れた柿生中学校に通います。住んでいる場所によっては、電車で通学する人もいるそうです。
他にも、地域によっては光熱費の支払い先が複雑だったり、市外局番が住所とは異なる自治体のものだったり、生活のうえで不便が強いられる場面が多くあります。また、県境をまたぐ飛び地では、緊急時に対応する警察や救急の管轄が曖昧で混乱するなどの弊害もあります。
地域の伝統や、財政の問題から誕生する飛び地ですが、それによる住人への影響も考えなくてはなりません。
参考文献
- 浅井健爾著(2008)『日本列島飛び地の謎』廣済堂出版
- インパクト著(2012)『日本の不思議! 全国飛び地と境界線地図』新人物往来社