こんにちは。高校生の頃、それまでのお小遣いとお年玉を全額使ってホルンを買ったはぶきです。
みなさんは、バイオリンの「ストラディバリウス」を知っていますか?
▲「世界一高い楽器」ともいわれるストラディバリウス via Wikimedia Commons VicenteAssensio CC BY-SA 4.0(画像を加工しています)
ストラディバリウスは楽器のブランドのようなもので、何よりも「億単位に及ぶほど高価であること」が有名です。お正月特番『芸能人格付けチェック』恒例の「高価な楽器と安価な楽器を聴き分けるクイズ」などで、名前だけ知っているという方もいると思います。
10万円出せば買えるバイオリンもある中で、なぜストラディバリウスはそんなに高値がつき、しかも購入者が後を絶たないのでしょうか?
バラエティでおなじみ、聴き比べクイズです
解説に入る前に、まずはストラディバリウスと、そうでないバイオリンを聴き比べてみましょう!
※テレビのクイズのように「同じ曲の聴き比べ」になっていない点をご了承ください!
不正解でも、音楽力のなさを嘆く必要はありません。なぜなら、藝大入試に3回合格している私も聴き分けられないからです。その理由は後ほどご説明するとして……
それでは、ストラディバリウスの魅力を学んでいきましょう!
ストラディバリウスが何億円もする「3つの理由」
ストラディバリウスが高価な理由は、大きく分けて3つあります。
1. ストラディバリさんの高い技術
そもそもストラディバリウスとは、17〜18世紀にイタリアで活躍したアントニオ・ストラディバリが製作した楽器の総称で、特にバイオリンを指して使われます。彼は、楽器製作における大変高い技術を持っていました。
▲楽器作りの達人・ストラディバリさん
楽器の音は温度や湿度など、環境の影響を受けやすいもの。ストラディバリが生きていた17〜18世紀にはなかった環境やヨーロッパから遠く離れた国で弾いても、何も問題なく美しく聴こえるということが、彼の作ったバイオリンの品質の高さを物語っています。
2. 現代には存在しない、こだわりの木材
ストラディバリウスには、小氷期時代の木材が使用されています。
「小氷期」とは、16世紀後半〜18世紀末ごろの、地球全体がやや寒冷だった時期のことです。この時期は夏に気温が上がりにくかったため、木の年輪の間隔が現代の木材よりも均等であり、これがストラディバリウスの独特な音色を生んでいると考えられています。
▲小氷期のイメージ。今とは木の質が違った
このため、たとえ3Dプリンターで同じ形のバイオリンを作れたとしても、ストラディバリウスの音質は再現できないのです。
3. 世界に600しかないのに、需要が多い
ストラディバリは1737年に亡くなった故人であるため、当然ながら彼の作った楽器は今あるものが全てで、これ以上増えることはありません。現存しているのは、バイオリンに限って言えば、世界に500〜600挺ほどしかありません。
▲超貴重なストラディバリの楽器 via Wikimedia Commons Larry Jacobsen CC BY 2.0(画像を加工しています)
しかし、高い品質で有名なストラディバリウスは、現存する楽器数に対して需要が非常に多いのです。そのため、需要に応じて価格もどんどん高くなります。
他の楽器と聴き分けるポイント
ここからはストラディバリウスの音色の特徴について解説していきます。
ストラディバリウスの音色の大きな特徴は、ズバリ「音の飛び方」 !
ストラディバリウスは密度の濃い音を、大きなホールの最後列まで届けられる「遠鳴り」が特徴です。専門家によれば、この音の飛び方で簡単に判別がつくそうですよ。
▲遠くの席まで、音が「飛んでくる」
つまりこれは、録音された音だけでは判別がしづらいということでもあります! 必要以上にテレビの前で悔しがらなくて良いのです。
解説を読んだところで、復習クイズ!
ひと通りの解説が済んだところで、もう一度クイズに挑戦してみましょう。ストラディバリウスを知った上で聴いてみると、何か変わるものがあるかもしれません。
生のストラディバリウスを聴いてみよう
ストラディバリウスが高価な理由は、原材料などの値段よりも、製作者の高い技術や希少性にありました。
実は日本にも、ストラディバリウスの楽器を持っている演奏家は何人もいます。有名な日本人バイオリニストでは、高嶋ちさ子さんや、千住真理子さんなどがストラディバリウスを所有しています。
ぜひコンサートに足を運んで、生のストラディバリウスの音を聴いてみましょう!
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サムネイル画像出典:Wikimedia Commons Violachick68 CC BY-SA 3.0(画像を加工しています)