問題の解説
問題1:緊急時、安倍首相はボタン一つでミサイルを発射できる?→×
アメリカの場合、もしもに備えてミサイル発射についての装置が常に大統領の側に置かれます。つまり、大統領の一存でミサイルは発射されます。
さて、いざミサイルが日本を標的に発射されたらどうするのでしょうか?
その場合は、「破壊措置命令」が出されます。これは日本を標的にしたミサイルの破壊を許可する内容の防衛大臣の命令で、防衛大臣が首相の認可を受けて出します。つまり、間接的には首相が関わってはいますが、アメリカとは異なり即座に首相が発射命令を下すことはできません。
ちなみに、昨年8月に破壊措置命令が常時出されるようになりました。そのため現在は自衛隊がいつでも迎撃できるようになっています。
問題2:アメリカでは、恩赦を行うのは大統領だけではない→○
恩赦(おんしゃ)とは、政府が牢屋にいる人の罪を減らすことを意味します。
我が国では、憲法において恩赦は内閣が決定し天皇が認めると定められています。
一方、アメリカでは大統領は強い力を持っていますが、州ごとの力も強いです。例えば、州ごとに独自の法律が定められています。
このことを象徴するかのように、アメリカでは連邦法違反についての恩赦は大統領が、州法違反についての恩赦は州知事が、それぞれ行うという形をとっています。
問題3:ドイツvsフランス どっちの方が首相の仕事が多い?→ドイツ
国際面のニュースを見ると、ドイツはメルケル首相、フランスはオランド大統領が出てきます。一方で、ドイツにも大統領、フランスにも首相がそれぞれいます。これはどういうことなのでしょうか?
ドイツでは、大統領が国の「象徴」の役割を果たし、首相が政治を全て動かします。日本の天皇陛下と総理大臣の関係を想像すればわかりやすいと思います。
一方、フランスにおいて大統領が果たすのは「象徴」の役割だけではありません。大統領は外交において強権を握っています。その分、首相が果たす役割は内政が中心になります。
よって政治の実権を全て握るドイツの首相の方が、フランスの首相より仕事が多いと言えそうです。
問題4:中国や北朝鮮で一番偉い役職は国家主席である→×
中国や北朝鮮については国家主席が元首になります。にもかかわらず国家主席は国で最も権力がある役職ではないのです。
実は、中国や北朝鮮で最も権力があるのは党の総書記なのです。それは、党が国の政治体制(主席をトップにした体制)を作るという形をとっているからです。
問題5:オリンピックの開会式で、開会宣言をするのは行政府の長である→×
開会式で開会宣言を行うのは国家元首と定められています。なので次の東京オリンピックではその際に在位している天皇が行うことになります。
これは、オリンピック憲章に定められているのですが、つまり国全体を「象徴」する儀式については、その元首が実権を握っていようと(例:ロシア)いなかろうと(例:イギリス)元首が行うということになります。
いかがでしたか? 首相と大統領がどういう関係か、あるいは元首と行政府の長がどう違うかを、ぼんやりとでもつかんでいただけたら幸いです。