どうも、チャンイケです。
「千里眼」という言葉をご存知だろうか?
「遠く離れた場所の出来事や、将来を見通すことができる能力」のことだ。
僕は、ふと思った。
この能力を身につけてしまえば、手っ取り早くいろんな場所を観光できちゃうんじゃね?
このご時世、世界旅行は到底できそうもない。しかし千里眼を身につけてしまえば、一歩も外に出ることなく世界旅行が可能となる。
なんともロマンがある話ではないか(旅行業界の方には申し訳ないが……)。
ということで、千里眼になる方法を考えてみた。
今回観光する場所は、東京から約4400km離れたアンコール・ワット。千里は約3927kmなので、「アンコール・ワットを見ることができたら千里眼を習得した」といえるだろう。
▲日本からアンコール・ワットを見ようとする僕。
早速実験だ!
さて、我々人類はすでに、遠くを見る方法を知っている。
そう、天体望遠鏡だ。
遥か彼方の天体を見ることができる天体望遠鏡を使えば、家からアンコール・ワットも見えるのでは……!?
……って、あれ? 見えるのは綺麗な海と空だけ。アンコール・ワットなんか見えやしない。
そうか、地球は丸いから、遠くの場所は水平線の下に隠れてしまうのか。
とりあえず、通常の状態では何km先まで見えるのか、そして水平線の下を見るにはどうすればいいかを、数学を使って考えてみた。
通常の状態だと何km先まで見える?
計算を行うにあたり、以下のように条件を設定する。
- 地球を完全な球体とし、チャンイケ、アンコール・ワット、地球の中心を通る平面で地球を真っ二つに切断する。その切断面である円の中心をO、半径をR(=6400km)とする。
- チャンイケの足下をP、頭の先をP’とし、身長PP’をh(=1.7m)とする。
- P’から円に向かって接線を引き、円との接点をQとする。
- 扇形POQの中心角をθとする。
- π=3.14とする。
このとき、目線(接線)と地球(円)の接点が水平線の端であり、それより下は見えないことを考慮すると、点Qが見える場所の限界となる。従って、弧PQの長さが見える距離となる。
ここから計算に入るが、「結果だけ知りたい!」という方は、数式はすっ飛ばして模式図だけを見てほしい。
従って通常の状態では、約4.7km先の場所まで見えるということになる。目標とする4400kmには程遠い。
より遠くを見るには?
では、アンコール・ワットを見るにはどうすればいいか?
以下の図を見てほしい。点Qをアンコール・ワットの位置に置くと、接線の傾きが大きくなった。
それに伴い、チャンイケの視点も高くなった。
従ってアンコール・ワットを見るには、観測者の視点を高くすればいいということになる。
残念ながら僕は宙を舞うことができないので、どれくらいの高さの脚立が必要か、計算してみた。
アンコール・ワットを見るのに必要な脚立の高さを求めよう!
さあ、いよいよ必要な脚立の高さを計算する。結果をお急ぎの方は図だけでもどうぞ。
従って、アンコール・ワットを見るのに必要な脚立の高さは約1879km!
……まあ、なんとかなるだろう。
さらに脚立を高くするとどこまで見れる?
一旦話を脱線して、もーーーーっと高い脚立を用意できた場合、一体何km先まで見れるか確認しておこう。
「早く結果を」という方は、図だけでも。
地球一周は約40000kmなので、θが90°の時、弧PQの長さは約10000km。従って9500kmぐらい先までなら、脚立を用意さえすれば見ることができそうだ。
家の上空2000kmは日本なのか
閑話休題。
アンコール・ワットを見るのに必要な高度は約2000km。
残念ながら、一歩も外に出ずに見る夢は叶わなくなった。
最後の悪あがきとして、自分の家から2000km上空の場所が日本国内と認められるのかを調べてみた。
国際航空連盟により高度100km以上の空間は宇宙と定められているから、高度2000kmは宇宙空間だ。
宇宙について調べていると、1966年に国連が採択した宇宙条約の第2条に、こんな記載を見つけた。
月その他の天体を含む宇宙空間は、主権の主張、使用若しくは占拠又はその他のいかなる手段によっても国家による取得の対象とはならない。
つまり、宇宙はどの国のものでもないということだ!
ということで、アンコール・ワットを日本国内から直接見ることは不可能だ。千里眼を身につける夢が、絶たれた。
しょうがない、Google Earthでも眺めるか。