昔から妖怪・ドンナイミコゾウ(「どんな意味?」小僧)だったあさぬまです。
そんな私の強い味方は国語辞典。ということで、推しコンテンツを紹介する「おすすめの一品」、今回は国語辞典をご紹介します。
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子供の頃から、初めて聞くことばに出会うと、意味を親にしつこく聞いてきた私。小学校で国語辞典の引き方を習ってからは「辞書を引きなさい」と返され、それ以来知らないことばの意味は国語辞典が教えてくれました。
それから、勉強机で使うもの、リビングに置いて家族みんなで使うもの、学校のお道具箱に入れるもの……と配置していった結果、気づけば私の周りには複数の国語辞典が。
そこで気づいたのが、「国語辞典によって、書き方が違って面白い」ということ。新しく辞書が出ると、すぐ買って手元に置くようになりました。
そのなかから今回ご紹介するのが『新明解国語辞典』。昨年(2020年)11月に最新の第八版が発売されました。
新明解の推しポイントは、「読んでいて面白いところ」。収録されていることばを説明する語釈と呼ばれる部分が、とてもユニークで楽しいのです。
国語辞典を「読む」ってどういうこと?という方へ。例として、「親の顔が見たい」ということばを調べてみましょう。少し古めのことばですが、耳にしたことはありますよね。
違いがわかるように、いくつかの辞書を引き比べてみます。まずは広辞苑。最も知名度の高い国語辞典のひとつです。
よその子供の言動に驚き呆れたような場合にいうことば。
なるほど。
次は三省堂国語辞典。新明解と同じ、三省堂から出ている国語辞典です。
しつけやおこないの悪い(若い)者に対して言うことば。
うんうん。確かにそんな感じですよね。
これが新明解国語辞典の語釈だと、こう。
(主に若い人に対して)とんでもないことをした人を罵り、責めるために言う言葉。(文字通りに本当に見たいわけではない)
わかりますか。これまでとの差。
攻めた語釈に、「文字通りに本当に見たいわけではない」のおまけ付き。ことばの意味だけでなく、ただ相手にぶつけるだけのことばということがわかります。これが「読んでいて」面白いポイントです。
紙の辞書での調べ物は、調べたい単語にすぐアクセスすることがほぼ不可能なので時間がかかります。でもその前後で、初めて出会うことばや、その意味・解釈を知ることができて面白いのです。いわば目的地に着くまで寄り道をしているようなもの。
新明解は、寄り道の誘惑が強く、それが特に楽しい国語辞典です。私は、この誘惑に引っ掛かるために新明解を使っているといっても過言ではありません。調べ物をしているとき、こんな語釈に出会ったらつい読んでしまいませんか?
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電子辞書やインターネットに頼るのは早くて便利ですが、たまには紙の辞書を引いてみるのも面白いですよ。自分が知らないことばの世界と出会えるかもしれません。
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