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研究者は「象牙の塔」になんていない

論文が採択されるまでを聞いていると、研究者の方ってずっと研究室で論文を書いたり、実験したりしているのかな……と思うんですが、実際どうなんでしょう?
▲研究者ってこういうイメージ
確かにね。もちろんそういうことをする分野もあると思いますが、少なくとも、部屋に閉じこもってパソコンに向き合っているとか、フラスコを眺めているばかりの人はどの分野にもいないと思いますよ。
あれ、そうなんですか?
どの分野でも、研究者だからこそ、他の人と議論を交わしたりして、研究をブラッシュアップしていくということを意識的にしていると思います。
そうなんですね……!
閉鎖的な学者生活や研究室のたとえで「象牙の塔」という言葉があるんですが、僕はあれは嘘だなと思っていて。そういう人は、少なくとも僕の知る限りではいないですね。みんなアクティブに話しています。
▲2023年12月の学会にて。学会も他の研究者と交流する場
僕がやっている認知科学に関しては、実験をやることが多い分野です。研究をするにあたって、「どんな結果を見せれば実験者が回答してくれるか、協力してくれるか」は大事になります。
確かに、突然「実験付き合ってよ」と言われるとちょっと怖い気がしますね。
論文を書く時も、表現についての意見交換や分析の報告、チェックの依頼などをかなり頻繁にやるんですよね。「人と関わらない」「閉じこもっている」ということはないです。
研究者ほどアクティブというか、「人と関わる」ということは研究に欠かせない要素なんですね。

今後は「研究のファンを増やしたい」

前回のインタビューで、「クイズをブームではなく文化に」という言葉が出てきたのが印象的です。1年経って、この言葉について心境の変化はありますか?
そうですね、僕だけの力じゃまだまだだと思っています。クイズが文化になったかは、僕ではなくて、クイズに関わっている多くの人が決めることだと思うようになりました。
と言いますと?
クイズって、出題者、回答者、競争者という3者の相互作用があると思うんです。もっと広く捉えれば、観戦する人もいますよね。

僕はいま心理学や認知科学の観点から研究していますが、工学的なアプローチや、エンターテインメントとしての分析もできると思います。
僕はクイズがこういった他の分野へ波及する可能性もあると思っていて、クイズが文化になるかは、この青写真が描けてきてようやく考えられるんだと思います。
ただ、今回の研究で僕はその一部分に関われたと思っていますし、この研究を面白いと思ってくれた他の分野の人がいたら、共同研究もやってみたいなと思いますね。研究のファンを増やしていきたいです。
研究のファン、増えていくと思いますよ! 研究者も、クイズプレイヤーも、今後の展開が気になる人はたくさんいる気がします。
そうですかね? でも確かに、僕自身、しばらく研究中心になっていた生活が、 「クイズを研究する」ようになってから変わりましたね。昔の友人がクラウドファンディングなどで支援をしてくれたりして、クイズと接点のある生活が戻ってきました。そういう意味でも、この研究を続けてきて良かったと思っていますし、まだまだがんばっていきたいですね。
▲ありがとうございました!

「クイズ」という、誰もが存在は知っている遊びを「文化」の域まで育てるために、研究を続ける白砂さん。お話を伺っていると、白砂さんが思い描いている世界は今よりもずっと大きく広がっているのだと改めて感じました。

学術的に見ればまだ解明されていないことも多い「クイズの世界」に、希望を持って挑む白砂さんの姿を、引き続き応援したいと思いました。

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この記事を書いた人

あさぬま

好きなひらがなは「ぬ」。QuizKnock編集部で記事の編集をしています。人の話を聞くことが大好きです。

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