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2018年4月4日、Twitterにとあるツイートが投下された。

当時のツイート(現在は別の関係者が管理しています)

投稿主は何を隠そう神戸大学1回生だった頃の私「永岡 優」である。もう一度言う。入学したばかりの新入生が、新入生に向けて投稿しているのである。ここから「神戸大学クイズ研究会」の歴史が始まった。

これからお送りするのは「大学1年生からクイズサークルの創設・運営に奔走した学生のドキュメンタリー」である。

永岡 優(ながおか・ゆう)
1998年生まれ、島根県出雲市出身。幼少期からクイズ番組に憧れ、2018年に神戸大学でクイズ研究会を設立。2019年、「超逆境クイズバトル!! 99人の壁」(フジテレビ系)に出演しグランドスラムを達成

きっかけは「高校生クイズ」での惨敗

時はさらに遡って2015年、私の高校生時代の話である。「第35回高校生クイズ」の島根県予選に出場する。このとき生涯で初めて早押しボタンに手をかけた。昨年の代表者もいるなかで善戦し、決勝で敗れたものの、予選で好成績を残したチームに与えられる「21世紀枠」で辛くも全国大会に出場した。

迎えた本戦。全校一斉早押しクイズでは、文字通り手も足も出なかった。ペーパークイズも60校中40位台。オンエアではおそらく2秒も映らなかった。

ただの「クイズ番組ファン」だった私では、研鑽を積んだ全国の「クイズプレイヤー」には太刀打ちできなかった。

彼らと同じ環境に身を置いて、同じ景色を見たい――。私はこのとき、大学ではクイズサークルに所属して、「これを超えるアチーブメントを打ち立てる」ことを胸に誓うのだった。

致命的な誤算「クイズサークルがない」

3年後、縁あって神戸大学に進学した。しかし、ここで重大な事実が発覚する。神戸大にはクイズサークルがなかった※1のだ。
※1)厳密には、かつて存在していたが引継ぎがうまくいかずある時期に消滅したらしい。

▲神戸大学六甲台本館 via Wikimedia Commons 0-0t CC BY-SA 3.0

「都会のすべての大学にはクイズサークルがある」と思い込んでいた私は、入学前にロクにリサーチをしていなかった。致命的な誤算である。

今(2022年)でこそ、クイズサークルがある大学は増えたが、2018年当時でクイズサークルがある関西の大学といえば、京都大・大阪大・立命館大・大阪市立大くらいだった。

出雲から神戸に越してきて、大学のサークル勧誘イベントに参加しても、やはりどの団体もしっくりこなかった。4月4日、大学の入学式から虚無感を抱えて帰宅した私は、冒頭のツイートを半ば自棄気味で投下するのだった。

思わぬ反響。そしてわずか1カ月で……

1件の通知

その晩にはDMが来た。「興味があります!」と新入生からだ。その後も怒涛のように連絡が来た。神大生だけではなく他大学の人、さらには神戸大を志望している受験生からも! その受験生は関西で活動している初心者向けの社会人クイズサークルの存在も教えてくれた。

▲想像以上の反響に戸惑いを隠せない投稿

さっそく、連絡をくれた学生たちとアポをとって面会した。また、その社会人クイズサークルにも恐る恐るエントリーの連絡を入れた。それと並行して、どうすればサークルを設立できるのか大学に問い合わせて回った……。

そうして5月16日。約1カ月後のことである。

▲あっという間に実現できてしまった

「神戸大学クイズ研究会」はサークルとして承認された。あまりにも急転直下でトントン拍子。脳内に「立ち上がリーヨ」が流れていた。

▲問題を読んでいるのが筆者。最初は8人がけの学習室から始まった

順風満帆の滑り出しだったサークル生活。しかし、クイズ研究会の「会長」となった私は、この後いくつかの壁にぶち当たることになる

次ページ:憧れたクイズとのギャップ、人間嫌い……私が「会長」として胸を張れるまで

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この記事を書いた人

永岡 優

ジャンル「オオカミ」で「超逆境クイズバトル!!99人の壁」に出演するなど。神戸大学大学院修士課程修了(システム情報学)。日常に溢れる教養を楽しい切り口でお届けします。

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