\ 連載「クイズを味わう」 /
「クイズ」は、物知りな人が解いて答えるだけのもの? いやいや、問題に込められたメッセージや「たくらみ」を見つけるのも、クイズの楽しみ方のひとつ。
毎回1問のクイズを取り上げ、「いいクイズ」「面白いクイズ」の秘密をひもときます。毎週金曜日のお昼に更新予定です!
映画『教皇選挙』は観ただろうか。もしまだ観ていなければ、この記事に致命的なネタバレはないので、読んだあとでぜひ観てみてほしい。
新しい教皇を選ぶための枢機卿たちによる選挙(コンクラーベ)を、亡くなった前教皇や参加者たちの思惑が渦巻く政治劇として描いた、サスペンスフルな映画だ。
個人的な記憶としては、イザベラ・ロッセリーニが演じているシスター・アグネスというキャラクターが印象に残っていて、鑑賞前の期待からはすこしずれたところにあった面白さの感触をよく覚えている。
昨年(2025年)3月に日本で公開されてかなりの話題となり、WHAT2025でもぜひ出題したいということになった。ただ、出題にあたって乗り越えるべき困難が2つあった。
ネタバレは厳禁
ひとつは、ミステリーの要素がある作品を出題するときにいつも悩ましいことだけれど、ネタバレを避ける必要があるということ。ある程度作品の内容に触れることは避けられないものの、観たときの面白さを不可逆的にそこなうような情報はなるべく言わないようにしたい。
もうひとつは、この映画を紹介するにあたって「コンクラーベ」という言葉が使えないこと。
なぜかというと、邦題こそ『教皇選挙』だけれど、原題は Conclave だからだ(序盤にでかでかと出るタイトルバックで、否も応もなく意識させられる)。答えになりうる言葉をそのまま問題文には入れづらい。
この2つの条件を守りつつ、映画を実際に観た人や興味をもった人が早く押せるような問題にしたい。どうすれば……。
映画の「感覚」を宿す
どうすれば……とローレンス枢機卿(レイフ・ファインズ)の困り顔を思い浮かべつつ、改めて映画について考えてみる。問題は、どうすれば選挙らしさを「選挙」と言わずに伝えられるかではないか。
この映画で描かれるコンクラーベで特徴的なことといえば、名前が繰り返し読み上げられることだ。票に書かれた名前を一つひとつ読み上げていく開票の場面が何度も登場する。
ではいっそのこと、同じように名前をたくさん読み上げる問題文にすれば、この映画を観るときの感覚に近い何かが、問題文に宿るのでは……?
ということで、今回の問題はこちら。

名前と、その人たちが枢機卿であるということを言い添えている以外に、ほとんど内容の説明をしていない。この情報のうすさを、6人もの名前を言う破格の列挙が補っている。
すでに『教皇選挙』を観た人は、並ぶ名前のもたらす印象から映画を観たときの記憶を呼び起こせるように、まだ観ていない人は、次々に名前が言われる異質さを感じて映画体験の入口を得られるように、という期待をもって書いたものだ。
ちなみに、6人の名前をどういう順に並べるかということにも難しい塩梅があったのだけれど、映画のネタバレになってしまうのでここでは言わないことにする。映画を観てから、改めて問題文を読んでみてほしい。
文章を書くことは、ただ意味を伝えるだけのことではなく、その文章に触れるという体験そのものを組み立てることだ。それはきっと、わたしたちが他者や世界を想像することのはじまりでもある。
(文・井口凜)
「WHAT 2026」エントリー募集中!
「ハイスクールクイズバトル WHAT 2026」は、高校生以下の方が参加できるクイズ大会です。
エントリーはこちらから!

大会のルールや楽しみ方などの最新情報は、WHAT公式Xでも更新中! フォローの上、ぜひチェックしてみてくださいね。
「クイズを味わう」は毎週金曜日のお昼に更新予定です。Xのハッシュタグ「#クイズを味わう」で感想をお寄せください。次回もお楽しみに!
【前回の記事はこちら】
【あわせて読みたい】










.jpg)










.jpg)







