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今年のノーベル平和賞でも話題!「国際法」をちょっと知っておこう

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今年のノーベル平和賞でも話題!「国際法」をちょっと知っておこう

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力がものを言う世界で、「法の支配」にできることは?

ICCの所長を務める赤根智子さんが、アメリカから制裁を受けたというニュースは知っていますか?
日本人の方ですよね。ネットでもけっこう話題になっていましたね。
2026年8月、アメリカ政府が赤根さんを制裁の対象にしました。アメリカにある資産の凍結や、アメリカへの渡航禁止などが中身です。
赤根さん自身も、送金などに支障が出ていると明かしています。
▲オランダ・ハーグにある国際刑事裁判所(ICC)の庁舎
そもそも、1つの国が勝手に制裁していいものなんですか?
実は、1つの国が制裁することをはっきり禁止する条約はないんです。
今回の制裁は、アメリカが自分の国の法律にもとづいて行っているものなんですね。
アメリカは、どうしてそこまでICCに反発しているんですか?
アメリカはICCに加わっていなくて、「自分たちが同意していない裁判所に、自国民を裁かせない」という立場なんです。
これは今の政権に限らず、歴代の政権に共通する立場。ICCには中国やロシア、インドなども加わっていません。
アメリカだけが特別、というわけではないんですね。
そのうえで、ICCがアフガニスタンでのアメリカ兵の行為を捜査しようとしたことや、イスラエルの首相に逮捕状を出したことが、背景にあるとみられています。
アメリカにはアメリカの言い分があるんですね。
ただ、ICCがロシアのプーチン大統領に逮捕状を出したとき、当時のバイデン政権は歓迎していたので、「都合のいいときだけ支持するのは二重基準だ」という批判も出ています。
しかもノーベル平和賞が発表されたその日に、アメリカはICCという組織そのものにも制裁を科すと発表しました。
裁判所そのものを、力で押さえ込もうとしている……ようにも見えますね。
そういう受け止め方は少なくありません。赤根さんも会見で、「ICCに対する制裁は法の支配の危機だ」と語っています。

法の支配:権力を持つ人や国であっても、あらかじめ決められたルールに従わなければならない、という考え方。強い者が思いどおりに物事を決める「力による支配」と対比して使われる。

でも、強制力の弱い国際法に、力に立ち向かう手立てなんてあるんでしょうか?
万能ではありません。ただ私は、国際法のいいところは、守らせることよりも「根拠をつけさせる」ことにあると思っているんです。
根拠をつけさせる……どういうことでしょう?
これはアメリカに限らず、どの国にもあてはまる話なんですが……。
たとえば、力の強い子がケンカに勝って、ほかの子のおもちゃを取り上げたとします。ルールのない世界なら、それで終わりですよね。
強い子が取ったもの勝ち、ですね。
でもルールがあれば、その子も「なぜ取ったのか」を説明しなければいけない。
説明できなければ、周りの子たちの信用を失っていきます。
さっきの「言い訳」の話ですね。力の強い国にも「なぜそうしたのか」を問える、と。
そうそう。完全に止めることはできなくても、あったほうがいいんです。
だから、ルールを支える側の国も大事。実は日本は、ICCにいちばん多くの分担金を出している国なんですよ。
所長も日本人ですし、日本は「守る側」の最前線にいるんですね。
もっとも、赤根さんの件では、日本はアメリカとの同盟関係もあって、難しいかじ取りを迫られていますけどね。
支える立場と、同盟関係とのあいだで、バランスが難しいんですね。
冒頭で紹介したピレイさんも、アパルトヘイト(人種隔離政策)の時代の南アフリカで、弾圧された活動家たちを法廷で弁護してきた人です。
力に対して、法で向き合い続けてきたんですね。

国際法とは「ないと困るおやくそく」

今回の平和賞が国際法の専門家に贈られたのにも、メッセージが込められています。
ノーベル委員会の委員長は、国際法の体系が「大きな圧力にさらされ、その諸機関は攻撃を受けている」と述べています。そして、「最も強大な国々には特別な責任がある」とも。
最初の質問に戻りますけど、結局、国際法ってひと言で言うと何なんでしょう?
ひと言で言い切るのは、正直難しいんです。ただ、あえて言うなら、「パッとこれとは言えないけれど、ないと困るもの」でしょうか。
強制力の弱い“おやくそく”です。それでも、手紙が届くのも、電話がつながるのも、強い国に説明を求められるのも、このおやくそくがあるから。
回覧板を回さない家が出てきたからといって町内会をなくしたら、みんなが困ってしまいますもんね。
そうなんです。今の世界は、国際法のおかげで成り立っている部分がたくさんあります。
すぐに全部わかるものではないけれど、「大事なものなんだ」ということだけでも、知っておいてもらえたらうれしいです。


記事への感想・ご意見は、Xのハッシュタグ #ニュース解体中 でぜひ教えてください。次回もお楽しみに!

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【画像出典(画像を一部加工しています)】
ナビ・ピレイ氏:Wikimedia Commons Wayamo Foundation CC BY-SA 2.0
万国郵便連合の記念碑:Wikimedia Commons Baikonur CC BY-SA 3.0
平和宮:Wikimedia Commons Iamthestig CC BY-SA 3.0
国際刑事裁判所(ICC)の庁舎:Wikimedia Commons OSeveno CC BY-SA 3.0

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Alex

Alex

シンガポール在住。現在はシンガポール国立大学・リークアンユー公共政策大学院で公共政策を研究しつつ、(株)batonの海外業務も担当しています。 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)出身。世界情勢・国際関係の面白さを伝えていきたいです。

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