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第27回・事実を斜めに見る【クイズを味わう】

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第27回・事実を斜めに見る【クイズを味わう】

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\ 連載「クイズを味わう」 /

「クイズ」は、物知りな人が解いて答えるだけのもの? いやいや、問題に込められたメッセージや「たくらみ」を見つけるのも、クイズの楽しみ方のひとつ。

毎回1問のクイズを取り上げ、「いいクイズ」「面白いクイズ」の秘密をひもときます。毎週金曜日のお昼に更新予定です!

今回取り上げるクイズはこちら。


答えは「相続」。

「ソウゾクハ/シボウニヨッテ/カイシスル」。たしかに5・7・5になっている。この問題を見ると、思わず口が動いて、リズムよく条文を唱えてしまいそうになる。

急いで解説すると、民法第882条は、民法を5編に分けたときの第5編「相続」の最初に置かれている条で、相続開始の原因を規定する重要なものだ。単に条文が5・7・5で面白いだけのものではない。

それはそれとして、条文が5・7・5になっているという事実はとても面白い。民法についてよく知らなくても、人に話してしまいたくなるくらいに。

学問の自由は、これを保障する。(日本国憲法第23条)

すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。(日本国憲法第27条第1項)

理事会は、すべての理事で組織する。(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第90条第1項)

この問題は、民法の条文を、その本来のあり方とはすこし違う視点から捉えている。まっすぐ正面からではなく、斜めや裏側から見るのである。

クイズは学問のように体系だったものではないけれど、だからこそそういう、角度の違う視点の取り扱いには長けている。

あなたはこんなふうにも世界を面白がることができるんですよ、と教えてくれるような。

今までとは違う視角をもつことで、世界がずれて新しく見えるということがある。知っているつもりでいたものに新鮮な気持ちで接することで、隠れた本質のようなものに触れた感覚をもつこともある。

このように一つの物が、視線の方角を換えることで、二つの別々の面を持ってること。同じ一つの現象が、その隠された「秘密の裏側」を持ってるということほど、メタフィジックの神秘を包んだ問題はない。私は昔子供の時、壁にかけた額の絵を見て、いつも熱心に考え続けた。いったいこの額の景色の裏側には、どんな世界が秘密に隠されているのだろうと。私は幾度か額をはずし、油絵の裏側を覗いたりした。そしてこの子供の疑問は、大人になった今日でも、長く私の解きがたい謎になってる。
(萩原朔太郎『猫町』)

この問題を見たあなたはもしかしたら、法律というものを単なるルールの束ではなく、何だかふしぎな言葉の塊のようにも感じていたりするのではないだろうか。法律はすこし呪文に似ているとわたしは思う。

(文・井口凜)

今回の問題が収録されている本

『Megalomania Tokyo 5』(BOOTHで販売中)


「クイズを味わう」は毎週金曜日のお昼に更新予定です。Xのハッシュタグ「#クイズを味わう」で感想をお寄せください。次回もお楽しみに!

【前回の記事はこちら】

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