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「東大が〇位」だけじゃない?「世界大学ランキング」は何を見ればいいのか

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「東大が〇位」だけじゃない?「世界大学ランキング」は何を見ればいいのか

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ランキングは「何を測っているか」で順位が変わる

よく取り上げられる「世界大学ランキング」は、主に3つあります。QS、THE、それから上海ランキングです。

3つの主な世界大学ランキング

・QS世界大学ランキング:イギリスの高等教育情報会社クアクアレリ・シモンズ(QS)が毎年発表。最新版は2026年6月発表の「2027」。

・THE世界大学ランキング:イギリスの高等教育専門誌「タイムズ・ハイアー・エデュケーション」が毎年発表。

・世界大学学術ランキング(ARWU):中国の上海交通大学が始めたランキングで、通称「上海ランキング」。現在は上海の民間機関が毎年発表。

ニュースだと「世界大学ランキング」とひとくくりにされている気がします。
そうなんですよ。でも、中身は全然違っていて。いちばんの違いは「評判」をどれくらい重視するか、なんです。
まずQS。世界の学術関係者に「いい大学はどこですか」と聞いた評判が30%。企業の採用担当者などに聞いた雇用主からの評判が15%です。
合わせて45%……。半分近くが「どう思われているか」で決まるんですね。
そうなんです。ほかにも、論文がどれだけ引用されているか(教員1人あたり)が20%、学生1人あたりの教員数が10%。留学生や外国人教員の割合といった国際性も見ています。
ひと言でいえば、QSは「その大学が、今どう思われているか」を測るランキングですね。
次にTHE。こちらも評判が教育と研究を合わせて33%あるんですけど、引用数などから見る論文の影響力にも30%を割いているんです。
研究費や論文の生産性も見ているので、「今、研究の体力があるか」を測っているイメージですね。
「上海ランキング」はどうなんですか?
上海ランキングは、評判の比重がゼロなんです。
ゼロですか! じゃあ、何で順位が決まるんでしょう?
卒業生や教員がノーベル賞などの大きな賞を受賞したかどうかで30%。
あとは、よく引用される研究者の数、『ネイチャー』『サイエンス』という有名な科学誌に載った論文の数などですね。
つまり上海ランキングは、「あなたの大学は、この100年で人類に何を積み上げたか」を見ているわけです。
同じ「世界大学ランキング」でも、見ているものが全然違うんですね。
この違いがよくわかる例があって。私が所属していた大学の話なんですが……アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校(以下、UCLA)と、シンガポール国立大学(NUS)です。
QSの最新版だと、シンガポール国立大学が10位でUCLAが49位。ところが上海ランキングの2026年版では、UCLAが14位で、シンガポール国立大学は53位なんです。
ほとんど入れ替わっていますね。どうしてそこまで差が出るんですか?
▲シンガポール国立大学(左)とUCLAのロイス・ホール(右)
「誰のための、何のための大学か」が違うからなんですよ。
UCLAはカリフォルニア州の州立大学。州民の教育のための大学なので、留学生をどんどん増やすわけにはいかず、国際性の指標では伸びにくいんです。
いっぽうで、ノーベル賞受賞者を多く輩出していて、医学部もあるから論文もたくさん出る。だから上海ランキングでは強いんですね。
シンガポール国立大学は逆に、世界中から人を集めて研究してもらう戦略。留学生や外国人教員が多いので、評判や国際性を重視するQSでは上位に来やすいわけです。
大学の目指しているものによって、得意なランキングが違うということですね。
そういうことです。どれかのランキングが正しい、という話ではないんですよ。

ランキングを「取りにいく」国と大学

でも仕組みがわかると、ランキングに合わせて順位を上げようとする大学も出てきそうですね。
まさにそうなんです。特にQSは測り方が明瞭で、半分近くが評判ですからね。
外国人教員や留学生を増やしたり、世界に名前を知ってもらう努力をしたりすれば、順位を上げやすい。国が予算や政策で戦略的に押し上げやすいランキングともいえます。
中には問題視された例もあって。よく引用される海外の研究者にお金を払って、論文の所属先に大学の名前を入れてもらっていた大学がある……と、科学誌で報じられたこともあります。
そこまでするんですね……。
日本の感覚だと、驚きますよね。ただ私は、こうした国の動きを頭ごなしには批判できないとも思っていて。
たとえばシンガポールや韓国は、国の規模が日本より小さいんです。世界から優秀な人を集めないと、研究でも経済でも戦いにくい。ノーベル賞を取る人が出るのを100年待っていたら、間に合わないわけですよ。
たしかにそうですね。
それに、こうした国々にとって大学は「輸出産業」でもあるんです。留学生が海外からお金を持って学びに来る……つまり、教育というサービスを外国に売っているわけです。
世界から学生や研究者を呼び込めれば、学費や研究費が国に入ってくる。優秀な人がそのまま国に残ってくれれば、人材の獲得にもなります。
実際、韓国やシンガポールの大学では、ランキングの順位を掲げた大きな垂れ幕を見かけることもありますね。
垂れ幕まで! 大学が、国の経済を支える産業のひとつなんですね。具体的には、どんなふうに誘致を図っているんですか?
シンガポールでは、優秀な教員をアメリカの有名大学に匹敵する給料・低い所得税といった条件で呼び寄せていますね。
韓国の延世(ヨンセ)大学のケースもおもしろいですよ。
韓国の大学は成績評価がとても厳しい相対評価で、GPA(成績の平均値)のわずかな差が、大企業に就職できるかどうかに響くともいわれています。だから、ふつうの学部に優秀な留学生を混ぜて一緒に成績をつけると、反発が起きやすいんですね。
就職がかかっているなら、学生からすると気になってしまいますよね。
そのうえ入学定員の規制があって、ふつうの学部の枠を広げるのも難しい。で、延世大学がどうしたかというと……。
定員の枠の外で、外国人を受け入れる学部をつくったんです。
定員の外なら、もともといる学生の枠や成績には影響しない、ということですか。
そうです。2006年に最初の学生を迎えた「アンダーウッド国際大学(UIC)」は、授業がすべて英語。欧米からの留学生も学びやすくしました。
▲延世大学のアンダーウッド館
もう1つ、韓国語を中心に学ぶ「グローバル人材大学(GLC)」もつくって、名門校の学位を求めるアジアからの留学生を受け入れています。
ランキングの指標に合わせて、大学の仕組みそのものをつくり変えたんですね。
そうですね。「学位を売っている」「商業主義だ」という批判もあるし、学費の高さに不満を持つ学生の声もあったようです。ただ、大学の世界的な知名度を大きく上げた取り組みだ、という見方もあります。
ちなみに日本でも、大分県別府市の立命館アジア太平洋大学(APU)が、学生の約半数を留学生が占める大学として知られていますね。
▲大分県別府市の立命館アジア太平洋大学

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Alex

Alex

シンガポール在住。現在はシンガポール国立大学・リークアンユー公共政策大学院で公共政策を研究しつつ、(株)batonの海外業務も担当しています。 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)出身。世界情勢・国際関係の面白さを伝えていきたいです。

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