こんにちは、ライターの1758です。
2021年11月から発行が始まった、新しい500円硬貨。皆さんのお手元にはもう届いているでしょうか。
▲2021年11月から流通が始まった新500円玉
目を引く2色構造のデザインをはじめ、様々な新しい仕掛けが施されています。
今までの500円と何が違うのか、そしてなぜ変わったのか。私たちの生活に欠かせないものになってゆく「新500円玉」の秘密を紐解きます。
これまでの500円玉:なぜデザインが変わる?
今回デビューした500円硬貨は「3代目」のデザインです。2度にわたる変更には、偽造の問題が大きく関わっています。
「初代」500円玉:白銅貨
最初に500円玉が登場したのは1982年のこと。増えすぎた100円玉の整理や、自動販売機が急速に普及し、品物が高額化したことへの対応を目的に、それまでの500円紙幣に代わって導入されました。
「初代」は主に白銅(銅とニッケルの合金)でできており、明るい灰に近い色合いです。
▲初代500円玉 via Wikimedia Commons Monaneko CC BY-SA 3.0
2代目:ニッケル黄銅貨
変化があったのは2000年。材質や大きさ・重さが似ていた韓国の500ウォン硬貨を加工し、自動販売機などで不正使用する事件が相次いでいました。
急ピッチで偽造・変造対策が進められ、
- 見る角度によって「500円」の文字が見え隠れする「潜像」技術
- 側面の「斜めギザ」
- 髪の毛より細い「微細線」の加工
などを備えた2代目のデザインが生まれました。これが現在主に出回っている金色がかった硬貨、ニッケル黄銅貨(銅・ニッケル・亜鉛の合金製)です。
▲2代目500円玉
3代目:新500円玉
そして2019年。更なる偽造防止の強化を目指し、千円・5千円・1万円札の刷新と合わせて新500円玉の鋳造が発表されました。
新型コロナウイルスの影響でATMや券売機の改修が間に合わず、当初予定していた「2021年上半期」からはずれ込んだものの、晴れて11月から新硬貨の流通が始まったのです。
大解剖・新500円玉 変わったポイントは?
最先端の偽造防止技術がこれでもかと詰まった新500円玉。注目ポイントは何といっても「2色の複雑な構造」、そして「世界初のギザギザ」でしょう。
2色・3層を実現する「バイカラー・クラッド」
新硬貨は、以下の2つの技術を組み合わせて作られています。
- 2種類の金属板をサンドイッチ状に挟み、3層構造の円板を作成。【クラッド技術】
- この円板を別の金属でできたドーナツ型の板にはめ合わせ、2色構造が完成。【バイカラー技術】
▲出典:解説!新しい500円貨:財務省
2代目の500円玉に使われたニッケル黄銅に加え、白銅・銅と3種類の素材が用いられています。
縁のギザギザは「世界初」!
「2代目」に導入された「斜めギザ」の進化系ともいうべき、「異形斜めギザ」が採用されました。上下左右の4か所に他の部分と別の形のギザギザをつけることで、偽造を困難にしています。
異形斜めギザの導入は、大量生産される貨幣としては世界初の事例です。
▲出典:解説!新しい500円貨:財務省
まだまだある偽造防止策
表面※の端によく目を凝らすと、「500YEN」「JAPAN」の細かい文字が刻まれています。
▲出典:解説!新しい500円貨:財務省
※意外にも思えますが、桐の葉の図柄がある側が表面、「500」と製造年があるのが裏面です。
更に、潜像加工は角度によって「JAPAN」「500YEN」と2種類の文字が現れる形にパワーアップ。微細線・微細点といった特殊加工も従来通り搭載され、技術を結集した「偽造に強い」貨幣が実現されています。
▲出典:解説!新しい500円貨:財務省
今までのは使える? 新・旧500円玉のこれから
結論を言えば、現行(2代目)の500円硬貨もこれまで通り使用できます(更に言えば初代の500円玉や、旧500円札も今なお有効です)。「交換が必要」などと騙る詐欺には要注意です。
新500円玉は令和3(2021)年度中に2億枚発行され、次第に流通量が増えていく見込みです。
新硬貨が主流となり、金色の硬貨を見て「懐かしい」と感じる日も、そう遠くはないかもしれません。
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