ここ数カ月、世界を騒がせているニュースがある。
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の
国際情勢にさほど興味がない人も、何やら韓国が大変なことになっている……という話はなんとなく知っているかもしれない。
政治なら興味ないや、と思うなかれ。韓国の情勢を知れば、近い将来のK-POPや韓国コスメがどんな展開を見せるかだって見えてくるかもしれないのだ。……ということで、韓国で「いま何が起きているのか」「このあとどうなりそうなのか」の簡単な紹介にお付き合いいただきたい。
韓国で何が起きているのか
話は昨年12月、尹大統領が突如「非常戒厳」を発表したことに始まる。
非常戒厳:いわゆる「戒厳令」とは、憲法を一時的に停止し、大統領(もしくは大統領が指名した戒厳司令官)に行政・司法の権限を集中させるという強力な措置のこと。戦争・災害といった非常時の発令が想定されているもので、「少数与党による苦しい政権運営を打開するため」とみられる今回のケースは、まさに異例中の異例だった。
【速報 JUST IN 】韓国ユン大統領 「国政はまひ状態 非常戒厳を宣布」https://t.co/q1fvKQjwno #nhk_news
— NHKニュース (@nhk_news) December 3, 2024
前代未聞の事態に反発した韓国国会は、尹大統領の
そしていよいよ4月4日午前11時、尹氏が大統領を続けられるかどうかの「宣告」が言い渡される。
※ちなみに4月3日現在の尹大統領は裁判の最終弁論を終え、漢南洞(ハンナムドン)の大統領官邸に戻っている。この
宣告当日は大騒ぎ必至
韓国では過去にも大統領の弾劾が起こっているが、今回はきっかけが異例なだけに国民も大きく揺れている。先日筆者がソウルに滞在した際も、街のそこかしこで尹大統領の弾劾をめぐるデモが行われていた。


ソウル駅前や街中の巨大スクリーンでは審判の様子が生中継され、人々は固唾を飲んで宣告の瞬間を見守ることになるはずだ。
では、尹大統領はこれからどうなるのか?
①弾劾訴追案が認められた場合……
尹大統領は即座に失職し、肩書は「前大統領」に。大統領の職務は、引き続き大統領代行の韓悳洙(ハン・ドクス)首相が担うことになる。
そして6月初旬頃の選挙で後任の大統領が選ばれるまでは、韓国は選挙ムード一色になるはずだ。
尹大統領の最大の政敵である野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表には、懸案だった公職選挙法違反の裁判で無罪判決が下され、追い風が吹いている。与野党ガチンコの大統領選になるだろう。
②逆に、弾劾が棄却された場合……
尹大統領はその瞬間から職務停止を解かれ、昨年までと同じように大統領職に復帰する。
が、事はそう簡単に運ばないはず。というのも、尹大統領は、国家の転覆を目論んだ者を罰する「内乱罪」にも問われているからだ。大統領職にある者は基本的に刑事訴追を受けないものの、内乱罪だけはどんな立場にある人間でも適用されることになっている。
よって棄却後は職務には復帰し、大統領職をこなしながら「内乱罪」裁判も抱えると言った状況になるだろう。
韓国と日本のこれから
尹氏が大統領に復帰した場合、就任時から掲げていた「グローバル中枢国家」になること、すなわち外交政策に注力すると思われる。そしてその中には、日本との関係改善も含まれる。
過去の韓国の大統領は、任期が後半に差し掛かってくると「反・日本」を打ち出して国民の支持を取り込み、自分と同じ路線を引く後継者を作ろうと躍起になるのがお決まりだった。
ところが尹氏は、日本の大学に通っていた父親の影響もあり、日韓関係の融和が就任以来の悲願。「非常戒厳を宣言した大統領」という十字架を背負った苦しい政権運営になることは必至だが、そんな中でもこれまで同様に日本との融和を模索する可能性が高いと考えられる。

では尹大統領が罷免され、他の候補者が大統領になったとしたら、日本との関係緩和にはストップがかかるのか。これもノーだと考えている。
日韓両国は今や、あらゆる普遍的価値を共有するパートナーだと言える。両国間の年間旅行者数は1000万人規模に達し、日韓合同のアイドルグループが続々と誕生。韓国の街では毎日のようにMrs. GREEN APPLEの曲が流れているし、日本の「第5次韓流ブーム」は終わる気配が見えない。
つまるところ、政治が「日本への対抗」を打ち出そうにも打ち出せないーー大衆文化が、強硬な政治的主張を和らげるようなことだってあるかもしれない、というのが筆者の見立てだ。
なんとなく韓流ドラマを見たり、音楽を聴いたりしているあなたも、実は国際関係の大きな動きに関わっているかも……と思うと、日頃のニュースに少し興味が湧いてこないだろうか。韓国のいま、そして日韓の今後を知るカギとなる、4日の宣告のゆくえにぜひ注目してほしい。
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画像出典(国会議事堂):Wikimedia Commons Kakidai CC-BY-SA-4.0(一部加工しています)