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「クイズブーム」の波に乗り、近年全国の学校に「クイズ研究会」が続々と誕生しています。

しかし、順調に活動していくのはそう簡単ではありません。会員の勧誘に、機材の準備……。100のクイズ研究会があれば、その裏には100通りの苦労、そしてドラマがあります。

今回は開智高等学校(和歌山県)でクイズ愛好会「Quiz Phoenixフェニックス」を立ち上げた田上たのうえさんと現役会員の皆さんに、創設時のウラ話や「クイズを好きになったきっかけ」について聞きました。伊沢拓司がインタビュアーを務め、高校生たちのホンネを引き出します。

開成高時代に「高校生クイズ」連覇を経験。今年6月にもQuizKnockのイベントで開智高校を訪問している。
開智高OBの大学生。自力で早押しボタンを作ってしまうほどの熱意で、2020年に開智クイズ愛好会を立ち上げた。
創立5年目。愛称の「Quiz Phoenix」には、「フェニックス(不死鳥)のように困難を乗り越え、栄光に向かって羽ばたきたい」という願いが込められている。

もくじ

◎ 「クイズ研究会」ができるまで
◎ みんなのクイズ好きはどこから?
◎ 夢は大きく……高校生たちの未来
◎ QuizKnockからのお知らせ

ゼロからクイズ研を作っちゃった

「開智のみんな、久しぶり!」
今日はよろしくお願いします! 田上さんはそもそも、どうしてクイズ研究会をやろうと思ったんですか?
QuizKnockの動画をよく見ていて、 「自分たちもあんなふうにクイズを楽しみたい!」と思ったのがきっかけですね。
▲開智クイズ愛好会を立ち上げた田上さん
……なんか忖度してない??(笑)
いえいえ、そんなんじゃないです(笑)。
僕が高1のとき、2019年に立ち上げを呼びかけて、2020年の春から実際に活動を始めました。最初はクラスメートの7人でのスタートでしたね。
▲実際に提出した設立願い
7人! よく集めたね。結構大変だったんじゃないですか?
それが、人集めは意外にしんどくなくて。「テレビ番組みたいなクイズ、一緒にやってみない?」と声をかけたら、けっこうノッてくれる友達が多かったんです。
誘い方が上手かったんだね。

ただ「クイズやろうぜ」と言っても「難しそう……」って断られがちだけど、「家帰ってみんなでゲームやろうぜ」みたいなノリなら確かにやりたくなるよね。

まさかの発想「早押しボタンを自作」

でも2020年に立ち上げってことは、コロナの時期だったよね。いろいろ苦労もあったんじゃない?
「せっかく部活を立ち上げたところなのに……」
コロナの間はネットで見つけたクイズの教材を見つつ、オンライン通話と早押し用のサイトを使って活動していました。
でも、大変だったのはむしろその後ですね。学校での活動になった瞬間、「早押し」の手段がなくなっちゃって。
いやーそうだよな。クイズ研究会を立ち上げるときの最初のハードル、「機材がない」。
早押しボタンって何万円もするから、簡単には手が出せないんですよね。
▲早押し機、実は高級品
学校でも早押し用サイトが使えればよかったんですが、元々うちの高校は携帯が禁止で。パソコン室の端末もフィルタリングがかかっていて……。(笑)
うわーそういう学校多そう〜〜!
「俺も小さい頃ゲーム禁止されてたわ」
色々考えていくうちに、じゃあボタンを作っちゃえばいいか、と思いついたんです。
よくそれが思いつくよなー。前に開智高にお邪魔したときに触らせてもらったけど、本当によくできてる。
▲田上さんの手作りボタン
電子工作とかの経験はあったの?
まったく初めてでした。1カ月か、2カ月くらいかかりましたね。
ウェブにはなかなか情報がなくて、プログラミングの書籍を見たりしながら開拓していくのが大変でした。
「相当大変だったでしょ、それは」
材料も全部自分で買って……?
マイコン(マイクロコンピュータ)で5000円、ボタンは百均のものを買って。あわせて7000円くらいで仕上げました
▲もちろん、ちゃんと作動します(製作の詳細はこちら
自分と同じように「クイズ研究会を作ろう!」と思った方の参考になるといいなと思い、製作過程はオンラインで公開しています
いや、本当にすごい情熱。田上さんの行動力はいろんな人のお手本になりそうだよね。
「費用を絞るのだって、簡単じゃないよ?」
でも、そのものすごい情熱はどこから生まれたんだろう? どうしてそこまで頑張れたんですか
学校単位で出る団体戦の大会があったので、そこで勝つのを目標にしていました。
みんなで目標に向かっていくチームスポーツのような一体感があって、それが原動力になっていたと思います。
▲仲間との一体感のおかげで頑張れた
ただ、初挑戦の大会では圧倒されて……。他校とのレベルの差を感じました。
立ち上げから1年くらいで環境を作って、大会にも出るだけでも本当にすごいことですよ。
「意外といけるじゃん!」という場面もあったんじゃない?
時事問題はけっこう正解できたりして、対等に戦えている感覚がありました。「得意分野は絶対に負けないぞ」という意識が生まれましたね。

あなたのクイズ好きはどこから?

そんな愛好会も、今年で5年目ですか。田上さんの後輩たち……現役会員の皆さんは、どんなきっかけで入会したんですか?
母が「高校生クイズ」に出たという話を聞いて、自分もクイズをやってみたいと思っていたんです。それで開智にはクイズ愛好会があるというので、入ってみました。
▲若野さん(高3)。親御さんの影響でクイズの世界へ
素晴らしいですね〜。お母さんの影響で、というエピソードからして「新世代のプレイヤー」感がありますね。
僕はずっとクイズがしたくて、クイズ愛好会があるから開智に入学しました! 先輩が優しく教えてくれて、もうのめり込みましたね。
▲元気いっぱいの今村さん(高3)
私はクイズ番組を見ていて「この問題、自分も答えられる!」と思う瞬間が楽しくて、学校でもやってみることにしました。
大島さん「東大王とか見てました」
伊沢「ありがて〜〜!」
私は大島さんに誘ってもらって、卓球部から移ってきたんです。

最初はみんなが答えていくのをぼーっと眺めるだけだったけど、復習していくうちに自分も答えられるようになってきました!
私も元は演劇部で。体験に行ってみて、「ここ入りたい!!」と思いました。
入部してみて、よかったと思う?
思います! 同じクラスの井上くんとか、友達どうしで競い合えるのが楽しいです。難しい問題を解けたときが特に嬉しいです!
やっぱり成長を感じられるのって楽しいよね! その井上さんはどう?
僕の場合は、ある日今村先輩が教室に来て「新入生向けの大会に来てくれ!」と勧誘されたのがきっかけです。
▲井上さん(高2)
その大会でたまたま1位になって(笑)。雑学が好きなので、その後もハマる一方でした。
大活躍じゃん! 逸材を見逃さなかった今村さんの目もすごいね。
大会の様子を見たら「めっちゃ強いやん」って(笑)。最初から興味ありそうだったし、迷わず誘いました。

楽しみ方は人それぞれ

みんな、いろんなクイズの楽しみ方を見つけてるね。1年生も頑張ってたりして。
いま高1でクイズを始めたばかりなんですが、楽しいです。これから得意ジャンルも見つけていきたいです。
僕はクイズを作るのも楽しいですね。新入生向けに大会を開いたり、文化祭の企画のために面白い問題を考えたり。
解くのと作るのとは、やっぱり違うもの?
違いますね。「新入生向けなら易しい問題がいいかな」とか、解いてくれる人のことを考えるのが勉強になります。
クイズを作る側に回ると、プレイヤーとしてクイズをするときの「読み」にも繋がるよね。
自作と似た問題が大会で出ると「よっしゃ!」と思います。あとは単純に、自分が作った問題で人に喜んでもらえると嬉しいですね。

QKの大会で活躍したい!

問題作りといえば、我々QuizKnockも「WHAT」という高校生以下向けの大会をやっているんですよ。
昨年の大会の様子。今年は伊沢が大会長を務める
今年で3回目になるんだけど、今村さんは過去2回とも出てくれたんだって?
はい。去年は1点差で2回戦を突破できなくて、本当に悔しかったです。うっかり「藤原不比等」を間違えちゃって……!
うわ〜〜惜しい! 悔しい1問って、何年経っても覚えてるものなんだよね〜。
「何年も前の悔しい誤答、俺も覚えてるわ〜!」
今年は絶対にリベンジしたいです。高3なので受験もあるんですが、勉強からクイズに活きる知識もあると思うので。
私も「WHAT」出ようと思ってます! 友達も出るから、お互い勝負してみたくて。
「友達と大会に出るのが楽しみです!」(池本さん・高2)
世界史とか、学校の勉強で習ったことを答えたいです!
世界史、間違いなく出ると思うね。問題内容は秘密だけど(笑)。
去年のクイズ大会ではうまくいかないこともあったので、壁を破りたいです。自信がある地理・生物の問題で勝負します!
勉強に限らず趣味とか、好きな番組とか……「自分だけの知識」を披露するチャンスがあるのが、クイズのいいところですからね。ぜひ頑張ってください!

愛好会をもっと大きく

開智クイズ愛好会として、今後の目標があれば教えてほしいです。
自分たちの代が卒業する今年中に、「愛好会」より規模の大きい「部」に昇格したいです。
全国大会で実績を作れたら、学校へのアピールになると思います。
やっぱりクイズ「部」になりたい?

\はい……!/

▲勢いよく頷く皆さん
部活、昇格したいです。部活になると部費がもらえて、早押しボタンの修理ができるようになったり、問題集もいっぱい買えたりします。
先輩方が作ってくれた、本当に面白い場所なので。しっかり守って、後輩たちがどんどん楽しんでいけるようにしたいです。
「後輩のために、この会を守りたいです」
個人的には、ずっと一緒にやってきた若野と全国大会に行きたいです。
高校生クイズやWHATみたいな全国の舞台で、「開智クイズ愛好会」の名を広めたいですね。
仲間と頑張ることで結果がついてくる、みたいなこともあるんだよね。俺も昔、高校生クイズに出たときに実感したなー。
OBの田上さんは、後輩たちのインタビューを聞いてみてどうでした?
みんながそれぞれ大きな目標を持ってくれていて、愛好会を作って本当によかったなと思います。
そうだよね。「初代」からしたらめっちゃ嬉しいでしょ、これは。
「愛好会を作って本当によかったです」
実は、大学で学問をやる上でも「そういえばこんな知識あったな」というクイズの経験が活きることが多いんです。
開智のみんなには、ぜひクイズを通して豊かな生活を送ってほしいなと思います。
クイズから生活が豊かになることもあるし、生活からクイズが豊かになることもあるよね。

WHATに限らず、クイズライフの中で日常のいろいろな面白い物事との出会いを味わっていただけたら、とても嬉しいなと勝手ながら思っています。

目を輝かせてクイズ愛を語ったかと思えば、真剣な表情で将来の目標も打ち明けてくれた高校生たち。田上さんから後輩たちへと熱い想いのバトンが渡され、「開智クイズ愛好会」という場がとても大切なものになっていることが伝わりました。

開智高をはじめ、全国のクイズ研究会がますます発展していくことを願ってやみません。

「WHAT 2024」7/31までエントリー受付中!

「ハイスクールクイズバトル WHAT 2024 presented by ランドマーク税理士法人」は、高校生以下の方が参加できるクイズ大会です。

「クイズ、難しそう……」「クイズ研究会に入ってないけど……」

と思ったあなた。WHATはそんな方にこそおすすめ!

きっと楽しい1問、解けてうれしい1問と出会えるはずです。QuizKnockメンバーが待つ会場へ、ぜひお越しください!

ここで問題。君は参加する?

【エントリーはこちらから!
2024年7月31日(水)まで受付中】

大会のルールや楽しみ方などの最新情報は、WHAT公式Xでぜひチェックしてみてくださいね。

また今年は新しい取り組みとして、どなたでもご応募いただけるパブリックビューイングを実施予定! 大会を応援してくださる個人サポーターの方も募集中です。

皆さん今日はありがとう! 何か話しそびれたことがある人、いないかな?
…………

(一同爆笑)

▲ありがとうございました!

取材協力 開智クイズ愛好会 OB・会員の皆さま

編集・撮影:あさぬま

撮影(@開智高):東山梨帆

執筆:カタヤマ

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この記事を書いた人

QuizKnock編集部

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