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VTuberの因幡はねるさんが企画やクイズなど、普段の活動について自由に語る連載「因幡はねるの #更新予報」。

第6回となる今回は、自身が経験した「子宮体がん」、その手術についてのお話です。手術に至るまでの経緯や、実際に手術をして感じたことを語ります。

▲前回の記事はこちら!

▲「子宮体がん」についての連載、第1回はこちらから


前回から続く】

大学病院で精密検査を受け、先生に「初期の子宮体がんグレード1予想」と言われたものの、CT検査の結果が出るまでは確定していません。「もしかしたらもっと悪い状態なのかもしれない」と、ずっと不安は晴れませんでした。

運命の5月9日。この日は術前検査がたっぷり。

呼吸機能検査では上手に息を吸えただけで「すごーい!上手!えらいね!」と検査技師さんが絶賛してくれました。赤ちゃんだと思われているかもしれませんが嬉しかったです。

検査の合間に、ファンのみんなから勧められたヘルプマークをもらいに行きました。術後、必要かもしれないからです。貰うために診察結果とか持っていった方が良いのかな?と色々準備してから向かったのですが、「ヘルプマークが欲しいんですけど」と言っただけで「はいどうぞ」と渡されました。思ったより簡単にもらえるものなんですね。

▲犬は付属しません

そして診察へ。診察室の前で、またドラマのような待ち時間です。

このシチュエーションはあと何回味わうことになるんだろう、と考えていました。

診察室へ入ると先生が「体調はいかがですか?」と聞いてくれたのですが、私はCT検査の結果が気になりすぎてそれどころではありませんでした。「は、はい……」と震えた声で答えると、「肺リンパもろもろ遠隔転移はありませんでした。子宮体がん1A期として、予定通り7月6日に腹腔鏡手術を行いましょう」と、想定していた状態のなかで最も安心する結果を教えてもらいました。嬉しすぎて帰りは勝利のパフェを食べちゃいました。

手術までの約2か月は、本当に通常営業で過ごしました。むしろ心が軽くなり超元気に生活しました。小峠英二さんのお誕生日イベントに出演したり、デビュー5周年のカラオケ配信をしたり、ラジオをたくさん録り溜めしたり。検査関係では、薬剤面談(普段飲んでる薬の確認など)、麻酔の診察、口腔外科の診察などがありました。なぜ口腔外科?と思ったのですが、こんなポスターが貼ってありました。

なるほど。ちなみに診察は15秒で終わりました。

5月30日に執刀医が決定。

6月19日。執刀医(現在の主治医)との初顔合わせ。超優しい! この日、手術の同意書に署名しました。職業を説明すると、やはり個室に入るよう勧められました。個室に入れるかどうかは、入院前日にならないとわからないとのこと。第一希望は安い個室(いや高いけどね)、第二希望は超高い個室になりました。

入院日までに、ジェルネイルをオフしに行きました。手術中は、身体の状態を常に把握しなくてはなりません。爪の色から得られる情報も大きいそうです。

子宮体がんの人の闘病ブログやTwitter(現:X)もたくさん読みました。私が調べた限りでは、子宮体がんの患者さんは抗がん剤治療を数クール行って寛解している方が多く、現代医療の凄さを知りました。

心は軽くなったものの、やはり体調の悪さはピークを迎えていました。

出血量が多くて、常に貧血でフラフラです。サンリオピューロランドの取材へ行く日、具合が悪くなって電車を途中下車したことがありました。その際、駅のエレベーターが混んでいたので「譲って欲しい」と降車をお願いされました。ちょっと強い言葉を使われたので、こちらの事情を説明できず、エレベーターを譲って階段を使いました。ヘルプマークを付けていればスムーズに説明できたかも、と後悔しました。

入院へ

7月6日、入院当日(手術前日)。

お昼からの入院でしたが、家を出る30分前まで生配信をしていました。

入院中は動画師さんのご協力により、毎日動画を予約投稿していました。

無事に個室に入院できたので、トイレとシャワーも部屋に付いていました。血液検査とエコーの診察があり、先生から「明日は3件目の手術なので、お昼くらいを予定しています」と聞きました。

パジャマに着替えて病院内のコンビニへ行き、じゃがりこ・かっぱえびせん・無糖のカフェラテを購入。部屋に戻るとベテランの看護師さんに全て没収されました……。身体のコントロールのためだそうです。

▲無糖もだめなんだ……(イメージ画像)

オリーブオイルと綿棒を渡され、「感染症予防のためおへその掃除をしてください」と言われました。口腔外科の件と言い、感染症予防ってこんなに気を使われているんだなぁと思いました。特に汚れてないし適当にやって「やりました」というと、ベテランの看護師さんに綿棒を奪い取られ、ぐりぐりされました(笑)

排尿と排便回数をメモする紙とスケジュールの紙を渡されました。特にスケジュールの紙は細かくて、「検査スケジュール」「点滴スケジュール」「食事スケジュール(絶食や食事再開)」「入浴スケジュール(いつまでシャワー浴できるか/いつから再開か)」「トイレスケジュール(排尿の管をいつまでつけるかとか)」など、看護師さんに質問が浮かばないくらいの全てが載っていました。

18時に夕食だったのですが、いつもなら朝食もありえる時間です。20時に「おなかすいた」とメモが残っていました。

夜、部屋のシャワーを浴びて、絶食に入りました。軽めの下剤を服用。飲み物は朝9時までOKでした。

入院初日の個室の夜、ちょっと寂しい気持ち。いつもなら犬が2匹ぴったりくっついている時間です。普段の生活よりもベッドに入る時間が早いので、夜がすごく長く感じました。実際眠ったのは0時過ぎかな。私にとってはかなりの早寝です。手術の不安はありませんでした。私は麻酔で眠るだけだし。

7月6日、手術日。

朝シャワーを浴びる許可をもらっていました。しかし、寝すぎてギリギリに! ここで浴びないと、9日まで浴びれないというスケジュールだったので危ないところでした。しかし9時を過ぎてしまい、飲み物が飲めず……。シャワー後は術着という浴衣のようなものを着ました。

血栓予防のために変なストッキングを履きました。完成形がよくわからず「これでいいのかな?」と悩みました。これは全身麻酔で長時間眠るため、エコノミークラス症候群のようなものが起こるのを防ぐためだそうです。これに加え、術中と術後はフットポンプというマッサージ器みたいなものを装着しました。本当に色んなリスク管理が考えられているんですね。

がんの手術で入院しているツイートが話題を呼び、ヤフーニュースにもなりました。

皆さんの応援の声が嬉しかったです。

手術室へ

12時5分、「12時20分になったら手術室に移動しましょう」と看護師さんに言われました。

自分は寝ているだけで頑張ることは特にないので、執刀医の先生への応援をお願いしました。

術着は着ているものの、手術室へ移動するエレベーターの中で「下着を着けずにこんな人前に出ていていいのかな?」と思いました。

看護師さんが「インフルエンサーなら術後すぐにスマホ渡したほうが良いよね?」と言ってくれました。助かります!

手術エリアに到着し、オペ看護師さんへの申し送りをし、シャワーキャップみたいなものを被り、病棟の看護師さんとバイバイ。

手術室の1m手前に移動し、座るよううながされました。手術室を興味津々で覗くと、「ドラマの世界でよく見るやつだ!」と思いました。座って10秒くらいすると、執刀医、麻酔科医、オペ看護師の皆さんが列をなしてやってきました。全員女性でした。

「麻酔科の先生ってやっぱり違う色の服着てるんだ、『TOKYO MER』と一緒だ!」と思いました。

『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』:重大事故や災害、事件の現場に駆けつけ人々の命を救う救命救急チームの活躍を描く、2021年に放送された鈴木亮平主演のドラマ。2023年には映画化された。

名前と生年月日、何の手術をするか聞かれました。「因幡はねるです、3月3日、手術は……子宮とかとるやつ?です!」と答えました。

手術室に入ると、ベッドがサランラップみたいなので巻いてありました。「ここに寝てね」と言われましたが、サランラップに引っかかって乗りづらかったです。コツはあるのかなぁ? ベッドはかなり小さかったです。「手術のベッドってこんなに小さいんだ。広いと手が届きにくいし当たり前か」と思いました。

「ちょっと苦しいかもだけど〜」と酸素マスクをつけられました。5秒で慣れました。

「麻酔を入れるからちょっと痛いかもだよ〜」と手の甲に針を刺されました。これが今回の入院で一番痛い出来事となりました。その針の先にあるチューブから、注射器で麻酔を投入。2本目を入れる時に「これ入れるとだんだん視界が狭くなってくるから教えてね」と言われ、ほんとに狭くなってきたので「わあ!狭くなってきた!わあ!よろしくお願いします!」と眠りにつきました。

術後

「ねるちゃんさーん!無事に手術が終わりましたよ!今、手術室を出るところですよー!」と声を掛けられ、目が覚めました。手術室からベッドがガラガラと音を立てて出ていくのがわかりました。

意外と意識がしっかりしていて、ここでお礼を言わないとオペの看護師さんや麻酔科の先生とはもう会えないかもしれない!と一瞬で考え、「皆さんありがとうございました!」と言おうと思ったのですが、声が出ない……。かすれた声で何度も「ありがとうございました!」と頑張って伝えました。執刀医の先生は見えましたが、他の方がその場にいたのかはわかりません。

手術室から出たところで、病棟の看護師さんから「いま18時をちょっと過ぎたところですよ」と言われました。一番知りたかった情報が聞く前に伝えられてびっくり。みんな知りたいことは一緒なのかな。

病棟に運ばれるまでの少しの間で、痛みと吐き気を感じました。看護師さんに伝えると、「病室に着いたら吐き気止めと痛み止めの点滴を先生に伝えましょう」と言われました。返答が早くて、これもみんな一緒なのかな?と思いました。

病室に到着し、看護師さんがすぐスマホを渡してくれました。

▲産声

▲遺言

ウトウトしていましたが、とにかく腰と背中が痛すぎる! 手術したお腹は全く気にならないのに! 長時間同じ姿勢でいると、こんなにも身体に負担がかかるんですね。看護師さんに「寝返りをうっても良いからね」と言われましたが、そういうレベルではない。ちょっと横向きで寝るのが一番マシでした。

深夜2時ごろ目が覚めましたが、背中が痛い以外は何も感じませんでした。よくみると身体から管が出てるなぁ、くらいです。あと脚に例のポンプが付いてました。

【次回へ続く……】

筆者プロフィール

因幡はねる(いなば・はねる)

ななしいんく所属のVTuber。

毎日の生配信や動画投稿、テレビ出演や音楽ライブ出演など幅広く活動中。

2022年には新曲『独占予報』をリリース。2023年3月にはサンリオピューロランドでソロイベント「因の者オフ会 ~絶対ガチ恋宣言~」を開催した。

【前回の記事はこちら】

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QuizKnock編集部

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