「ぬ」のイメージを分析
2023年のWeb記事にて、ひらがなの「ぬ」の魅力をプレゼンし異彩を放ったQuizKnock編集部のあさぬま。
プレゼン内の「『ぬ』で学士を取った」という発言に注目が集まり、期待に応える形で卒業論文のお披露目となりました。
ずばり論文のタイトルは、「「ぬ」における音象徴の考察〜オノマトペとネーミングの観点から〜」。音象徴とは、ある種の音が特定のイメージを呼び起こす現象のことです。
音象徴の例:「sl-」で始まる英単語にslow(遅い)、slip(滑る)、slime(スライム)といった「粘り」「ぬめり」を表すものが多いことなどが例に挙げられる。
あさぬまは、「ぬ」を含むオノマトペや固有名詞の使用例を、辞典や漫画作品などにあたって調査。
分析の結果、特にことばの頭文字に位置している「ぬ」には「湿気や粘性のあるもの、そこから誘発される不快感」「音もなく急に現れる様子」「自分の存在やその強さを誇示する様子」といったイメージがあると結論づけられました。みなさんの「ぬ」に対するイメージと合致しているでしょうか。
質疑応答
発表後には、聴衆がみな気になっていたであろう「なぜ『ぬ』を研究しようと思ったのか?」という質問が田村から飛び出しました。
あさぬまは「(名字の)あさぬまの『ぬ』です」と笑顔で切り出し、「『ぬまこ』というあだ名があるんですが、自己紹介で『ぬまこ』と呼んでください、と言うとザワザワすることが多くて。それを不思議に思って、人の名前と『ぬ』から始まる響きの結びつきを考え出したのが出発点です」と語りました。
誰にとっても身近な「自分の名前」が研究にまでつながった興味深い例として、会場の皆さんも真剣に耳を傾けていました。
「自分が大好きなものを突き詰める」という卒論も、有意義でとても面白いものですよ。私も、卒論を進めた時期が人生で一番「ぬ」について考えていた期間だったかもしれません。
個性的! 一般発表者の皆さんのラインナップ
本イベントでは公募で選出された5名の方の発表も行われ、大いに会場を沸かせました。ここではそのタイトルをご紹介します。
あっという間の2時間でした
8名による興味深い発表が終わり、約2時間のイベントは早くもエンディングへ。あまりの充実ぶりに「まだ前半ですよね?」という田村のツッコミも入り、会場は笑いに包まれました。
イベントを通じて印象的だったのが、観客の方々の集中力。QuizKnockメンバーたちも「本物の学会より視聴率高いかも。圧倒的視聴率」「みんな学者の才能あるよ」と目を見張っていました。
最後に、田村は「気になったことを自分の中だけで終わらせずほかの人に届けるという、研究の一番面白いところを伝えられていたら嬉しい」とメッセージを伝えました。須貝も「全然違う分野の人が集まる場があると、共同研究が飛躍的に進む。皆さんにも何か発見があったのでは?」と呼びかけ、「みんなで卒論発表会」は盛況のうちに幕を閉じました。
この記事でご紹介したのは、個性豊かな発表のほんの一部。発表の模様や白熱の質疑応答をもっと詳しく見たい方は、ぜひダイジェスト動画をご覧ください!
写真で振り返る「卒論発表会」
執筆:菜葵
編集:カタヤマ
撮影(一部):あさぬま