こんにちは。バイオリンの授業にとても真面目に取り組み、そして最後まで全く弾けなかったはぶきです。
みなさんは、J.S.バッハ作曲の『G線上のアリア』という曲をご存じですか?
テレビや演奏会など、どこかで一度は聴いたことがあると思います。落ち着きのある優しい曲ですよね。
タイトルは、バイオリンの「G線」……一番低い音を出す弦だけで演奏できることから来ている、といわれています。
▲向かって一番左の弦がG線。「ギャグセンス」の略ではない
via Wikimedia Commons CC BY-SA-3.0(画像を加工しています)
ところがです。先ほどの映像をよく見ると、G線だけで弾いている人は1人もいません!
「G線上」を謳いながら、バイオリンのG線だけでは弾くことができないのです。
これは一体どういうことなのでしょうか。
編曲バージョンなら「G線上」で弾ける
実は「G線上で弾けない」と説明した『G線上のアリア』ですが、少しアレンジを加えることでG線だけで弾けるようになります。
それが、アウグスト・ウィルヘルミというバイオリニストがバイオリンとピアノ用に編曲した『G線上のアリア』です。
ウィルヘルミは、バッハの書いた旋律を、編成を変えるだけでなくニ長調からハ長調に移調しました。この移調と、本来はD線やA線で弾く高い音域をあえてG線で弾く「sul G」という演奏方法を使用することで、『G線上のアリア』を構成する全ての音をバイオリンのG線だけで演奏できるようになります。
「sul G」は単に1本の弦で弾けるというだけでなく、G線は他の弦と比べて太いため重厚な音色で弾くことができるという効果もあります。
上の映像を見ると、左手がずっとG線を押さえているのがわかりますよね。
▲「G線上」で弾けるようにしたウィルヘルミ
『G線上のアリア』は後付けの名前だった
そもそも『G線上のアリア』という曲名は、バッハ自身がつけたものではありません。本来はG線で弾くことを想定されていないのですから、当然といえば当然ですね。
正式なタイトルは『管弦楽組曲第3番』といい、組曲の中の第2曲が『G線上のアリア』にあたります。
まあ、『G線上のアリア』なんてタイトルをつけた覚えはないがな……
『G線上のアリア』というタイトルは、編曲されたものならG線で弾けるという条件付きのものでした。それでも原曲まで『G線上のアリア』という名前で知れ渡ってしまったのは、なんとも不思議なところですね。
しかし、G線上で弾けない原曲にも、もちろん編曲後の作品にも、魅力はたくさんあります。知ったうえで改めて曲を聴いて、それぞれの好きな部分を見つけてみてはいかがでしょうか。
最後に、おさらいクイズでお別れです!
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