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2020年11月21日、東京・両国にある江戸東京博物館にて、「古代エジプト展 天地創造の神話」がスタートしました。

この展覧会では、我々QuizKnockが、音声ガイド(クイズありバージョン)と、公式ハンドブック『QuizKnockとめぐる古代エジプトの世界』の製作を担当しました。


こんにちは、ハンドブック製作に携わった山森です。

そんなわけで、私はこの数ヶ月、古代エジプトについてそれはそれはたくさん学びまして。

いや、もうおもしろい。古代エジプトってこんなに興味深いのか! と気づいてしまった私が「私なら展覧会をこう楽しむ!」という楽しみ方を、知識とともにお伝えします!

ロビーのフォトスポット

展覧会は、第1章から第3章と、大きく3つのエリアにわけられています。テーマは、古代エジプト神話。展示品から天地創造から死生観まで、古代エジプトの世界をうかがい知ることができます。

それでは、展覧会の様子を一緒に見てみましょう。レッツゴー!

「ウジャト眼」のシルエット

まず入り口で出迎えるのは、ウジャト眼。このモチーフは、幸福や繁栄の象徴として、護符などに用いられました。このあとの展示品のなかでたくさん目にするので、覚えておきましょう。

第1章:天地創造と神々の世界

第1章は、「天地創造と神々の世界」。天地創造の神話、そして像などから、古代エジプトの人々が信仰した神様たちの姿を見ることができます。

まずは、世界のはじまりから

今回の展覧会で紹介される神話は、ヘリオポリスの創世神話世界の最初は、混沌とした海「ヌン」であったとされています。古代エジプトには、宗教センターと呼ばれる場所が4ヶ所あり、ヘリオポリスはそのひとつです。

ここでは、ヘリオポリスの神話が、アニメーションによって紹介されます。アニメーションを通じて創世神話を知ることにより、展示品のひとつひとつを物語で結び付けられるようになるでしょう。

創世神話は、展覧会で知っていただくとしても、この記事を読み進めていくうえで、「ヘリオポリスの九柱神」は知っておきたいところ。9柱の神々の関係図を見ておきましょう。

ヘリオポリス九柱神の関係図

バラバラになっても復活した冥界の王

もうひとつ知っておくと楽しいのが、オシリス神話。創世神話で誕生した、ヘリオポリスの九柱神の一柱、オシリスにまつわる神話です。

この物語を知ったところで、次の展示を見てみましょう。

左から2番目は《有翼のイシス女神に保護された、ミイラ姿のオシリス神の小像》です。イシスは、オシリスを守るために、常にそばにいる様子が、表されています。オシリスは、つねにミイラの姿で描かれますが、神話を知ると、納得ですね。

その隣に展示されているのは《ホルス神に授乳するイシス女神の小像》。ホルスを大切に抱く、母イシスの姿が表されています。このホルスとイシスの姿は、キリスト教で描かれる、聖母マリアと幼子イエスのモデルとなりました。

第1章では、このように神話をイメージしながら展示品を見ると、古代エジプトの世界観を感じとれるでしょう。

「かわいい」で話題のネコ(神)

おまけでもうひとつ、このエリアで注目したいのが《バステト女神座像》。「ただかわいい」と話題です。

《バステト女神座像》末期王朝時代・第26王朝、ネコ2世治世、前610〜前595年頃

よく見ると胸元には、入り口で見たあの「ウジャト眼」が描かれています。これは、護符としての装飾で、救いと健康を象徴しています。ひとつひとつの展示を深く追っていくことで、それぞれが結びつき、より展示会を楽しむことができます。

それでは、第2章をのぞいてみましょう。

第2章:ファラオと宇宙の秩序

第2章は、「ファラオと宇宙の秩序」。ファラオとは、エジプトを支配した王のことです。

《ハトシェプスト女王のスフィンクス像(胸像)》新王国時代・第18王朝、前1479〜前1458年頃

中でもひときわ目を引くのが、この《ハトシェプスト女王のスフィンクス像(胸像)》。スフィンクスとは、人の顔とライオンの体を持つもので、神殿の入口に像が置かれました。

ファラオと聞くと、この頭巾をイメージするのではないでしょうか。これは、「ネメス」と呼ばれる頭巾で、王の衣装です。縞模様の頭巾の頭には、聖蛇ウラエウスが施されています。ウラエウスは、王権の象徴として重要視されており、この像以外にも見ることができます。ぜひ探してみてください。

消された女王、ハトシェプスト

ハトシェプストは、ファラオであったトトメス2世の正妃でした。トトメス2世が亡くなると、トトメス2世の息子であるトトメス3世が王位を継承します。しかし、当時のトトメス3世はまだ幼かったため、義理の母であるハトシェプストが摂政として、政治の実権を握りました

やがて、ハトシェプスト自身もファラオを名乗るようになり、ファラオとしてスフィンクス像などが作られます。古代エジプトのなかでも屈指の繁栄を誇ったといわれる第18王朝の基礎を作ったのが、このハトシェプストであり、その功績は大きいものです。

しかし、ハトシェプストの死後、単独で実権を握ったトトメス3世により、ハトシェプストの記念碑などの記録は、消されてしまいます。スフィンクス像なども、意図的に破壊されました。この《ハトシェプスト女王のスフィンクス像(胸像)》の体部分は、肩の付け根のみ残存しています。

ヒエログリフをちょっと読む

このエリアには、多数のステラやレリーフが展示されており、ヒエログリフが書かれています。見方を少しだけ紹介しましょう。

まず、ヒエログリフの読む方向。縦方向の場合は上から下に読みますが、横方向は右からも左からも読むことがあります

読む方向は、動物の向きで判断できます。動物はテキストが始まる方向を見ているので、顔の方向から読むのが正解です。縦書きの場合も、顔が向いている方向の列から読んでいきます。

では、この展示品に描かれたヒエログリフは、どの方向に読むでしょうか。

《王の書紀ホリのステラ》新王国時代・第20王朝、ラメセス8世治世、前1126〜前1125年頃(拡大)

正解は、右から左。動物の顔が、右を向いていますよね。

さて、ヒエログリフを見ていると、たまに丸で囲まれた文字に出会います。上の展示物にもありますね。

この丸は、カルトゥーシュというもので、王の名前を表すときに用います。王の治世が無限に続くようにと、名前を円形の枠に記したといわれています。王だけでなく、王妃など王族の名前に使用されることもありました。

《王の書紀ホリのステラ》新王国時代・第20王朝、ラメセス8世治世、前1126〜前1125年頃(さらに拡大)

書かれている内容はわからなくとも、「こっちから読むんだな」「ここには偉い人の名前が書かれているな」とわかると、楽しくなってきます。

最後のエリア、第3章に向かいましょう。

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この記事を書いた人

山森 彩加

東京理科大学卒業生の山森です。在学時は天文研究部でプラネタリウム解説をしていました。三鷹の国立天文台で展示解説をしたり、科学館で解説をしたりもしました。日常のなかに“楽しい”や“おもしろい”を見つけられるような何かを発信していければと思います。学士(理学)。

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