他にもいる、日本発の外来種
日本からもちこまれ、海外の環境や産業に迷惑をかけている生物はワカメだけではありません。
我々にとっては身近なのに別の地域では厄介な生き物たち、彼らをクイズとともに紹介しましょう~!
私たちにとって身近な生物が、国外ではこんなにも厄介者扱いされることがあるんですね……。このように、日本発の外来種というのはたくさんいるのですが、その中でもひときわ奇妙な性質をもつ生き物がいるのです。
それが……
日本では絶滅危惧種なのに……
ヌマコダキガイという貝の仲間です。
見た目はアサリなどと大して変わらない、日本や朝鮮半島原産の二枚貝で、主に汽水域に生息しています。味噌汁や酒蒸しにするとおいしいらしいのですが、そういった料理にはめったにお目にかかれません。
なぜならこの貝、日本では絶滅危惧種なのです。市場に流通するのも稀でしょう。
「日本では」と含みをもたせたのには、もちろん理由があります。日本にはほとんどいないこのヌマコダキガイは、アメリカにもちこまれた結果なぜか大繁殖し、サンフランシスコ湾の汽水域の生態系を支配しているのです。
ヌマコダキガイによって水底が支配されたサンフランシスコ湾の生態系は、言わずもがな激変。日本では希少種と呼ばれ大切にされる希少な貝も、アメリカでは駆逐対象でしかありません。
たとえ絶滅しそうなほど数が少なくても、決してその生き物が弱いわけではありません。場所が変われば瞬く間にニッチに滑り込み忌み嫌われる外来種へと変貌する可能性を秘めているのです。
「もちださない」が大事!
カミツキガメやヒアリなど、海外からもちこまれた外来種がよく話題になるため、外来種問題がどこか遠い世界の出来事のように感じてしまうかもしれません。
しかし、今回紹介したように我々の身近にいる生き物が、荷物や船について海外にもちだされた挙げ句、繁殖して現地の生態系を壊すというケースもたくさんあります。
外からきた外来種に注意するのはもちろん大切ですが、旅行をするときに生き物を外に運び出さない、ペットを別の場所に捨てないといった「もちださない」意識もとても大切です。
ニュージーランドから大量のワカメを送りつけられるような目にあわないためにも、旅行をするときには生き物のもちだしに最大限の注意をはらってくださいね!
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