ymoriです。正月休みの間に修士論文のページ数がだいぶ増えました。修士論文とは大学院を卒業(正確には修了)するために必要な論文のことです。
ところで、「大学院ってなんとなく大学の一個上とだけ思っているけど実際どんなところなの?」と思っている方も多いのではないかと思います。
そこで、今回は大学院とはどのようなところか説明したい思います。
ただし、私は工学系研究科のことしかわからないので人文科学や社会科学の大学院や専門職大学院には触れず、私の経験をもと工学系の大学院について書いていきたいと思います。
目次
どうやったら大学院に入れるの?
大学を卒業した状態、または大学卒業見込みの状態で大学院の入学試験を受けて合格すると大学院生になることができます。
同じ大学の大学院に進学する場合、大学院試が無い場合もあるようです。
しかし、東京大学の場合は東大生でも外部受験者と同じように大学院試を受ける必要があります。
工学系研究科は例年8月末に大学院試が行われるため、自分も大学4年の夏はそれに向けた勉強をしていました。
基本的に大学の定期試験で扱った内容を少し難しくした程度なので、内部の学生の方が有利で、内部の学生が不合格になることは少ないです。
大学院では何をしているの?
理系の大学院の生活は基本的に研究をすることであると言えるでしょう。
まず、4年生の最初か大学院の試験を受けるときに所属したい研究室を選びます。
研究室ごとに扱うテーマが違いますし、学生や教員の雰囲気も違うので何を基準に選ぶかは人それぞれだと思います。(私の場合はテーマへの興味で選びました)
余談ですが、拘束時間が長い、人間関係が悪いなどの理由で「ブラック研究室」と呼ばれるような研究室も存在し、学生から恐れられています。
そして、研究室が決まったら、そこからあなたの研究生活がスタートします。
普段私は昼ごろから研究室にいて論文を読んで先行研究を調べたり、シミュレーションをしたりしています。実験の研究室では装置のセットアップやサンプル作りや、測定をしているのではないかと思います。
得られたデータをスライドにまとめてミーティングで発表し、教授や助教からコメントをもらいながら研究を進めます。厳しい指摘を受けることもありますが、それを乗り切らないと研究成果は出ないのです……
ある程度まとまった量のデータが得られたら、学会で発表するほか、学会誌に論文を投稿します。学会発表前はデスマーチです……
学会とは、同じ専門分野(物理、化学、機械などなど)の研究者や大学院生が集まって講演を行ったり、ポスターの展示をする集まりのことです。(画像で雰囲気を掴んでいただければ幸い)
ここで最新の研究の動向を知ることや、自分の発表について他の研究者から意見をもらうことができます。学会は日本国内外の各地で行われるため、少し観光もできるのでそれを楽しみにする学生や研究者も多いです。
論文は自分の研究成果をまとめた文章のことです。論文については既にまとめた記事があるのでこちらをどうぞ。
ここまではだいぶ堅い話をしてきましたが、作業の合間にはパソコンで動画見ていたり、「女子力って力があるとすると、女子というのは女子力を媒介する粒子なのではないか?」のような専門分野を絡めたしょうもない雑談をしていたりします。また、理系の学生はオタクが多いのでアニメ・ゲームの話題がよく出ますが、中国人留学生も韓国人留学生もサブカルへの造詣が深く話題に参加してきます。
ただ、自分の場合はラッキーなことに研究室の人間関係がよかったので、どこでもユルく雑談できる雰囲気かどうかは保証しかねます。(研究室選びは慎重に!)
大学院を出るにはどうすればいいの?
大学院は修士課程なら2年間、博士課程ならさらに3年間所属して、必要な単位数をそろえて修士論文または博士論文を提出すれば大学院生活を終え、学位が得られます。
大学院では確かに研究を中心とした生活を送りますが、必要単位数を満たすためには講義を受けることも重要です。
実際、私の場合ですが修士1年のうちは研究室と講義室を行ったり来たりして研究に取り組んでいました。
大学院を出たら何をするの?
工学系の修士の場合、多くは企業に就職します。
企業への就職に関しては、学科・専攻の推薦制度が存在し、企業に推薦を使えば高い確率で内定を得ることができます。
たとえば、応用化学専攻のウェブページを見ると、修士課程で就職する学生のうち、半分以上が化学系の企業に入社していることがわかります。
自分は修士課程で大学を去って就職するので博士課程について詳しく述べられないのですが、博士課程に進んだ場合、論文投稿や学会発表で実績を積み重ね、大学のポスドクや助教、もしくは企業や研究機関の研究員として働くことになります。
総括すると、(理系の)大学院とは大学を出た後に研究活動を行うために所属する機関です。多くの学生が実験やシミュレーションをする生活を送り、新たな知見を学会発表か投稿論文という形にするべく悪戦苦闘しています。そして、多くの学生がそこで培った研究能力を活かして企業の技術者や、大学や研究機関の研究者になっています。
ただ、最後にネガティブなことを書くのですが、研究に興味が持てず嫌になってしまったり、ブラック研究室に耐え切れず大学院を中退してしまう人もたまにいるので大学院進学については慎重な判断が必要だと思います。
それでは最後に復習のクイズをどうぞ!
長い記事になってしまいましたが大学院について知っていただければ幸いです。