こんにちは、藤原です。東京大学理学部に在籍しています。
大学生としての経験をお伝えするこちらの連載。今回は「ゼミ」について紹介しようと思います。こちらの「ゼミ」、大学に入学した頃から周囲に乱立していたのですが、どうやら他の環境ではあまり見られないものであるようです。ぜひ大学生活の少し奇特な一端としてご覧ください。
「ゼミ」とは?
ひとことで「ゼミ」といっても様々な文脈があります。一般的には、担当教員と学生がグループで行う研究活動形式の授業を指すことが多いですが、ここでいう「ゼミ」は、場所を確保し、人を集め、ある時間になんらかの学問をする場所といった感じです。「自主セミナー」や「自主ゼミナール」などというとわかりやすいでしょうか。東京大学ではよく行われているようで、周辺では「ゼミ」と呼ばれているため、記事中では「ゼミ」と書きます。
ゼミはほとんどの場合、学生のみによって行われます。形式も自由で、1人の人が先生役となって数回にわたって授業をしたり、発表箇所を持ち回りで担当して1冊の本を読破したりなど、様々です。学問をやりたいなあという学生が主体的に集まって形成されるのがゼミです。
人が集まらないとゼミは立てられません。そこで、2019年度には有志の学生により「ゼミ決め会」なる、ゼミを開きたい人、参加したい人が一同に会してマッチングする場所が設けられました。ありがたいですね。
ゼミの良さとは?
学問はひとりでもやろうと思えばできます。わざわざ人を集めるという労力を払うのには理由があります。以下の2つが、独学に対するゼミの利点であると私は思います。
ひとつはやる気の持続です。
水は低きに流れ、人は易きに流れるといいます。ひとりで勉強していると、やはりゲームや睡眠など、楽な方に流れてしまいます。持続するためには、相当な自律心が必要です。しかし、複数人で勉強する場合、義務感が生じるためモチベーションや速度を持続させることができます。
もうひとつは、理解度や定着度の向上です。
ひとりで勉強していると、わからないところがあっても飛ばしてしまうことがあります。しかし、複数人に対して発表する場合、曖昧な理解のまま説明することはできません。このため理解度が上昇します。さらに、準備のために何度も反芻するため、よく定着します。
また、先生役も友人ですから、授業の場では質問できないことも気軽に質問できます。参加者側としても、自分の理解を深めることができるわけです。
終わりに
受験のために勉強していると、誰が好きで学問など修行僧のようなことを、という気持ちになってきますよね。しかし受験を終えた先には、このように主体的に学問を楽しめる場があるんだということを知っていただけると嬉しいです。
自己実現の「手段」ではなく、クイズやスポーツなどと同列な価値を持つ学問を「楽しむ」手段として、友人たちとゼミをしてみるのも、大学生活の中でのひとつの時間の過ごし方として有意義なのではないでしょうか?
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