こんにちは、セチです。
カップのヨーグルトを食べるときの悩み第1位といえば、「ヨーグルトがフタの裏についてしまうこと」ではないでしょうか。フタの裏のヨーグルトをスプーンで取ろうとしても取り切れず「もったいないなあ」と思った経験、ありませんか?
一方で、「昔に比べて、最近はフタの裏のヨーグルトを気にすることが減った」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
その通り、最近のヨーグルトはフタの裏にくっつかないものが多くなっています。これはいったいどういうことなのでしょうか?
ヨーグルトがつきにくくなる加工「ロータス効果」
最近のヨーグルトのフタは、「ロータス効果」と呼ばれる効果を利用し、裏にヨーグルトがつきにくくなっています。
このタイプのフタを触ってみると、なんだかザラザラしているのがわかると思います。表面を見てみると、細かい凹凸がつけられているのもわかります。
この細かい凹凸が空気の層を作り出すことにより、フタに付着したヨーグルトも玉のようになって簡単にフタから流れ落ちるようになっています。このような現象が「ロータス効果」です。
「ロータス」とは「ハス」のこと
ところで、「ロータス効果」の「ロータス」とは英語で「ハス」を意味します。
ハスの葉の表面についた水滴は、玉のようになってきれいに転がり落ちます。
これは、ハスの葉の表面にびっしりと生えた繊毛が細かい凹凸を作っているためです。そして、この構造にヒントを得て開発されたものこそが、今回取り上げたヨーグルトのフタに利用されている加工です。
このヨーグルトのフタの加工は、生物が持つ優れた構造を人工的に再現し、新しい技術を作り出したひとつの例といえます。
生物をまねる新技術「バイオミメティクス」
このように、生物の優れた構造をまねることによって生み出される技術を総称して「バイオミメティクス(バイオミミクリー)」といいます。
ヨーグルトのフタ以外では、サメの肌をもとにした速く泳げる水着などがこの例です。
バイオミメティクスについてはこちらの記事でより詳しく紹介しています。
ちなみに
このタイプのフタを業界で初めて採用したのは、森永乳業です。
同社のサイトによると、東洋アルミニウム株式会社と共同で製品化に取り組み、初めてこのタイプのフタの製品を売り出したのは2011年10月。そして、そこから他社のヨーグルトにも広まっていきました。
ということは、このフタが登場してからもう7年以上が経っているということになります。時が経つのは早いですね……。