ライターの和歩です。大学でマーケティングを中心に経済学を勉強しています。
友人とデパートによく行くのですが、「ご飯を食べたいな」と思ってフロアガイドを見ると、必ずと言っていいほどレストラン街が上の階にあります。
そういえば、どこのデパートでも上の階にレストラン、下の階に食料品売り場や化粧品売り場があることが多いですよね。これって偶然なのでしょうか?
ということで、今回はデパートのフロア構成について、実際の百貨店にお話を聞きながら解説していきます!
なぜレストラン街は上の方にあるの?
早速本題ですが、なぜレストラン街はデパートの上の階、食料品売り場は下の階というつくりになっているのでしょうか。
今回取材に協力していただいたのは、百貨店大手の高島屋です。日本橋高島屋S.C.のフロアガイドを見てみると、確かにレストラン街は上階、食料品売り場は下階になっています。
高島屋の広報担当者は「フロア構成にルールがあるわけではなく、あくまでも一百貨店の認識・解釈」と前置きをしたうえで、その理由を教えてくれました。
高島屋広報:お客様に百貨店内を回遊していただくために、最上階・最下階には、目的がはっきりしている施設や、多くのお客様が利用される売場を配置しています。シャワー効果や噴水効果と呼ばれるものです。
どうやら買い物をするお客さんの動きを考慮して、フロア構成は考えられているようです。しかし回答にあった、シャワー効果、噴水効果とはどんなものなのでしょうか? わかりやすく解説していきます。
「シャワー効果」とは?
「シャワー効果」とは、上の階の施設を充実させ、店舗全体の売り上げ増加につなげる販売方法のことをいいます。
上の階にレストラン街など一定の利用客が見込める施設を設置することで、食事をしたお客さんが帰る際、下の階で「ついで買い」をしやすくするねらいがあります。レストラン街だけでなく、映画館などが設置されるケースもあります。
まさに、風呂場にあるシャワーの水が上から下へ流れるように、お客さんが上の階から下の階へ移動する流れに着目したものです。
ちなみに、高島屋の担当者によると、物産展などが行われる催し物会場が上の階にあるのも、こうしたシャワー効果を期待しているからだそうです。
「噴水効果」とは?
一方、「噴水効果」は食料品売り場や化粧品売り場が下の階にあることに関係します。
「噴水効果」とは、下階の施設を充実させ、店舗全体の売り上げ増加につなげる販売方法のこと。先ほどの「シャワー効果」とは逆に、噴水の水のようにお客さんが下階から上階へ流れる動きを期待したものです。
店舗の入り口に近い下の階に、利用客が多い食料品売り場や化粧品売り場を設置して、お客さんが上の階にも移動して「ついで買い」をしやすくするねらいがあります。
というわけで、デパートのフロア構成はこうした2つの効果を意識して作られているようです。その結果、「上の階にレストラン、下の階に食料品売り場や化粧品売り場を設置する手法」が定着しているといえるでしょう。
こんなフロアにも理由があった
高島屋の担当者によると、1933年に開店した日本橋高島屋は当初から「地上8階建ての7階に大食堂、地下1階が食料品」という構成になっていたそうです。これは高島屋が百貨店という営業形態を始めた初期の頃で、少なくとも約90年前には既に現在のようなフロア構成になっていたことがわかります。
また、レストラン街や食料品売り場以外にも、フロア構成の傾向があることを教えてくれました。
高島屋広報:百貨店をご利用になるお客様の多くが女性であるため、婦人服・婦人雑貨は比較的下層階、紳士・子供関係、リビング用品は中層階~上層階が多いかと思います。
上階や下階だけでなく、他のフロア構成もちゃんとした理由があったなんて、驚きです。
皆さんも今度デパートに行ったときには、この記事を思い出して、フロアマップを見てみると面白いですよ!
サムネイル画像:日本橋高島屋 S.C.の外観(高島屋提供)
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