Bonjour! 望月です。
皆さんが最近一番緊張したのはいつですか? 私は、先日演奏会で舞台に立った時です。
私のなりたいものはヴァイオリニスト。コンサートで演奏することを生業にしようとしています。いってみれば、好きなことをそのまま職業にしようとしているということです。そう聞くと、人生毎日好きなことができて楽しそうだと思いませんか? しかし、実際はそうでもありません。やはりどんなに好きなことでも、人前に出るのは緊張するものです。
そこで、今回は私のコンサートの日の過ごし方と、そこで実践している緊張への対策をご紹介します。
目次
望月の1日(コンサート本番)
ヴァイオリニストと聞いてまず思い浮かぶのは、ドレスやスーツを着てステージに立つ姿ではないでしょうか。しかしステージに上がるまで、演奏家の1日は長いです。時系列でまとめたものがこちら。
私が気を遣うポイントを、行動の流れに沿って簡単に解説していきましょう。
荷物
意外と前日から気を遣うのが荷物。みなさんも受験の日は忘れ物がないか何度も確認しませんでしたか? 受験の日の受験票や筆箱が、私のコンサートの日の衣装や楽譜です。忘れたら本番に立てないものだけでなく、カイロや水などのコンディションを整えるものなど、1つでも忘れると気持ちが焦ってしまい、演奏に影響が出ます。家を出るまでに何度か確認して、確実に全て持っていくようにします。
リハーサル
この時間が本番前最後に練習できる時間です。会場によって響き方が違うので、それに合わせて弾き方を少し変化させる場合があります。スタッフに客席から聴いてもらい、共演者との音のバランスや弾き方の微調整を行います。
また、その日の体調や緊張度合いなどで体の感覚が異なります。例えば、緊張で普段より体の重心が上がってしまっているとします。そうすると腕に重みがかからず、深くて豊かな音が出ません。リハーサル中に「今日の自分はどんな状態だろう」と分析し、リラックスした状態で弾けるように調整していきます。
公演開始直前
ついに客席に観客が入る時間。もうステージにはいられないので、出番まで舞台袖で待機します。人によって色々な過ごし方がありますが、私は緊張をほぐすために共演者と話すことが多いです。また、その日の演奏のイメージをして気持ちを作っていきます。
本番中
舞台に出てお辞儀をしたらいよいよ本番です。深呼吸をし、弾き始める曲に対して抱いているものをイメージします。
例えば「秋の曇り空のパリ。空にはグレーの雲がかかり、空気はひんやりしている。街角のカフェでコーヒーをすすりながら空を眺め、隣のテーブルのパリジャン2人のなんでもない会話に耳を傾けている時の気分」といったように、感情や映像を思い浮かべます。そうすることによって、緊張を忘れて音楽の世界に没頭できます。
しかし、考えているのはそれだけではありません。「次は難しいパッセージだから注意しなくてはいけない」「緊張でいつも通りに指が回らないな」など、具体的なことを頭に浮かべます。演奏は生ものなので、常に自分の体の感覚や出ている音に注意を払い、調整をしながら弾かなくてはならないのです。
意外と細かいことを気にしている、と感じた方もいらっしゃるのではないかと思います。その通りです。コンサートの日は毎回緊張しますし、緊張をほぐすためにありとあらゆることに気を配ります。
想像してみてください。クラシックのコンサートというのはだいたい1時間半程度です。しかしその日までに数か月、時には1年以上の間、毎日何時間もそのコンサートのために練習します。計何十時間かけて何百回も繰り返し準備してきたものの成果が、たった一度の本番でうまく弾けるかどうかにかかっている。大きなプレッシャーです。
ですから、ドレスを家に忘れて焦り集中が乱されるといったことは絶対に避けたい。忘れ物は気を付ければ防げますが、もっと複雑なのは緊張をほぐすことです。
ではどのように対処しているのか。
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