こんにちは、あさぬまです。
ある日、散歩をしていた時のこと。私はあることに気づきました。
「標識の赤だけ、色あせしてない?」
▲赤い色、どこに行ってしまったの?
みなさんも、道路で赤だけが色あせてしまった標識を見たことはありませんか?
同じ標識でも、青い色は比較的鮮やかなまま綺麗に残っていました。どうして赤だけが色あせしているんでしょう?
色あせするのは紫外線のせい
標識の赤い部分が色あせしてしまう原因は紫外線です。太陽光に含まれる紫外線が、赤い色を作り出す化合物の構造を破壊することで、色あせが起こります。
でも、なぜ赤色ばかり色あせしやすいのでしょうか?
この仕組みには、大きく分けて「光のエネルギーの強さ」と「色を作り出す化合物の結合の強さ」の2つが関係しています。
赤色が色あせしやすい理由
太陽光は、実はさまざまな光が重ね合わせられています。私たちが普段「赤色」と認識しているものには、赤以外の色を吸収し、赤色の光だけを反射する性質があります。反射された赤い光が目に入ることで、私たちはそのものが「赤色だ」と認識しているのです。
▲純粋な赤色が見える仕組み
また、光は色によって、持っているエネルギーが異なります。目で見える光(可視光)の中では、紫がエネルギーが最も高く、赤が最も低いです。色あせの原因のひとつである「紫外線」は、紫よりも更に高いエネルギーを持っています。
▲光の色によってエネルギーが異なる
先ほど、赤色のものは「赤以外の光」を吸収する性質があると紹介しましたが、紫外線を含めて、大きなエネルギーを持つ光を吸収しているということになります。
これに加え、赤を構成する化合物は結合が弱いものが多いため、強いエネルギーに長時間さらされると結合が切れ、構造が変わってしまいます。その結果、色材が酸化しやすくなり、色あせしてしまうのです。
▲これは色あせし始めている……!
では、青色は?
一方で、青い色を構成する化合物は結合が強いものが多いです。また、吸収する「青以外の光」のエネルギーも、赤の場合に比べると小さくてすみます。そのため、高いエネルギーを持つ紫外線に長時間さらされても結合はなかなか壊れず、色あせが起こりにくくなります。
色を構成する化合物の結合の強さや、それぞれの色が吸収する光のエネルギーの差が、紫外線による色あせのしやすさを左右しているんですね。
▲きれいに青だけ残っている
「色あせ」どう対応してる? 警視庁に聞きました
赤が色あせしてしまう理由はわかりましたが、標識は道路を通行するときの注意を促したりする大切なもの。赤が見えにくくなってしまったら、ちょっと危険です。
▲こんなにあせてしまったら、間違えて入ってしまうかもしれない
どのように管理されているのでしょうか? 気になったので、警視庁に取材しました。
標識は10年をめどに交換されている
「止まれ」や「進入禁止」などの道路標識はどれくらいの頻度で交換されているのでしょうか。
警視庁広報課:道路標識は設置から10年経過をめどに劣化の状況を見て交換しています。
特に色あせがしやすい、赤色を使っている標識交換は早めに交換することもあるのでしょうか。
警視庁広報課:道路標識の種類によって違いはありません。設置されている環境により劣化の状況が異なりますので、劣化の具合を確認し、必要なものを更新しています。
警視庁の回答によると、赤色を使っているからといって特別な対応をしているわけではないようですね。
色褪せしすぎている標識を見つけたら、どうすればいい?
10年を目安に取り替えられているという看板ですが、私が見つけた色あせの看板をこのままにしておくのはちょっと心配もあります。認識できないほど色あせた標識を見つけたときは、どうすれば良いのでしょうか。
警視庁広報課:設置場所を管轄する警察署又は東京都内であれば警視庁交通規制課にお知らせください。
お知らせいただく際は、標識柱若しくは取付金具に貼付されている「標識管理票」に記載されている管理番号又は設置場所住所と標識の種類をお伝えください。
標識管理票には、警察署の名前やその標識の場所を表す番号が書かれています。もし「これは新しいものに取り替えたほうが良いのでは?」と思ったら、この番号を控えて警察署に連絡すればいいんですね。
まとめ
道でしばしば目にする、赤い色があせてしまった標識。もし見かけたら「紫外線に長い間晒されていたんだな」と理由がわかるのも、身近な疑問が解決できてちょっと得した気分になりますね! 自分の身の回りにはどこにあるのか、散歩しながら探してみるのもいいかもしれませんよ。
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