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伊沢に引き止められ『高校生クイズ』に

――クイズ研究会に入会してから1年後、田村さんは『高校生クイズ』の全国大会に進出するわけですよね。

田村 僕が高校2年生のとき、同級生の部員3人でチームを組んで、全国ベスト4になりました。

田村 一番印象に残ってるのは準々決勝の早押しクイズで、対戦相手は群馬県の太田高校だった。このとき太田高校にはクイズ研究会がなかったんだけど、猛烈に対策をしてきたのか、放送を見た当時中学生のこうちゃんが「太田高校にはクイズ研究会があるんだ!」と勘違いするぐらい強くて。結果的には開成高校がなんとか逃げ切ったんですけど、これがもうすっごく楽しかった。

【こうちゃんがびっくりしたエピソードはこちら】

――激戦の末ベスト4まで進んで、「来年こそは優勝!」という思いはあったんでしょうか?

田村 いや、あまりなかったですね。同じ年の10月ぐらいに開かれた小さめの企画で優勝することができて、「引退するのにちょうどいい」みたいな感じに思ってました。高校3年生になったら受験に専念しないといけないし、有名人扱いされることがあんまり得意じゃなくて「もう出なくていいかな……」と思ってました。

――でも実際は翌年も出場して、見事に優勝していますよね。一体何があったんですか?

田村 伊沢から「勝つためにチームに入って」って言われたんですよ。

田村 「前年ベスト4で涙を飲んだリーダーが、後輩とともに返り咲く」みたいなストーリーがあれば注目されるっていうメディア的な計算と、伊沢と僕がいたら十分優勝を狙えるという実力的な計算が彼の頭の中でものすごく緻密に行われていて、いざ出てみたら優勝した

――高校1年生にして、今に通じるプロデュース能力を身に着けていたんですね。

田村から見た「伊沢拓司」

――やがて伊沢さんはQuizKnockを立ち上げ、田村さんも初期メンバーとして動画などに出演していくこととなります。

田村 僕は当時修士2年で大学の研究がメインだったのと、QuizKnockは立ち上がったばっかりで大学のサークルの延長みたいな形だったので、たまに顔出して、ちょっとお手伝いするくらいの感じでした。

――伊沢さんは、不安定にも思える「クイズ」を仕事にしようと決めたわけですよね。正直うまくいかないだろうなあ、とか思いませんでしたか?

田村 伊沢はテレビに出始めてたし、さっき言った通りコミュニケーションや戦略に長けていたのと、とにかくクイズ大好きだから、それが仕事につながるならいいんじゃない? と思っていました。うまくいかなくても「大学時代いろいろやってたね〜」みたいな感じになるくらいのものだと思っていたし。

――先輩として、後輩を優しく見守っていたんですね。

田村 目標に向かってひたむきに頑張る姿はリスペクトしてましたね。あ、もちろん今でも普通に仲いい友達ですよ。ちなみに彼は、開成時代から僕に対して敬語を使ってないんです。

――確かに、伊沢さんが「田村」と呼び捨てにしているのを聞いたことがあります。心から信頼し合っているんだなと思っていました。

次ページ:田村が考えるクイズプレイヤーと研究者の共通点「考えながら答える」

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この記事を書いた人

チャンイケ

京都大学大学院修了のチャンイケ(池田和記)です。さまざまな学問・エンタメに関心があります。趣味:クイズ・ボウリング・ゲーム・謎解き・食べ歩きなどなど。

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