思いつきましたか? 思いつかなくても大丈夫。それよりも自分で考えてみることが、より強い思考力を育てるのに効果的です。
今回の答えは、「全部集めたはずなのにそこに含まれていない新しい素数を探す」でした。
ということで次のステップです。
新しい素数を作りたいわけですが、それにはp1,p2,……,pnのどれでも割りきれない数を作ればよいです。
その前に、p1,p2,……,pnのすべてで割り切れる数をつくってみましょう。思いつくでしょうか。
例えばp1×p2×……×pnを考えると、これp1,p2,……pnのどれでも割れることがわかりますね。
それでは、(p1×p2×……×pn)+1はどうでしょうか?
これをp1で割ると1余るので割り切れません。
p2で割っても1余るので割り切れません。
どの素数で割っても1余るので、この数は見事に、p1,p2,……pnのどれでも割り切れない数です。
ということで、素数を全部集めたはずなのに、新しい素数が出てきてしまいました。これで矛盾です。
つまり、最初に「素数は有限個です」といったのが間違っていたわけですね。
結論として、「素数は無限個ある」ということが証明できました。お疲れさまでした!
最後に、いままでの思考を文章にまとめて、完成とします。
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背理法を用いる。
素数が有限個しかないとする。
素数をすべて集めて、p1,p2,……,pnとする。
すると、(p1×p2×……×pn)+1は、p1,p2,……,pnのいずれでも割り切れない。
よって、この数は新たな素数となり、矛盾。
したがって、素数は無限個ある。(Q.E.D.)
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Q.E.D.は、「証明終了」を表すラテン語「quod erat demonstrandum」の略で、これを使って締めるとかっこいいです。
でも書くのが面倒なので、■などのマークを書いて終わりにする人が多いです。
今回は証明の紹介ということで、完成して嬉しいのでカッコつけることにします!
おまけとして少し補足となる話をします。
今回は素数を全部かけて1を足すと素数になるという証明でしたが、実際には素数を小さい方からいくつかかけて1を足すと、素数になるときもあればならないときもあります。
素数は小さい方から2,3,5,7,11,13,17,19,……と続きます。
例えば2×3+1=7で、これは素数です。
しかし、2×3×5×7×11×13+1=30031となりますが、30031÷59=509となり、割り切れるのでこれは素数ではありません。
もちろん、無限にある素数を全部かけるなんていう操作もふつうできないので、先ほどの証明でやった計算は実際にはあり得ないことなのですね。
仮定が間違っていたので当たり前ですが、現実と混同してしまうこともよくあるので、気をつけたいところです。
というわけで、今回の復習です。数学のパワーが少しでも伝われば、私は幸せです。