では正解発表です。正解は……。
「コロナ」でした!
えぇ~? どういうこと?
「コロナ」といっても、「新型コロナウイルス感染症」のことではありません。この装置が防ぐのは「コロナ放電」という現象です!
なるほど。アブねぇ、騙されるところだったぜ……。
「コロナ放電」とは、機器に高い電圧をかけた時に、細い電線などから空気中へ電気が漏れてしまう現象のことです。
コロナ放電が起こると青白い光や、ジーという雑音が出てしまいます。また、漏れ出た電気がノイズとなって正確な測定の邪魔になってしまいます。
そこで重要になってくるのが、この「コロナシールドリング」です! 電気が漏れ出しやすい「尖った部分」をリングで覆うことで、コロナ放電を防ぐんですよ。
邪魔になるものをシャットアウトすることで、安全で質の高い研究ができるようになるってことなのか。勉強になった!
ちなみに、電中研のコロナ対策のポスターはこうなります。
コロナ放電も、コロナウイルスも、どちらも「デンセン(電線・伝染)」の対策が必要なんです。
うまい! 電中研の「コロナ対策」といえばこっちなのか……!
第6問:燃える? 燃えない?
では第6問! 発電に関する実験クイズです!
紙に炎を当てて、と……。水がなければ普通に燃えるはずだけど……?
どうなるのか、実際に確かめてみましょう!
バーナーの上に紙皿を載せて、そこに水を入れていきます。
では、バーナーに火をつけます!
どうだ……?
あれ、燃えないねぇ!
ということで正解は「容器は燃えない」です!
水の温度が100度に達すると沸騰が始まりますが、その間、水の温度はずっと100度を保ちます。
加えられた熱がすべて、水から水蒸気への状態変化に使われてる、ってことだな。
このとき、沸騰中の水に接している紙の容器の温度も100度を大きく超えることはありません。紙が燃える温度は約300度なので、中の水が蒸発してなくなるまでは燃えないんです!
科学のキホンがわかるいい実験でしたね。
ただし、これも家でやるのは注意! ちょっといい旅館で出てくるような、ちっちゃい紙鍋で観察してみよう。
とここで、私たち研究者はこういうことを思うわけです。「炎の強さを強くしていくとどうなるのか?」と。
確かに気になる。
実は、過去にこれを実験してみた人がいるんです。まず、普通は水を沸騰させると、小さな気泡がいっぱいでてきますよね。
この実験でもそんな感じでしたね。
ですが、その炎をとっても強くすると、加熱部分が大きな気泡で覆われてしまうんです。するとその部分に水がなくなってしまうので、この実験の場合だと紙皿が燃えてしまいます。
たとえば発電所などで、同じように気泡の膜が発熱部を覆ってしまって、冷却できなくなると大変ですよね。
そうならないように、私たちは「熱が伝わる限界」を探る研究に取り組んでいるんです!
限界を知ることで、どうしたら効率的・かつ安全に電気を作れるかがわかるのか。とっても大切な研究なんですね!
第7問:正解発表はマジックで
では最後は私からのクイズです!
あれ? なんか怪しいもの持ってんなぁ。さっきから格好も気になるし。
クイズに答えるとわかりますよ~。では問題!
これクイズあるあるなんですけど、択一クイズの誤答選択肢って正解と似たものを作りがちなんですよ。
そう考えると、「トラ」と「ネコ」って結構似てる。ということは……?
そんな解き方しなくても、きっと須貝さんならわかってますよねー?(笑)
では正解発表です。
……ここに何の変哲もない本があります。
これにおまじないをかけると……、
えい!
お~!
ということで正解はトラを入れて「カーボンニュートラル」となります!
本の中からトラが出てきた! マジシャンだったのか……!
研究もしてるんですけどマジックもやってるんですよ!
では解説していきます。
「カーボンニュートラル」とは、二酸化炭素などの温室効果ガス(カーボン)の排出量をプラスマイナスゼロ(ニュートラル)にしよう! という意味の言葉です。
モノを燃やしたりすると出てくる二酸化炭素の量を、植物の光合成とかで吸収される量と同じくらいになるまで減らそう、ってことですよね。
そうです。地球温暖化の主な原因とされている二酸化炭素の排出をこのまま続けてしまうと、海面が上昇して島国が沈んでしまったり、異常気象で食料がとれなくなったりと、様々な悪影響が出てしまうといわれています。
そこで、電中研横須賀地区では……
……という目標のもと、主に3つの研究に取り組んでいます。
未来への取り組み
まず1つ目が、二酸化炭素が外に出にくいような発電方法を考える「発電の脱炭素化」です。
太陽光発電とか、ですか?
はい。この発電方法は光のエネルギーを電気に変換するため、あまり二酸化炭素が出ません。このほかにも、原子力発電や脱炭素燃料を使った火力発電など、二酸化炭素がなるべく出ないような発電方法を考えています。
2つ目は、家や工場などで使っているガスの役割を電気で置き換える「電化社会の実現」です。1つ目とあわせて「二酸化炭素がなるべく出ない方法で作った電気を使ってもらう」という風に社会を変えようと頑張っています。
ふむふむ。
そして3つ目が「電力の安定供給」です。
日本は雷などによって起きる停電が非常に少ないといわれています。この安定して電気を供給するシステムを、発電方法が変わっても守り続けよう! というのがこのテーマで行っていることです。
なるほど。とくに「電力の安定供給」がされなくなっちゃうとメチャクチャ不便になっちゃうもんな。大事な研究なんですね。
▲こちらの動画もチェック!
ということで、今回のクイズは以上となります! ありがとうございました!
ここまでクイズでも見てきたように、電中研では電気にまつわるいろいろな分野の研究を頑張っています!
電中研さんの公式サイトやYouTubeチャンネルなども、是非チェックしてみよう!
Xの公式アカウントでは最新情報を発信しているようなので、須貝もフォローしてみたよ。
クイズはまだまだ終わらない!
電気やエネルギー、電中研のことがもっと気になる人は、こちらのクイズにも挑戦してみよう!
みんなは何問解けるかな?
フォトギャラリー
本記事のもとになったイベントの様子。会場となった電中研の講義室に、たくさんのお子さんが詰めかけました。
執筆:於島