ケース④:新幹線の建設プロジェクト
ローカル線の廃止が相次ぐなど何かと世知辛い世の中ではあるが、一方で新たな路線の開業が見込まれているのは喜ばしいニュースだ。大きなプロジェクトとしては、北海道新幹線の延伸工事(新函館北斗駅-札幌駅)が進んでいる。

そんな新幹線のような長大な路線を建設するのには、莫大な費用がかかる。どれだけ世の中にとって必要な路線であっても、鉄道会社としては巨額の投資に二の足を踏んでしまうこともあるだろう。
そこで、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)という組織が主体となって線路を建設し、鉄道会社が線路のレンタル料を支払って列車を運行するというスキームがあるのだ。これまでに北海道新幹線・北陸新幹線・九州新幹線といった路線がこの方式で整備されている。
鉄道事業法の特例により、厳密には前述の「第二種」や「第三種」といった扱いにはならないのだけど(後述のケース⑤も同様)、これも「他人の敷いたレールの上を行く」パターンのひとつである。
JRTT:鉄道路線の建設などを担う独立行政法人。新幹線以外にも、つくばエクスプレス線・りんかい線・みなとみらい線といった都市路線の建設なども行ってきた。
ケース⑤:高速道路との共用区間
最後に、鉄道の話に高速道路が関係してくるちょっと意外なケースを紹介しよう。
岡山県と香川県を結ぶ瀬戸大橋。この橋は実は二階建てになっていて、上部には高速道路が、下部にはJRの瀬戸大橋線が通っている。将来的には在来線の隣に新幹線の線路も敷けるよう設計されているんだそうだ。

この瀬戸大橋自体は「独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構」という、主に高速道路関係の事業を扱う国の機関が所有している。そこで、JRはこの機関に線路を使用させてもらう形で列車を走らせているのだ。
瀬戸大橋線:岡山駅から高松駅までの路線の総称であり、瀬戸大橋を渡る区間の正式名称は「本四備讃線」である。路線名の由来は、本州と四国、備前国と讃岐国を結ぶことから。
「他人の敷いたレールの上を行く」鉄道会社も意外とたくさんあり、その背景にはどれも深い事情があることがおわかりいただけただろうか。
人生においては、あえて他人のレールの上を走るからこそ物事がうまくいくこともある……みたいなそれっぽい教訓(?)を、この記事から読み取っていただけたら何よりである。
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【画像出典(画像を一部加工しています)】
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