QuizKnockのライターが、イチオシのコンテンツを紹介する「おすすめの一品」。今週は永岡が担当します。
オオカミ好きということを公私ともに臆面なくアピールしている私。ありがたいことに「どうしてオオカミが好きなの?」と訊かれることがよくあります。今回はその際に持ち出す一冊の写真集をご紹介します。
2018年刊行の『オオカミと野生のイヌ』(X-Knowledge)です。
全208ページから成る本書には、オオカミをはじめ野生に生きるイヌ科の動物の写真と情報が収録されています。ちなみに、世間のいう「オオカミ」は一般に「ハイイロオオカミ」を指します。
本書の魅力は大きく2つ。1つ目はやはり圧倒的な映像美。優美な毛並み、豊かな表情、群れの営み……精彩で臨場感のある写真の数々が見てとれます。A4判というサイズ感もあり、迫力も満点です。
2つ目は豊富な情報量です。本書はハイイロオオカミの亜種をはじめ、コヨーテやリカオンなどオオカミと近縁の仲間、さらにはアカギツネの仲間など、イヌ科の情報を網羅的に記載。それぞれの種について体長や分布などの詳細な説明が写真に添えられています。その情報量は図鑑さながら。
また、生態にまつわる基本情報だけではなく、イヌ科にまつわる最新の研究報告も紹介されています。科学書まで兼ねているなんて……。
余談ですが、私が「オオカミをオオカミたらしめる要素」のひとつとして考えるのが目。琥珀色の虹彩に、真っ黒な瞳孔が放つ眼光の鋭さ――思わず見惚れてしまいます。
この本には「なぜ、オオカミの目が印象的なのか?」という見出しで、京都大学の研究が紹介されています。発表によると、オオカミ同士のコミュニケーションにおいて視線が重要な役割を果たし、オオカミ固有の視線の鋭さが一助になっているとのこと。
これを読んだとき、不意に解釈一致(?)した喜びと、オオカミの生態研究の面白さを抱いたのを覚えています。(もちろんオオカミの魅力はそれだけではないですよ!)
長々とオオカミのことを語ってきましたが、「私はネコ派」という方もいるかもしれませんね。
……あるんです。後に刊行されたネコ科ver。「イヌ派vsネコ派」は世界一不毛な議論です。ともどもよしなにお願いします。
写真集としても読み物としても楽しめる私の「おすすめの一品」でした。これを機に深遠なる野生動物の魅力を感じていただければ幸いです。
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